完全自律型セキュリティロボットをナイトスコープがモールや公園などの公共スペースに実践配備　Vicorの電源モジュールを採用

高性能のモジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う電源専業メーカーVicor Corporationは、ロボットを使った監視セキュリティサービスを提供するナイトスコープ社の完全自律型セキュリティロボット（ASR）にVicorの電源モジュールが採用されたと発表した。

公共スペースに完全自律型セキュリティロボットを世界で初めて配置

ナイトスコープ社は、2013年にカリフォルニア州マウンテンビューの公共安全技術サービス会社として発足。ショッピングモールや駐車場、近隣の公園などの公共スペースに移動式の完全自律型セキュリティロボット（ASR）を配置した。


ナイトスコープ社のビジョンは「警察官のリスクを最小限に抑えつつ、犯罪を防止するためのより効果的な手段を見つける」ことで、専門技術を持つロボティクス企業というよりは、公共安全技術のリーディングカンパニーを目指し、自動運転技術、車両電動化、人工知能を組み合わせ、その他の技術を統合して実用的な調査・警護ができる機動性の高いプラットフォームを生み出そうと活動している。

ASRは既知の脅威を見つける機能を備えており、例えば解雇された従業員や不法侵入の警告を受けた人物を認識することで、職場での暴力事件を減らすことができる、

ASRに備わる「例外監視機能」を用いることで、駐車用に駐車されている車両のナンバープレートから部外者を識別し警備することもできる。またASRの音声機能を使うことで双方向コミュニケーションが可能なため、敵対する加害者に状況を収束させるための交渉も行える。

ナイトスコープの共同設立者兼最高顧客責任者のステイシー・スティーブンス氏は「ASRのトークダウン機能をつかえば、人間に対する危険をロボットに肩代わりさせることができます」と話しており、「ロボットは目立たない対称物であり、状況をエスカレートさせる可能性のある敵意を持つ容疑者の前に人を立たせることなく、会話ができます。それに経費も節約できます。」「ASRは病気にならず、休暇も必要ありません。」とも述べている。

ASRの自律運転のテクノロジー

ナイトスコープの完全自律型セキュリティロボットはLIDAR、GPS、ソナー、IMU、4Kカメラ、Hi-Fiオーディオのシステムを使用しながら、完全に自律して動くことが可能。ロボットには人間の五感のように5種類のセンサーが搭載されていて周囲を監視しており、ロボットのセンサーはほとんどの場合警察官の五感より鋭敏だ。

合計21個のLIDARレーザーにより、25ミリ/秒ごとに周囲をマッピング。マッピングされたデータをもとに、半径100mまでの3Dマップを作成することで、ASRが周囲を「見る」ことを可能にしている。さらに、ソナーセンサーが近接センサーとしてはたらき、何かが物理的に近くにある場合にロボットに知らせる。GPSも搭載されており、例え誰かがロボットを動かしたり盗んだりした場合、ロボットを追跡することに役立つ。

走行距離センサーを用いてホイールの回転を計算し、ロボットが左または右に移動/追跡していれば表示する。慣性計測ユニット（IMU）により6DoF（6自由度）の空間認識を行い、ロボットが直立しているか傾いているかを判断し、立ち往生したり動けなくなったりした場合に知らせることができるようになっている。

演算処理、通信、センサーの負荷が極めて高いため、ASRの電力供給ネットワークに大きな負担になっている一方で、電源はコンパクトで高効率であることが求められる。

ASRには排気口がないため、ナイトスコープ社はアルミニウム製の外装をヒートシンクとして活用できる伝導冷却のソリューションを必要としていたところ、Vicor独自のChiP構造がが放熱性に優れており極めて小型であることから、ナイトスコープ社はVicorのDC-DCコンバータモジュール（DCM3623）を採用した。また、DCMの電力密度が高いということは、配線のしやすさやケーブルの組立てやすさ、バッテリー効率や性能、ASRの稼働時間の向上に役立つ。

電気的にはセンサーが極めて多くEMI性能が異なるためロボットとすべての個別の電源レールの間には絶縁が必要だったが、VicorのDCMはEMIとノイズの干渉を最小限に抑えることに役立った。

前出のステイシー・スティーブンス氏は「バッテリーの負担を減らすことができれば、稼働時間を延ばせます」と言い、「ですから、電力は常に考慮しなくてはなりません。そして最終的には、これらのすべてがわが社のビジョンを実現するのに役立ちます。それは、建築家が商業施設や複合施設を計画する際に、我々のサービスが煙探知機や消火システムとともにセキュリティのチェックリストに加わるということです。」と述べている

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