身長3mの巨大ロボット『EXA』に搭乗・操縦体験レポート『ROBOT BASE』が目指す壮大な夢とビジョンを聞く

搭乗型ロボットの操縦空間の提供を目指すMOVeLOT株式会社(ムーブロット)。そのプロトタイプとなる搭乗型ロボットROBOT BASE UNIT『EXA』の報道関係者向け体験説明会が開催されたのでワクワクしながら行ってきた。
多くの人がいつか夢見た「巨大ロボットに乗って操縦してみたい」そんな想いは、今はもう淡い夢ではなく現実に目の前にある。そう実感した。

ROBOT BASE UNIT『EXA』は全高(身長)約3m、近くで見るとさすがに迫力がある。現時点では移動機構のないロボットで両腕が操縦できる

また、ロボスタでは体験説明会で代表取締役の廣井氏に単独インタビュー。ROBOT BASEという名前の意味がビジネスの根幹を表現していること、インバウンド需要や海外展開も視野に入れた構想などが明らかになった。

左腕にはBurst Blaster(バースト・ブラスター)を装備。スポンジの先に吸盤がついた弾を連射することができる

筆者もコクピットに乗り込み操縦体験「ついに身長3mの搭乗型ロボットを操縦する日がやってきた」

なお、『EXA』搭乗の先行体験チケット(30分間の貸切制 5000円〜)等のクラウドファンディングを現在開催中のため、誰でもこのロボットに搭乗し、操縦するチャンスがある。


ROBOT BASE UNIT『EXA』とは

ROBOT BASE UNIT『EXA』についてまずは簡単に触れておこう。外観を見て「なんで骨組みだけのボティなの?」と感じる読者もいると思うが、MOVeLOTの場合、コンセプトはロボットを操縦する空間を創造すること。ロボットの完成形を開発するメーカーという立ち位置ではない。

『EXA』に乗り込んだMOVeLOT代表取締役の廣井健人氏

具体的な事業はというと、ロボットの腕やコクピットを含めた「骨格」の開発がそのひとつ。それ故に「ROBOT BASE UNIT」と呼ぶ。
搭乗型ロボットの骨格と基本機能が完成すれば、IPを持つ企業等と連携して、アニメやSF映画、オリジナルデザインの外装を装着して、様々なロボットとして応用できる。アニメで人気のロボットに搭乗することができるエンタメビジネスとして国内外を市場に展開する考えだ。


そのため『EXA』はプロトタイプであるものの、骨格むき出しのデザインについてはこれはこれである意味でROBOT BASE UNITとしての完成形といえる。そして、アニメや漫画、SF映画等に搭乗するロボットの外装を施したタイアップ企画は既に進められているという。どんなロボットとコラボするのか、今から楽しみだ。

中央のタラップを登ってコクピットに乗り込む

ゲートを開いた状態のコクピット。バケットシートと両側にジョイスティック型の操縦桿が装備されている

左右の操縦桿は両腕と連動している。操縦桿は前後左右に倒すことで腕が動作し、4つの小さいボタンで肘関節の動きを制御することができる

機構的な『EXA』の大きな特徴のひとつが頑強な腕の機構だ。肘には3つのギアが組み込まれていて、ギアとチェーンと油圧シリンダーで駆動している。制御ソフトは使用していない。

油圧の腕の機構はメカメカしくて迫力がある

頭部の前部にカメラが設置されている。このカメラ映像はコクピット上部のモニタで見ることができる

左手に装備されたBurst Blaster(バースト・ブラスター)。スポンジの先に吸盤がついた弾を連射することができる。「マトに当たったときは最高に気持ちがいい」(廣井氏)

著者はコクピットに乗り込み、ジョイスティックの操作方法を教えてもらいながら、『EXA』の両腕を数分で比較的自由に動かせるようになった。それくらい簡単な操作方法になっている。ロボットの腕が思い通りに動くようになると楽しくて思わずニヤニヤしてしまった。
ただ、筆者は比較的大柄なのか、コクピットは狭く、ジョイスティックを両腕で握ると筆者の肘がシートに当たってしまう点が気になった。このあたりは一般公開までにはブラッシュアップされるだろう。

■動画 MOVeLOT『EXA』


『EXA』に乗って操縦できるチャンス (Makuake)

MOVeLOTは現在、クラウドファンディング「Makuake」で応援・支援者を募集中。応援のリターンには『EXA』搭乗の先行体験チケット(30分間の貸切制 5000円〜)等を選ぶことができる。30分間ぞんぶんに『EXA』のパイロットになって、操縦体験することができる(ロボットの操縦は12歳以上)。

