JJPC「第8回全国小中学生」「第2回全国高等学校」プログラミング大会のグランプリ決定!VR、病院経営、IoTスマートホームなど多彩なアイディア集結

JJPC(Japan Jr. Programmer Contest)は、国内で最も歴史ある生徒・児童向け「第8回全国小中学生プログラミング大会」と「第2回 全国高等学校プログラミング大会」の最終審査会と表彰式を2023年11月26日(日)に実施した。

「石ころ脱出大作戦」田口陽貴さん(中1)の発表シーン

子供たちの「表現としてのプログラミング」能力を高めるため、2016年から毎年開催されている全国規模の生徒・児童向けプログラミングコンテストで、当初は小中学生を対象としてきたが、昨年より高校と高専を対象とした大会も併催されるようになった。

河合孝契さん(中3)の「GearDifenceWar」を発表しているところ

PC・スマートフォン・タブレットで動作するプログラムやアプリ・ゲーム・ムービーなどのソフトウェア。オリジナルでプログラミングした作品が対象で、自身による改良に限って使用言語・ツール・作品の形式は問わない。

機械学習を活用したアプリケーションも。割り勘をテーマにした「WariCam」(園田暁さん:中3)


応募は60作品、9作品が最終審査に

今回は60作品の応募があり、最終審査には下記の9作品が選出された。この日の最終審査では、映像(動画)によるプログラム作品の紹介と、司会と審査員によるインタビュー(質疑応答)が行われて評価される形式となっている。


審査員は下記の通り。

審査員
川田十夢氏 AR三兄弟(審査委員長)
安達真氏 株式会社グルコース代表取締役社長
岩佐琢磨氏 株式会社Shiftall代表取締役CEO
石戸奈々子氏 NPO法人CANVAS代表理事


グランプリは「VR縁日」


グランプリには、いつでもどこでもVRで縁日が体験でき、露店の商品を手に取ったり、輪投げや射的で遊んだり、上空に打ち上がる花火を楽しむことができる「VR縁日」が受賞した。制作したのは高校2年生の高橋理企さん。





グランプリには賞状、トロフィー、副賞として富士通の14インチPCで世界最初の689グラム「FMV UH-X/H1」が贈呈される。


受賞した高橋さんは「この大会に応募するのは初めてでしたが、まさかグランプリを受賞できるなんて、本当に嬉しいです」と喜びを語った。


準グランプリは「小学生大学病院経営ゲーム」

準グランプリは横田夏向(小6)の「小学生大学病院経営ゲーム」が受賞した。ジャンルとしては経営シュミレーションゲームだが、舞台が大学病院であること、経営の要素にちょっとした病院内の派閥争いを思わせるような設定が含まれていて興味深い作品だった。ドラマ「白い巨塔」から構想のヒントを得たという。





受賞した横田さんは「中学生になったらみんなレベルアップしていたので、僕も次回からはスクラッチからレベルアップして、もっと多くの要素を付け加えできるC++やPythonも勉強して、新しいシミュレーションゲームを作りたいと思いました」と語った。


優秀賞


All IoT化システム

優秀賞の「高等学校」部門は、高専1年生の平松夏々翔さんの「All IoT化システム」が受賞した。いわゆるスマホアプリでスマートホーム向け家電を操作するリモコン分野の作品だが、平松さんは受信デバイス(ハードウェア)、制御ソフト、スマホアプリのすべてを開発した。



また、受信デバイスには、リモコン機能だけでなく温度/湿度センサー、ガス警報等のセンサー、音声発話向けスピーカーも装備し、スマホアプリから温度を確認したり、デバイスを通じて部屋にいる人にアプリから呼びかけたりすることができる。更には、各部屋にハードウェアを設置することで、自室、妹の部屋、リビングなど、複数の部屋の照明やエアコン、サーキュレイター等のスマート家電を制御することができる。Siriによる音声操作にも対応した。
なお、平松さんは前回に続く2回目の受賞となる。




日本語でフロー

優秀賞の「中学校」部門は佐野頌太さん(中2)の「日本語でフロー」が受賞した。日本語で列挙した通りに、フローチャートを自動で作成してくれるソフトウェアだ。




数学牢獄からの脱出

優秀賞の「小学校」部門は三澤康太郎さん(小3)の「数学牢獄からの脱出」が受賞した。基本的にはマス目型の脱出経路を探すゲームだが、そこに数学(算数ではなく)を絡めた。難解な数式が登場し、それを解いて進むことで、ゲームを楽しみながら数学が好きになるように、という思いが込められている。



川田審査委員長のコメント

「どの作品もレベルが高く甲乙つけ難い中、喧々諤々の議論の末、このような結果になった。最後までやりきっているか、完成まで至っているかという点を特に重視した。惜しくも優秀賞に選ばれなかった人、入選しなかった人たちの作品も光るものがあり、苦渋の決断だった。今回惜しくもグランプリを逃した人たちにもぜひ次回も挑戦していただきたい」


【番外編】ロボスタ編集部が推すのはこちら

受賞した皆さん本当におめでとうございます。また、惜しくも受賞を逃した参加者の皆さんは諦めずに是非、次回も挑戦してください。なお、大会の賞とは全く関係ありませんが、ロボスタ編集部が「これは面白い」と思った作品はこちら。


川口聡介さん(小5)の作品で「ニャメット」です。自転車に乗っている人がヘルメットを着用している割合がわずか11.2%、ヘルメットを被っていた場合の事故による死亡率の変化に着目し、自転車用ヘルメットを被りたくなるようなアプリとヘルメットを開発しました。


ヘルメットとスマホアプリが通信して、ヘルメットをちゃんと被ったかどうかをアプリが検知、被っているかどうかや、急ブレーキをかけたら過速度センサーが検知して今いる場所を親御さんにLINE通知する機能等があるほか、被れば被るほどランクアップして、ヘルメットの光るパターンを選べるようになったり、隠し機能が使えるようになるなど、楽しみながら着用を啓蒙する機能も備えています。


身を守るために重要な自転車用のヘルメット着用に着目し、IoTとアプリなどICTで解決しようというアイディアに感銘しました。

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム