NTT オープインイヤー型音響デバイスが進化 必要な音がクリアに聞こえる技術を確立 耳元の音を空間的に制御

NTTは、音を閉じ込めるオープンイヤー型の音響デバイスでユーザーの周囲に複数の音が混在するコンサート会場などの賑やかな場面においても耳元の音を空間的に制御することで必要な音がクリアに聞こえる技術を確立した。

本技術は、「聴きたい音」が周りに漏れずに自分だけに聴こえ、「聴きたくない音」はカットする究極のプライベート音空間を実現するPSZ(Personalized Sound Zone)をコンセプトとする研究開発成果の一つとしている。「NTT R&D フォーラム2023」でデモ体験することができる。


背景

リモートワークの普及に伴い、イヤホンやヘッドホンの長時間利用が増えているが、一方でこれらの音響デバイスの長時間利用は耳への負担が高く健康への影響も懸念されている。

NTTではこの課題を解決するため、耳を塞がないイヤホンやヘッドレスト型スピーカーなどの音響デバイスの研究開発をすすめ、音響デバイスの音を周囲に漏らさない技術を確立してきた。しかし、これらの耳を塞がない音響デバイスは、周囲の音がユーザーの耳に到達するため耳を塞がない音響デバイスの音に影響を与える問題がある。そこで、NTTでは、ユーザーの周囲に複数の音が混在する環境下でも音響デバイスからの音を聞こえやすくする技術を研究開発。今回外からの音の空間的な特性を利用して聞き取りやすく追加する方法と、外からくる音を減らす方法の2つの技術を確立した。

技術のポイント

周囲音の状況に基づく音源配置技術

周囲の音の空間的な特性を利用して耳元の音響デバイスの音を聞き取りやすく追加する音源配置技術

耳を塞がない音響デバイスを利用するユーザーは周囲の音が聞こえるため、周囲の音が音響デバイスの音に被さり、音が聞こえにくくなる課題がある。そこで、ユーザーが聞きたい音響デバイスの音を提示する位置を制御し、周囲の音が被らない位置から、あたかも聞こえるように提示することで、周囲の音が耳に聞こえる状況下でも音による情報提示を可能にした。

さらに、遠くのスピーカーでは再現することが難しいユーザー近傍の音を、耳元の音響デバイスより再生し、より定位感を高めることを実現しています。2023年11月2日に小布施町北斎ホールで開催された「第180回 NTT東日本 N響コンサート」小布施町サテライト配信公演では本技術を用い、耳を塞がない音響デバイスからの解説音声の聞こえる位置をオーケストラの演奏から分けることで、解説音声の聞き取りやすさの向上を図っている。

耳を塞がない能動騒音制御技術(ANC)

PSZのスポット再生技術を適用した新たなスピーカーを用いた耳を塞がないANC

耳を塞がず音響デバイスの音を聞き取りやすくするためには、周囲の不要な音を抑圧する必要がある。それを実現するためには、耳から離れたスピーカーから出す音波で耳元の不要な音波の打ち消しを実現する必要があるが、耳から離れたスピーカーで出る打ち消し音がマイクで収録されるため、動作をさせることが困難だった。さらに抑圧する領域を拡大させるためには従来のスピーカーでは出力が不足していた。

そこで、NTTはPSZのスポット再生技術(スピーカーの背面から放射される、逆相の音波を利用し、音漏れを抑圧することでスピーカー近傍のみに音が聞こえる領域を作り出す技術)を適用した新たなスピーカーを開発。打ち消し音がマイクに収録されることを低減することで、耳を塞がないANCの安定動作と領域の拡大を実現した。


今後の予定

今回開発した聞きたい音が届くPSZ技術を用いて、「超歌舞伎 Powered by NTT」や、NTTドコモ主催のXR絶滅動物園の音響演出など実フィールドでの検証を進めてきた。

今後は、検証の結果を踏まえ、更に様々な分野での実証実験を行い、技術のフィジビリティを高めていきます。また、新たな音響体験の創出に向けてNTTグループ各社と連携しサービス提供をめざすとしている。

尚、本技術の一部はエンターテイメント分野での空間音響アプリケーションや車室内への車載ANCをユースケースとして2023年11月14日~17日に開催される「NTT R&D フォーラム2023 ― IOWN ACCELERATION」に展示される。

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ロボスタ編集部

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