掲載:8月15日~9月14日、目標額:200万円、9月中旬~12月下旬までの搭乗権の販売等(リターン) 「Makuake」のサイトはこちら


『ROBOT BASE』の展望を廣井健人氏に聞く

MOVeLOTの代表取締役 廣井健人氏は、元SKELETONICS株式会社の代表取締役CEO。また、新宿の「ロボットレストラン」でインバウンド事業にも携わっていた経験を持つ。『ROBOT BASE』の今後のビジョンについて聞いた。

MOVeLOT.Inc 代表取締役 廣井健人氏

編集部

『ROBOT BASE』について、そしてそのコンセプトを教えてください。

廣井氏

『ROBOT BASE』は搭乗型ロボット操縦空間、ロボットのパイロット「主人公」になれる場所を提供したいと考えています。ロボットのアニメや漫画の世界に入り込んだような空間の中で、夢に見たロボットのパイロットとなって、高さ3m以上もある巨大ロボットを自由自在に操縦することができるコンテンツを制作します。

編集部

そう考えるようになったのは何かきっかけがあったのでしょうか?

廣井氏

はい。私は以前、動作拡大型スーツ開発事業「SKELETONICS」の代表取締役社長をしていました。「SKELETONICS」では年間で約40件のイベントを行ない、少なくとも5000~6000人くらいにロボットの搭乗体験を提供しました。
その頃「SKELETONICS」を体験してくれたお客様から「人生の中でロボットに乗れるなんて思わなかった。ロボットに乗れず人生を終える人の方が多いんだろうな」といった声を多数頂きました。その言葉がずっと胸に刺さっていました。
一方で、観光地などにアニメや漫画で活躍した人気のロボットたちが巨大なオブジェとしてたくさん登場する時代になりました。ところが、それら巨大ロボットたちはオブジェであって搭乗することはできません。大好きなアニメの巨大ロボットに搭乗することができたらどんなに素晴らしいだろう、そんな思いを実現できたら、それはビジネスとしての市場も大きく拡がっていると感じています。

編集部

なるほど。搭乗型ロボット「SKELETONICS」でのエンタテインメントを提供した経験とノウハウが御社の強みになっているんですね。そして、新たな第一歩が『EXA』なのですね

廣井氏

はい、ただ『EXA』もまだ開発途上で、ハンドを付けたり、Burst Blaster周りにカメラを付けて照準を定めやすくしたり、開発したいところはたくさんあります。
また、『EXA』はベースモデルのプロトタイプとして開発していますが、当社は誰もが知っているIPの搭乗型巨大ロボットを作ろうとは思っていません。そのベースとなる骨格基盤を作ることを目的としています。骨格基盤ができれば、IPを持っている企業と連携して、骨格をIPに合わせることで、みんなが知っているロボットの搭乗型ロボットも比較的廉価で創ることができるようになります。『ROBOT BASE』からの『ROBOT SHIFT』構想です。その際、IPに合わせた骨格基盤は当社が提供しますが、外装デザインや制御ソフト、エンタテインメント的な演出などは、パートナーと連携して実現できれば、と考えています。


実はみなさんがよく知っているアニメとのコラボが既に進行しています。

編集部

えっ、なんのアニメのロボットが搭乗型ロボットとして体験できるようになるんですか?

廣井氏

今はまだどのIPかは言えませんが、今後の発表をぜひ楽しみにしていてください。
また、搭乗型ロボットはインバウンド(海外からの旅行者)を対象に「ロボットパイロットになれる場所」としてランドマークになって、「あのロボットに搭乗してみたい」という気持ちが訪日のきっかけのひとつになれば素晴らしいと思っています。


実は「SKELETONICS」の前は、新宿の「ロボットレストラン」で営業・広報部長をやっていました。「ロボットレストラン」には年間18万人の訪日外国人が来店していました。その時、インバウンドの集客やショーの演出も担当していて、「アヴァン・コンバース」がロボットレストランでおこなった「THE インスタ映え」なド派手なショーの演出もしました。その時のインバウンド関連事業のノウハウも活かしたいと考えています。



ロボットアニメは海外でも人気がある。ガンダムシリーズやグレンダイザーなどの巨大立像が観光スポットになっている地域も増えてきた。巨大ロボットに乗って操縦できる体験の海外展開も廣井氏は視野に入れている。

編集部

今日は、興味深いビジョンの説明と、貴重なロボット搭乗体験、どうもありがとうございました。



■公式動画

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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