フォトリアルな等身大バーチャルヒューマンと対話するサイネージを凸版印刷と3digが実証開始 2025年度までに売上10億円を目指す

凸版印刷株式会社と株式会社3dig(スリーディグ)は、高解像実測データを活用し、高精細バーチャルヒューマン領域での協業を推進しており、バーチャルヒューマン自動生成技術を活用した等身大のフォトリアルなバーチャルヒューマンと対話するサイネージシステム(VHサイネージ)を開発し、2023年4月より凸版印刷の神田和泉町ビル内で実証を開始することを発表した。


同実証実験では、リアリティを追求したバーチャルヒューマンとの対話が人に及ぼす影響、人が抱く感情や最適なユーザー体験などの検証を実施する予定だ。
VHサイネージはサーバ、モニタ、センサーから構成され、フォトリアルな外見に加え、合成音声による対話AIやインタラクション機能(ユーザーがシステムや機器に対し、特定の操作を行なったとき、システムや機器がその操作に応じた反応を返すこと。双方向性のある作用)が搭載されている。


ユーザーは実際の人間と対話するようにVHサイネージを通じて、受付や物品購入など、様々なサービスを受けることができる。

■【動画】バーチャルヒューマンと対話するサイネージシステム「VHサイネージ」のご紹介[フルバージョン]


バーチャルヒューマンサイネージの利点

昨今のコロナ感染症拡大防止や省人化の観点から、駅や商業施設などの受付や案内業務をロボットやサイネージシステムが担うようになってきている。しかし、高齢者にとってタッチパネル式の案内表示の利用は抵抗を感じ、利用を控えてしまったり、アニメキャラクターと自動音声を利用したAI音声案内では、利用者の属性に偏りが見られたり、様々な課題がある。特に公共性の高い場においては、誰一人取り残されないソリューションが求められているという。

このような課題に対し、凸版印刷と3digは、等身大のフォトリアルなバーチャルヒューマンと合成音声による対話AIを組み合わせた「VHサイネージシステム」を開発。VHサイネージでは、凸版印刷の「トッパンバーチャルヒューマンラボ」内の「ライトステージ」を用いて、実際に計測した高精度な人体に関する実測データと、3digのAIによるバーチャルヒューマンの自動生成システム「anma」を活用し、実在する人物を対象にしたバーチャルヒューマン(以下 実在VH)の効率的な制作が可能となっている。


「ライトステージ」近影。ライトステージは南カリフォルニア大学が開発した、高精度の顔計測が可能な装置。
© TOPPAN INC.

実在VHはフォトリアルで高精細であるため、対話AIと組み合わせることで、本人と対話しているような自然な体験ができるソリューションとなりうる。

凸版印刷と3digは、VHサイネージをはじめ、高精細なバーチャルヒューマンを活用したソリューションを、商業施設や地方自治体などに提供すると共に、バーチャルヒューマン化する対象人物の計測データ管理・マネジメントビジネスを目指す考えだ。



VHサイネージの特長

1)等身大のフォトリアルなバーチャルヒューマンと、視線追従や呼びかけなどの対話機能により、自然なコミュニケーションが可能
86インチの大型サイネージ(D35.7×W192.5×H117cm)にはフォトリアルなバーチャルヒューマンが等身大で再現し、人物認識センサーを搭載しているため、前に立った利用者に対して話しかけたり、利用者のほうを向いたり、コミュニケーションすることが可能。利用者はあたかも目の前に人がいて、人から話しかけられているかのような自然な体験を得ることができ、日常生活と変わらない対話を通じてバーチャルヒューマンからサービスを受けることができる。

2)計測技術と自動化技術により、高精細なバーチャルヒューマンの効率制作が可能
「トッパンバーチャルヒューマンラボ」内の「ライトステージ」を用いて、計測した人体の高精度な計測データを元にフォトリアルなバーチャルヒューマンを制作。バーチャルヒューマンの自動生成システム「anma」を活用することで、実在人物の計測データを用いたバーチャルヒューマン制作の納期短縮とコスト削減が可能になる。

▼同実証実験の概要

実施期間 2023年4月13日(木)~4月27日(木)
実施場所 凸版印刷株式会社 神田和泉町ビル(東京都千代田区)1階受付
実証の目的 実在する人物を対象とするVHサイネージにおけるインタラクションの有用性検証
実証の内容 凸版印刷の受付エリアにて、受け付けや案内を実施予定(対応する想定訪問者10人/日)。具体的には、86インチの大型サイネージ(D35.7×W192.5×H117cm)に、等身大の実在する人物をモデルとしたバーチャルヒューマンを再現。挨拶や呼びかけなどの能動的なインタラクションを使って、受付業務の一部を担い、受付業務の軽減化・省人化の最適解を検証する。
対象 検証方法:実証協力者に対し、簡易アンケートを実施し、定量および定性分析を行い、今後の機能拡充、商材化時の品質とコスト(価格設定)に活用する。

▼2社の役割

凸版印刷 トッパンバーチャルヒューマンラボに設置したライトステージを用いた実在人物の高精細な顔計測およびデータセットの構築。場所の提供を含む実証実験の設計と実施
3dig VHサイネージのシステム開発およびVH自動生成サービス「anma」を用いて、凸版印刷が計測した人物の実在VHの制作、VHサイネージへの実装
トッパンバーチャルヒューマンラボ:https://www.toppan.co.jp/vhl/
3dig:https://3dig.net/
自動生成システム「anma」:https://3dig.net/anma/


今後の展開

フォトリアルなバーチャルヒューマンの作成および、対話型のVHサイネージをはじめ、高精細なバーチャルヒューマンを活用する各種サービスソリューションを、商業施設や地方自治体に向けに提供することにより、2025年度までに10億円の売上を目指す。
また今後は実在の人によるバーチャルヒューマンだけでなく、非実在のバーチャルヒューマン含め、用途に合わせたコンテンツ制作も可能にしていく予定。

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ロボスタ編集部

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