【速報】柔らかいロボットハンドと人工筋肉をブリヂストンが公開 AIソフトロボティクスの目と頭脳でアセントと資本提携

ブリヂストンはソフトロボティクス事業の社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を設立、人工筋肉(ラバーアクチュエーター)を開発し、その柔軟性と耐衝撃性を活かした軽量・高出力のソフトロボットハンドを2023年2月1日に発表した。

いちごのパックを正確につかむソフトロボティクス ベンチャーズのソフトロボットハンド(ロボットアームのベースはユニバーサルロボット製(UR)を使用)

また、同日、AIを活用して目と頭脳の機能を開発しているアセントロボティクスがブリヂストンと資本業務を提携したことを発表。出資額は5億円。アセントロボティクスのCEOの久夛良木氏は元ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE)代表取締役社長をつとめ「PlayStationの生みの親」と呼ばれている

株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズCEO 兼 探索事業開発第1部門長 音山哲一氏(右)と、アセントロボティクス株式会社 代表取締役兼最高経営責任者(CEO) 久夛良木 健史(左)。音山氏が手にしているのはソフトロボティクスの初期の試作品

東京「Bridgestone Innovation Park」にて報道関係者向けにソフトロボティクスをお披露目するイベント「Bridgestone Softrobotics Day」を開催し、両社が揃って登壇し、社内ベンチャー設立の狙いや両社が共創する新しいロボットの世界観を語るとともに、AIソフトロボットハンドによるデモを公開した。

様々な形状の家庭用品をAIが判断して、適した場所を把持するデモ。音山氏と久夛良木氏が報道陣に解説した


「目」と「頭脳」をアセント、「手」をブリヂストン

今回、お披露目されたロボティクス技術はピースピッキングロボットシステム。ポイントは大きく2つあり、ひとつはブリヂストンが空圧の人工筋肉「ラバーアクチュエータ」を開発し、ゴム製の柔らかい指に組み込んだロボットハンドと制御技術をお披露目したこと。

ブリヂストンが開発した空圧の人工筋肉「ラバーアクチュエータ」。複数のサイズが用意され、ロボットの指に組み込まれる

エアを送り込まれた「ラバーアクチュエータ」。筋肉の役目なのでカチカチになる。空圧で拡大・収縮したり、湾曲したりする仕様で開発できる。ロボットハンドには針金状の金属と組み合わせて組み込まれていた

もうひとつは物体を認識し、AIで適切に判断してロボットハンドが正確に把持、ピッキングするための「目」と「頭脳」をアセントロボティクスのAIソフトウェア群が担うことだ。

画像識別や認識を行うカメラ。ロボットハンドには深度センサー(デプスセンサー)も搭載しているが、今回のデモはすべてカメラのビジョンだけで行われた

両社が連携することにより、PoCを含めて現場での実践導入が急速に進むと見られる。当面は物流分野を視野に作業現場でソフトロボットが対象物を即座に認識・判別し、多種多様なモノを”いい感じ”につかむことで、対象物や状況に応じて自律的に自動化作業を行うことを研究・開発を進め、2024年の本格的な事業展開を目指す。

棚から商品をピックアップして箱に詰めるデモ。商品ごとに持つ位置を判断している。今回はデプスセンサーは使用していないが、賢明な読者の中には棚に複数の線状の光を当ててカメラで距離感を測っていることに気づく方もいるだろう

■【ブリヂストン ソフトロボットハンド】 ピースピッキングロボットシステム – 棚からピッキング編

「Bridgestone Softrobotics Day」の詳細と、ソフトロボットのしくみや仕様については別記事にてロボスタ視点で詳細にお届けするのでお楽しみに。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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