分身ロボットでカフェの来店客をおもてなし オリィ研究所ら特別支援学校生徒向けの遠隔就労体験プログラムを神戸と名古屋で実施

オリィ研究所と、バイオジェン・ジャパンは、難病や重度障がいなどで外出困難な人が分身ロボットを操作して接客を行う「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の神戸・名古屋で開催される期間限定地域キャラバン店において、重度肢体障がいを持つ生徒達のための「遠隔就労体験プログラム」を実施することを決定した。

特別支援学校に通う中・高等部生を対象に「遠隔就労体験プログラム」を実施

これまでオリィ研究所は、期間限定地域キャラバンカフェを2022年度福岡・札幌、2023年度広島・京都にて開催してきた。2024年度は、2024年9月20日~10月6日の期間に神戸の東遊園地内のアーバンピクニック ラウンジ(park kitchen WEEKEND 横:兵庫県神戸市中央区加納町6-4-1)で、2024年11月1日~17日に名古屋で開催することが決定している。

生徒が分身ロボット「OriHime」を操作して、接客練習を行っている様子

このキャラバンカフェ開催に併せて、各開催地域の特別支援学校に通う中・高等部生を対象に実施しているのが「遠隔就労体験プログラム」だ。

生徒たちは学校や自宅などの遠隔地から、PCやタブレットを使いOriHimeを操作。カフェに来店した利用客に対してOriHimeの姿で接客体験を行う。接客デビューに向けた遠隔研修を、神戸は2024年9月~、名古屋は2024年10月~実施を予定している。なお、本取組みはバイオジェン・ジャパンの支援を受け実施する。

分身ロボットカフェDAWN ver.β / 期間限定地域キャラバンカフェとは

分身ロボットカフェ DAWN ver.βとは「人類の孤独を解消する」を理念に掲げるオリィ研究所が運営する実験カフェ。重度肢体障害者・難病患者、海外在住者など外出・移動が困難な人々が、分身ロボットOriHime・OriHime-Dを遠隔操作し、オーダーや配膳、利用客様との会話などの接客を行っている。

2021年6月、東京日本橋に常設実験店を開店。OriHimeパイロットとして働くのはALS、SMA(脊髄性筋萎縮症)をはじめ難病や重度の障害、様々な事情で今まで就労の機会を得ることができなかった人々である。

このプロジェクトを機に「分身ロボットを活用したテレワーク」という新たな社会参加の形をさらに広く社会実装するため、オリィ研究所は各協賛企業の支援を得て全国でのキャラバン形式のカフェ開催に踏み切りった。2022年度は福岡・札幌、2023年度は広島・京都にて開催。外出困難者が働ける事例を広く発信し賛同者を増やしてきた。

2024年度は、9月に神戸・11月に名古屋で開催を予定しており、この取り組みに関心を持つ障害当事者や雇用側となる地元企業にも「遠隔就労の可能性」を知ることで、外出困難者の就労問題に一石を投じる活動となることを狙っている。

OriHime遠隔就労体験プログラムとは

障がいを持つ生徒のための特別な配慮を行う専門の教育施設として特別支援学校があるが、肢体障がいを持つ卒業生の進路は他の障がいを持つ卒業生と比べても福祉施設への入所や通所する割合が非常に高く、就職や進学といった道を選択するケースが非常に低いことが問題となっている。


令和2年(2020年3月)の特別支援学校卒業後の進路(文部科学省「学校基本調査」より)

オリィ研究所ではこうした状況を打破すべく、2022年度に重度肢体不自由の生徒向け、学校や自宅といった遠隔地から操作することのできる分身ロボット「OriHime」を使った遠隔就労体験の受け入れを東京・日本橋の「分身ロボットカフェ」にて実験的に行った。これにより、生徒自身に限らず、そのご家族、教育現場の先生までもが本人の具体的なキャリアイメージについて考えるきっかけとなったため、バイオジェン・ジャパンの支援を受け、以降も引き続きプログラムの実施を決めた。



カフェでの接客デビューに向けた、先輩パイロットとの遠隔研修のようす

遠隔で行われる全6回の研修は、東京・日本橋の分身ロボットカフェで働いている「先輩パイロット」と、今回初めて遠隔就労体験にチャレンジする特別支援学校の生徒がチームになって研修を積み、地元で開催される「期間限定地域キャラバンカフェ」でのデビューを目指す。




これまで2022年度は福岡・札幌、23年度は広島・京都と、延べ28名の生徒が本プログラムに参加しており、2024年度は、キャラバンカフェが開催される兵庫県と愛知県において各エリア6名、合計で約12名の生徒の受け入れを予定している。

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ロボスタ編集部

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