外出困難な人が分身ロボットを操作して店員となる「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の神戸での開催が決定

オリィ研究所は、難病や重度障害などで外出困難な人が分身ロボットを操作して店員となる「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の期間限定地域キャラバンカフェを神戸にて実施する。

分身ロボットカフェDAWN ver.β in Kobe

神戸開催は、2024年9月20日から10月6日までの16日間。会場は東遊園地内のアーバンピクニックラウンジ (park kitchen WEEKEND 横:兵庫県神戸市中央区加納町6-4-1)で行なわれる。

オリィ研究所はこのキャラバンカフェを2022年度は福岡・札幌、2023年度は広島・京都にて開催し、外出困難者が働ける事例を広く発信し賛同者を増やしてきた。この取り組みに関心を持つ障害当事者や雇用側となる地元企業にも「遠隔就労の可能性」を知ってもらうことで、外出困難者の就労問題に一石を投じる活動となることを狙っている。

今回もキャラバンカフェでは、バイオジェン・ジャパンの支援を受け、地元の特別支援学校の生徒が、分身ロボットカフェで働く先輩達に教わりながら遠隔で接客の仕事体験を行う「遠隔就労体験プログラム」も実施する。

肢体不自由の特別支援学校高等部の卒業生の就職率は毎年5~10%と言われており、この取り組みを通じ、障害者雇用を推進したい地元企業の視察も受け入れ、関西での就労実績を広げていく計画としている。

分身ロボットカフェDAWN ver.βとは

分身ロボットカフェDAWN ver.βとは「人類の孤独を解消する」を理念に掲げる株式会社オリィ研究所が運営する実験カフェ。重度肢体障害、難病患、家族の看護や介護などの理由で外出や移動が困難な人々が、分身ロボットOriHimeを遠隔操作し、オーダーや配膳、お客様との会話など接客を行うなどし、新たな働き方を開発している。

2018年から4回の短期イベントを経て2021年6月、東京日本橋に常設実験店を開店。移動困難で就労を諦めていた方たちが分身で働く方法を確立。「OriHimeパイロット」として働くのはALSをはじめ難病や重度の障害、様々な事情で今まで就労の機会を得ることができなかった人々。身体が動かなくてもテクノロジーを導入することで自宅や病院に居ながらにして社会に参加し、人と出会い、誰かに必要とされる新たな方法と、社会多様性のありかたを提唱してきた。

この取り組みの中で「分身ロボットカフェ」でトレーニングを積んだOriHimeパイロットが企業就労を打診される事例が多く生まれたことから、オリィ研究所ではOriHimeパイロットら当事者らと共に、2020年からいち早く遠隔就労にフォーカスを当てた人材紹介を事業化。2023年にはテレワーク特化型人材紹介サービス「FLEMEE」をリリース。

たとえ重度障害があっても自分らしく働きたい当事者、障害者法定雇用率を達成したいと考える企業、 障害者雇用問題に悩む地方自治体などからの問い合わせが増え、実際に就労に繋がったOriHimeパイロットは延べ100名を超えた。現在、NTTの総合受付、モスバーガー原宿表 参道店、神奈川県横浜市「cafeツムギstation at Yokohama Kannai」、和歌山県白浜町「アドベン チャーワールド」、新潟県長岡市「米百俵プレイス ミライエ長岡」など全国各所で分身ロボットOriHimeを使った就労が広がっている。

このプロジェクトを機に「分身ロボットを活用したテレワーク」という新たな社会参加の形をさらに広く社会実装するため、2022年から各協賛企業の支援を得て全国でのキャラバン形式のカフェ開催に踏み切った。

2018年に実施した第一回分身ロボットカフェDAWNで、接客を担当したのは10名のOriHimeパイロットだった。期間限定の社会実験として開始された当プロジェクトも、利用客にあたたかく迎えてもらいながら仮説検証を繰り返し、仲間を徐々に増やし2024年現在、約75名の公認パイロットが在籍している。




