NECが全国5自治体と自動運転支援の路車協調システムの実証開始 ローカル5GやMEC、路側カメラ活用
NECは、国土交通省道路局の公募「自動運転実証調査事業と連携した路車協調システム実証実験」に基づき、茨城県つくば市、群馬県渋川市、新潟県佐渡市、石川県小松市、鳥取県鳥取市の5自治体で、ローカル5GやMEC(Multi-access Edge Computing:通信端末に近い場所にサーバーを配置することで通信の遅延時間を短縮させる技術)、路側に設置した4Kカメラを組み合わせて自動運転を支援する路車協調システムの実証を2024年1月中旬から順次開始する。
なお、本公募では28自治体が採択されており、NECは5自治体以外での実証も今後予定している。(冒頭の画像はイメージ)
レベル4自動運転を見据え車載センサのみでは状況把握が困難ケースを想定
近年、少子高齢化の進行や都市部への人口集中などに伴い、地方では地域公共交通の維持・確保が求められており、こうした中、自動運転技術の活用が期待されており、実用化に向けた取り組みが広がっている。
一方で、一般車や歩行者、自転車が混在する複雑な道路環境である市街地部の交差点などにおいては、自動運転車両の車載センサのみでは状況把握が困難な場合があり、課題となっている。
NECは、将来のレベル4自動運転の社会実装を見据え、安定的で高セキュリティ、即時性のある路車協調システムによる道路全体の安全性・円滑性の向上を目指しており、今回の実証で「死角が多い交差点での右折」や「すれ違いが困難なトンネル」など、車載センサのみでは道路状況の把握が困難なケースを想定し、路車協調システムの技術的な検証を行う。
今回の実証を通じて得られた知見を活かし、政府が掲げる無人自動運転サービスを2025年度までに50ヶ所程度、2027年度までに100ヶ所以上の地域で実現するという目標の達成に貢献するとしている。
本実証の概要
場所 | 茨城県つくば市、群馬県渋川市、新潟県佐渡市、石川県小松市、鳥取県鳥取市 |
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期間 | 2024年1月中旬から2月下旬にかけて各自治体で約1ヶ月間実施 |
本実証で用いる路車協調システムと検証の内容
ローカル5G基地局とMECを活用し、路側に設置した4Kカメラの映像を分析して歩行者や自転車などの交通参加者、車両の位置や速度などの情報を自動運転車両のタブレット端末に送信し、これらの路側から得られた情報の有用性を検証する。
ローカル5Gの活用により、高セキュリティで大容量・低遅延かつ安定的な情報の送信が可能。また、4Kカメラにより遠方まで高精細な映像を取得できるため、道路上の広範囲にわたって交通参加者を捉え、MECを用いてその場で即時に分析可能となる。
各自治体の実証コースでの実施ユースケース
茨城県つくば市:大学構内で交通参加者の横断が多い道路での運転判断
群馬県渋川市:鋭角な右折時や歩道のない曲線路での運転判断
新潟県佐渡市:一車線のトンネル内での対向車とのすれ違いの回避
石川県小松市:交通参加者や車両の往来が多い駅前ロータリーなどでの衝突回避支援
鳥取県鳥取市:一車線の道路での対向車とのすれ違いの回避
※自治体により複数のユースケースで実証を行う場合がある