NTT東日本と成田国際空港 ローカル5Gと空港通信「TETRA」の相互通信に成功 日本の空港初、5Gスマホと空港用端末を接続する意義

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と、同社のグループ会社である日本空港無線サービス株式会社(NAR)は、この度、成田国際空港におけるローカル5Gを用いた実証実験において、NTT東日本が提供するマネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」で構築したローカル5Gシステムと、空港の無線通信基盤である「TETRA」(国際標準の業務用デジタル通信方式)との相互接続に成功したことを発表した。

これにより、無線機に対して短時間で柔軟なシームレス接続ができる「MCPTT」(Mission Critical Push to Talk)を搭載したローカル5G対応端末とTETRA端末との音声通話環境を、日本の空港において初めて実現した。(NARにてTETRA導入の空港を独自調査した結果)

「TETRA」とは
空港では1982年から業務用に使われているMCA無線を使用し、空港専用に割当てられた周波数と独自の基地局によって提供される無線通信がおこなわれている。一般の携帯電話回線や基地局とは別系統のため、災害時の事業継続にも極めて有効とされている。近年は、国際標準化された無線方式「TETRA」が主流となっていて、成田空港でも「TETRA」が使用されている。

今後両社は、MCPTTの機能検証やTETRAと連携したユースケースの開発を進め、空港をはじめ広大な敷地を持つ工場・倉庫等における実業務へのローカル5Gの活用範囲拡大と無線通信環境の高度化に向けた具体的な提案を実施していくと述べている。

なお、同実証実験は、国土交通省主催「空港制限区域内における自動走行の実現に向けた検討委員会」における自動運転レベル4相当の導入に向けた実証実験の枠組みおよび総務省が推進する「令和4年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の取り組みの一環として実施された。

ローカル5G対応スマートフォン上のWAVE

WAVEとTETRA端末通信試験模様



「ギガらく5G」とは

「ギガらく5G」とはNTT東日本が提供する、キャリアグレードの本格的な5Gスタンドアローン機能と事前手続きから設計・構築・運用までのトータルITO(ITアウトソーシング)をワンパッケージにし、手頃な料金で提供するマネージド型のローカル5Gサービスだ。

サービスイメージ
マネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」:
https://business.ntt-east.co.jp/service/gigaraku5g/




自動運転バスやスマートエアポートにローカル5G活用

現在、様々な産業分野においてローカル5Gの導入の検討が進んでいる中、成田国際空港ではNTT東日本等が参画するコンソーシアムで進めるローカル5G等を用いた複数台遠隔型自動運転バス実証の実施といった、スマートエアポートの実現や安定したセキュアな無線通信基盤としてのローカル5Gの活用の検討を進めている。

一方、NARが運用する空港無線システムTETRAは、空港における地上間の無線通信基盤として成田国際空港をはじめ国内主要空港で運用されており、地上管制やグランドハンドリングなどの日常業務や緊急時におけるミッションクリティカルな連絡手段として定着している。


ローカル5Gと空港無線の相互接続を実現

今後、空港業務におけるローカル5Gの活用を円滑に進めていく上で、現在空港において広く利用されている空港無線との連携が不可欠となることから、同実証実験における両者の相互接続の実現が必要と考えられた。また、空港の業務によっては、これまで複数の端末を携帯する必要があったが、今回の相互接続によって、汎用性の高いスマートフォンのみでの業務継続が可能となるとともに、今後はモトローラ・ソリューションズが開発したMCPTTシステムである「WAVE」の機能を活かした音声以外のコミュニケーションによる利便性の向上も期待できる。



ローカル5G対応のスマホとTETRA端末とのやりとりが可能に

NARは空港無線のTETRAとともに、TETRAと接続されたMCPTTシステムの「WAVE」を運用している。WAVEを活用することにより、携帯電話網やローカル5Gを通じて、スマートフォンにインストールされたアプリケーションによる音声通話やテキストメッセージングが可能となる。今回、このWAVEを成田国際空港に実証実験環境として「ギガらく5G」で構築されたローカル5Gシステムと相互接続することで、ローカル5G対応のスマートフォンとTETRA端末との間や、当該スマートフォン同士の閉域網での音声通話ができるようになった。これにより、従来の携帯電話網での接続と比較し、より高品質で安定した環境での空港業務遂行が可能となる。

実証実験の概要イメージ

▼各社の役割

NTT東日本 ・ローカル5G接続の試験環境の提供および技術支援
NAR ・TETRAおよびWAVEの提供
・TETRAとローカル5Gの相互接続および品質調査の実施




今後の予定

今回の遠隔型自動運転の実証実験において、WAVEとTETRAを実験スタッフ間の連絡手段として利用し、高品質で安定した通話機能を確認。両システムともに専用の電波と閉域網で構成され、携帯電話網等の故障や輻輳の影響を受けないことから、災害時等の緊急時の高い可用性が期待できる。またWAVEについては、2023年中のバージョンアップにより、動画通信などのマルチメディア機能や位置情報管理機能等が実装される予定だ。


「ワイヤレスジャパン2023」への出展

NTT東日本は5月24日(水)から5月26日(金)の3日間、東京ビッグサイト 西3・4ホールで開催される、国内最大級のワイヤレス通信の専門イベント「ワイヤレスジャパン2023」に出展し、同取り組みやTETRA・WAVE、「ギガらく5G」の実機についても紹介予定となっている。

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ロボスタ編集部

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