分身ロボットカフェDAWN ver.β in Kobe 詳細

会場名 アーバンピクニック ラウンジ (park kitchen WEEKEND 横) 
所在地 兵庫県神戸市中央区加納町6-4-1 東遊園地内
開催期間 一般営業 :2024年9月20日〜10月6日
営業時間 :11:30〜19:00
体験料 2,500円(税込) (75分入れ替え制・お食事とワンドリンク付き)
提供メニュー 公式サイト参照
定休日 ※2024年9月24日 イベント開催のため休業
事前予約開始 2024年8月22日 15:00~
https://coubic.com/orylab
席数 4人がけテーブル×6卓、1人がけカウンター×4席
※混雑時はご相席になる場合がございます。
事前予約の際のご注意 予約の最少人数:1名〜
団体予約(9名様以上)・ご視察については公式サイトをご覧ください。
アクセス 神バス 西宮神戸線「神戸税関前」より徒歩4分
電車でお越しの場合⇒フラワーロード沿いを南へ
市営地下鉄西神・山手線三宮駅 東出口4より徒歩13分
市営地下鉄海岸線三宮花時計前駅 4番出口より徒歩6分
その他バリアフリー情報 バリアフリートイレ:併設しています
ベビーチェア:ご用意しております
人工呼吸器・電動車椅子用の電源の貸出し:ご用意しております
お食事に配慮が必要なお客さまへの器具貸出し:ご用意しております
提携駐車場:なし


オリィ研究所代表 吉藤オリィ 氏 コメント

皆さんは家から出られず天井を眺め続ける生活を想像した事はあるでしょうか?

私は学校にも通えなかった昔、そのあまりに孤独な体験から、もうひとつの身体が欲しいとずっと思っていました。
分身ロボットOriHimeはAIロボットではなく、人が遠隔から操縦する「分身」ロボットです。このOriHimeは入院している人が学校や社会とつながるためのもうひとつの身体、”心を運ぶ車椅子”として誕生しました。
2014年には頸髄損傷のため寝たきりの当事者社員をOriHimeで仲間として雇い、2018年にはOriHimeを使った更なる働き方の開拓を目的として10人のOriHime操作者が参加する世界初の「分身ロボットカフェ」を開催。その後も実験を重ね、2021年6月に東京・日本橋に「分身ロボットカフェDAWN ver.β」常設実験店をオープンしました。当初10人だったパイロットも80名近くまで増え、今ではカフェでの接客業務だけでなく、たくさんの自治体や企業にも導入され、ご案内業務や商品のご説明、図書館での読み聞かせなど、皆で活躍の場を拡げています。外出困難、たとえ寝たきりでも、人は仲間と働く事ができるのです。
こうした取り組みを東京だけでなく日本全国に広めるべく、2022年度から全国を巡る「キャラバンカフェ」を開催。福岡、札幌、広島、京都の各エリアのみなさまにご覧いただいたことで実際にOriHimeを使った社会参加機会を作る事につながっています。今年度は念願だった神戸市、名古屋市での開催が決まり、今までと同様に各エリアでの障害者の社会参画の機運が盛り上がることを期待しております。
私達は皆、いつかは移動困難になります。
将来私達が寝たきりになったとき、どんなキャリアを描けるでしょうか?
どのように人に喜ばれるでしょうか。
ぜひそんな目線で、一緒に当カフェを楽しんでいただけると嬉しく思います。


分身ロボットカフェDAWN ver.β in Kobe  協賛企業一覧(敬称略50音順)




分身ロボットカフェDAWN ver.βでのOriHimeを使った接客の様子

注文のドリンクをOriHime-DでOriHimeパイロットが席まで届ける。※写真は東京・日本橋店

左:遠隔就労体験の研修を受ける特別支援学校の生徒の様子 / 右:先輩パイロットから、接客の研修を受ける様子


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ロボスタ編集部

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