AIスマート道路灯とローカル5Gで道路を確認 クルマの速度超過を警告、歩行者の車道に侵入を検知 NTTコムと裾野市が自治体初の実証実験

静岡県裾野市とNTTコミュニケーションズは、灯具機能に加え、筐体組込み型AIカメラや環境センサー、路面描画装置を搭載した次世代の道路照明灯であるスマート道路灯とローカル5Gを活用して、速度超過車両や歩行者の車道侵入検知などを行う国内自治体で初めての実証実験を2024年1月上旬頃~2024年2月29日まで予定している。

今回の実証実験は、総務省の令和5年度地域デジタル基盤活用推進事業に採択されて実施する。

背景と目的

裾野市は、「人と企業に選ばれるまち」を実現するために「日本一市民目線の市役所」を目指しており、昨今ではDXによる市民満足度の向上や職員の業務効率化に積極的に取り組んでいる。交通課題に対しても車両の走行データによる危険箇所の特定や、ICTの導入により2025年までの交通事故による死亡者数ゼロ、年間人身事故発生件数200件以下を目指している。

このような中で、NTTコミュニケーションズは2023年2月~3月に裾野市内でスマート道路灯を活用したLED照明による路面描画でドライバーへ路面凍結の注意喚起を行う実証実験を実施。この実証実験を通じて路面描画機能により一定の車両の減速に繋がる行動変容が確認できたことから、地域の交通安全に向けたスマート道路灯の更なる活用のため、実証実験を行うこととなった。

実証実験の害鳥と検証内容

実証実験で活用するスマート街路灯のイメージ

市道にある既設の複数の道路灯をスマート道路灯化し、大容量、低遅延、専有性の高い通信特性をもつローカル5Gに接続することで、道路灯に搭載された筐体組込み型AIカメラや環境センサーから取得したデータを利活用する実証を行う。

さらに、デジタルツイン技術を用いて裾野市の都市モデルをデジタル空間に構築。スマート道路灯から取得できる各種センシングデータの都市モデル上での可視化も行う。

期間(予定) 2024年1月上旬頃~2024年2月29日
場所 静岡県裾野市伊豆島田付近
実証内容 裾野市立南小学校/児童館前の市道1721号線に設置済の4台の道路灯をスマート道路灯化し、以下の実証を実施
・AI画像認識による速度超過車両の検知と路面描画/電光掲示による注意喚起の実施
・車道への人の侵入検知(実際の道路ではなく、委託先企業のクローズドコースにて実証を実施)
・各種環境センシング情報の可視化とデジタルツインプラットフォーム上での概念検証の実施
・スマート道路灯からの高画質映像転送による遠隔映像監視機能の実装
効果検証 実証前後の車両の行動変容を以下の内容で検証
・実証実験前と実証実験中の速度超過車数の減少割合をAI画像認識機能より抽出
・デザインスタジオKOEL(NTTコミュニケーションズの事業変革・事業創出・社内イノベーションを担うイノベーションセンター内に2020年に創設されたデザイン組織)によりスマート道路灯活用ユースケースの受容性を検証


今後の展開

パートナー企業との共創イメージ

NTTコミュニケーションズは今回の実証実験を踏まえて、スマート道路灯の商用化を図り、裾野市を含め他地域の事故多発箇所への水平展開を進めることで交通安全対策のDXを推進していく。また、特に自治体で需要の高い道路灯の省エネ化を実現するため、スマート道路灯の自動調光技術を活用して電力効率化を行う機能の開発も検討するとしている。

中長期的には、パートナー企業との共創による新たな価値の創出を通じて、防犯や設備管理、農業など地域における複数テーマの課題解決に寄与するため、人の流れや施設内外の情報、ロボットなどのモノの情報など都市に点在するさまざまなデータをシームレスに融合できるプラットフォーム「Smart Data Platform for City」のエッジデバイスとして活用していくことを目指す。


docomo business Forum’23で紹介

2023年10月12日~13日に開催する「docomo business Forum’23」にて、本取り組みの紹介を予定している。




講演名:道路灯×エッジAIで地域課題解決!~スマート道路灯が実現する安心安全のまちづくり~
講演番号:DX-04
講演日時:2023年10月13日 13:50~14:20

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム