野村不動産HDとオカムラ、オフィスビル1棟全体の「掃除ロボット」活用で連携 エレベーター連携強化で高層ビル対応も目指す

野村不動産HDとオカムラは、清掃サービスの品質向上と業務効率化を実現すべく、オフィスビル1棟全体で掃除ロボットとエレベーターを連携して自律自動の清掃業務を行う実証実験に着手したことを明らかにした。
今後はオフィスビル1棟全体での掃除ロボット活用を目指し、当該実証を通して複数台のロボットのエレベーター連携や一元管理、災害時対応の検討を進めていくとしいる。

実証実験の背景と目的

使用した掃除ロボット「STRIVER(ストライバー)Ⅱ」

昨今の清掃業界の労働力不足や、清掃員の高齢化といった社会的背景を受け、掃除ロボットの活用が注視されている。

野村不動産グループで清掃管理業務を行う野村不動産アメニティサービスでは、掃除ロボットを活用した清掃業務を一部のオフィスビルにて実施しているが、掃除ロボットが自律移動してオフィスビル1棟全体の清掃業務を行うには、「走破性能」、「清掃性能」、「エレベーターや防火扉等との設備連携」等の複数の課題があった。このような課題を解決し、清掃サービスの品質向上と業務効率化をすべく、この度の共同実証実験に至った。

実証実験の概要

当該実証は、「予備実証」と「本実証」の2段階で行う。

使用機材は、業務用掃除機を搭載して搬送し、自律走行して床掃除を行う業務用掃除ロボット「STRIVER(ストライバー)Ⅰ・Ⅱ」を導入した。通路の段差や傾斜の走行が可能で、壁際1cmまで接近して床掃除することが可能。エレベーターをはじめとした施設設備とのシステム連携によって、清掃範囲を数フロアだけではなくオフィスビル1棟全体への拡大を目標としている。

さらに、掃除ロボットの効率的な運用と、清掃員による人的な清掃オペレーションの最適な組み合わせを構築することで、更なる清掃サービスの品質向上と業務効率化を目指す。


予備実証でわかったこと

・掃除ロボットとエレベーターの連携によって、清掃員が手動で移動させることなく、掃除ロボットが自律的にフロア移動できた
・清掃員の監視外でロボットが独立して清掃業務を行うことができた
・掃除ロボットの清掃性は、清掃員の掃除と遜色なく、かつフロアの段差も走行できることが確認できた
・オフィスワーカーとユーザーである清掃員へ、安全性等に関するアンケートを実施し、走行中の掃除ロボットが通行人の妨げや、ロボットの清掃音が業務の妨げにほぼならないことが確認できた

予備実証時のアンケート結果

オフィスワーカー:31名にアンケートを実施


今回の実証実験を通して目指すもの

当該実証の予備実証では、本実証にむけてオフィスビルの数フロアにて掃除ロボットとエレベーターを連携した。本実証では、範囲をビル1棟全体に拡大することで、複数台のロボットのエレベーター連携や一元管理、災害時対応の検討を進め、掃除ロボットの活用を通して、清掃業界の労働力不足等の課題解決に寄与していくとしている。

野村不動産HDは、グループDX戦略にて、住まう、働く人々のQuality Of Life(QOL)の向上に貢献する商品やサービスの開発・提供を目指し、付加価値分野と業務効率分野の2分野でロボット活用を推進している。今後は、当該実証の結果を他の業務や共同住宅等に拡大し、清掃業務のみならず、付加価値分野と業務効率分野の両分野で、グループ全体のDX推進におけるロボット活用のベースを整備していく。

オカムラは、オフィス、教育・医療・研究・商業施設、物流センターなど、様々なシーンにおいて、クオリティの高い製品とサービスを社会に提供することに努めている。労働力人口の減少などの社会問題に対し、さまざまな分野において、省人化・省力化に寄与する製品・サービスの開発を進めており、デジタル技術を活用したロボット開発を推進していく。今回の実証実験の結果から得た知見を掃除ロボットの機能の充実に生かし、さらに、デジタル技術の積極的な活用を通じて社会課題の解決に向けた開発を進めていく。

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ロボスタ編集部

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