株式会社日立製作所は、鉄道情報システム株式会社(JRシステム)が開発する「みどりの券売機プラス+AI」の「AI自動応対機能」向けに、同社独自の対話型AIエンジンを提供し、2022年2月からの西日本旅客鉄道株式会社管内における複数回の実証を経て、2023年3月18日に大阪駅に新規開業したうめきたエリアに導入された。
近年、JR各社では少子高齢化に伴う労働人口の減少やコロナ禍を背景に非対面によるきっぷ販売を進めている。このような流れを受け、JRシステムはバーチャル駅員との音声対話を通じて、特急券・乗車券販売において、従来の有人窓口と同じようにきっぷ購入できる「AI自動応対機能」の開発を推進。「みどりの券売機プラス+AI」端末では、「AI自動応対機能」により、画面上に投影されるバーチャル駅員との音声会話を通じて、きっぷの購入が可能となった。
同システムの特長
同機能では、同社の「多言語対話プラットフォーム」が提供する音声認識、対話などのAIエンジンをベースに、JRシステムがこれまで培ってきた、きっぷ販売の接客応対に関する知見を生かし、きっぷ購入の際の窓口係員との会話を、券売機で再現している。これにより、バーチャル駅員とのスムーズな会話によるきっぷ購入を実現可能にした。
音声中心の操作
券売機の操作に不慣れな利用者にも、音声会話による操作でスムーズにきっぷが購入可能であり、タッチパネルと音声による操作を併用できる。また、会話の内容は券売機上部のモニターに文字で表示されるため、耳やことばが不自由な利用者のサポートも可能。さらに、バーチャル駅員で対応しきれない場合は、それまでの接客内容をコールセンターのオペレータに引き継ぎ、確実な接客応対ができるようになっている。
高度な音声認識
同社の「多言語対話プラットフォーム」内の音声認識を活用し、音声で入力された内容をテキスト化し対話エンジンにつなげることで、事前に登録された想定問答に基づいた回答を提示する。また、読み方が共通する駅名・地名などに対しても、画面上で複数の候補を提示。音声認識や対話のAIエンジンを鉄道・交通向け用語に対応させて認識精度の向上を図り、実際の駅員とのやり取りを想定してシナリオや言葉の言い替えなども考慮したチューニングを行っている。また、利用頻度が高まるにつれて蓄積される対話ログにより、AIエンジンの継続的な精度向上も図れる。
■【動画】【JR西日本】自動応対機能を搭載した「みどりの券売機プラス」
同社の「多言語対話プラットフォーム」について
同プラットフォームは、音声認識・翻訳、音声合成、対話などのAIエンジンを提供する。音声およびテキスト入力に対応し、対応言語は日本語・英語・中国語(北京語)・韓国語の4か国語。自動化したい業務シナリオを作ることで、きっぷ発売以外でもさまざまな有人接客の自動化が図れるほか、問い合わせ対応や、外国人との意思疎通の支援にも活用が可能だ。同社は、同プラットフォームを活用し、「みどりの券売機プラス+AI」の「AI自動応対機能」の対話エンジンの使いやすさの改良や、音声認識エンジンさらなる音声認識精度により、JRシステムが進める多言語対応やサービス拡充など、AI自動応対機能の向上に貢献していくとのことだ。