「立ち止まらずに1分間に100人をリアルタイム認証」NECがグローバルで販売開始 入場ゲートの混雑を緩和

NECは、公共施設などにおける入場時の混雑緩和の実現に向けて、生体認証技術により立ち止まることなく一度に多人数を認証するシステムを2024年9月に日本、アメリカ、シンガポールを中心にグローバルで販売を開始すると明らかにした。

1分間に100人のリアルタイム認証を実現

インバウンド需要の急増を背景に、空港をはじめとする交通機関やアミューズメント施設などの公共施設の利用者が増加しており、混雑緩和に向けた施設拡張や増設が追いついていない状況だ。特に空港では、搭乗者数が2019年比で2041年には約2倍になる予測があり、旅客のハンドリング効率化が求められている。

また、これまでテーマパークやオフィス、工場などに多人数が集中した際、フラッパーゲートや警備員のいる通用門を通過するための長い行列ができるなど混雑が発生していた。

今回販売を開始するシステムは顔認証技術と、身体の特徴から人物を照合する技術を用いることで、あらかじめ設定した入場エリア内の人物をスピーディに検出するだけでなく、混雑下でもその人物を継続して認識し続けることができる。また、多人数が立ち止まらずに自然に歩きながらでも検出することができるため、1分間に100人のリアルタイムな認証を実現するとしており、これまでの入場管理システムのように、一人ずつ順番に通過させるためのゲートが無くとも、行列を解消し、利用者の負担を軽減するスムーズな入場が可能となる。


本システム認証の流れ

希望する企業向けのカスタマイズ機能として、事前に顔画像を登録していない利用者が通過しようとした場合は、頭上や床面などに設置したディスプレイやイルミネーションで視覚的にアラートを示すことができる。認証時には、事前にダウンロードしたアプリやメールで本人に認証完了したことが通知される。これらにより、利用者とスタッフそれぞれが入場可否をその場で簡単に把握することができるようになるため、利用者の通行と認証の効率性を向上できるだけでなく、既存施設の拡張や増設をせずとも混雑を緩和できる。

NECは2024年7月、国内のNEC社員2万人を対象に本システムをNEC本社ビルに導入。従来、社員証をかざして解錠していた自動ドアを、利用者は歩きながら顔認証することで、手ぶらで通過が可能となった。さらに、利用者が左右どちらの扉に向かったのか本システムが判断し、通過する扉を解錠することもできるとのことだ。

システムの特長

1:リアルタイムに多人数同時認証


リアルタイムに多人数を同時に認証することにより、利用者が立ち止まらずに通行でき、認証の効率性を向上します。空港、アミューズメント施設といったさまざまな利用シーンで混雑緩和、業務効率化に貢献する。

2:容易な導入


最小構成として、ハードウェアアクセラレーション技術を組み込んだ手のひらサイズの小型エッジ端末とカメラ1台から導入が可能。これにより、多様な場所での導入やコスト面での効率の良い増設を実現する。

3:ニーズにあった多様なアプリケーションと柔軟に連携可能


企業のニーズにあったシステムを柔軟に実装でき、「Bio-IDiom Services ID連携」による生体認証・ID連携機能など幅広いアプリケーションと接続し、多様なユースケースでの活用が可能。将来的には、ARグラスなどと組み合わせることで、セキュリティとホスピタリティの両立も実現する。

販売開始時期、販売目標

販売開始時期 2024年9月30日
販売目標 3年間で100件以上

NECはDXに関して、ビジネスモデル、テクノロジー、組織・人材の3軸で、戦略構想コンサルティングから実装に導くオファリングなど、End to Endのサービスを提供している。さらに、従来型のSIerから「Value Driver」への進化を目指し、その価値創造モデルを「BluStellar」として体系整理。業種横断の先進的な知見と研ぎ澄まされた最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客様の経営課題を解決に導くとしている。

NECの顔認証技術について

NECは、米国国立標準技術研究所(NIST)が主催する顔認証技術のベンチマークテストの中でもより高い精度が求められる「1:N認証」のテストで、世界第1位の評価を複数回獲得している。コアとなるアルゴリズムの性能向上を図りながら、顔認証の社会実装を推進し、これまで世界50以上の国と地域で顔認証事業を展開。
世界の空港における導入数は延べ80を数え、出入国管理や税関申告、搭乗手続き、おもてなし等、さまざまな用途での活用が進み、顔認証技術の代表的なユースケースとして広がっていまる。また、端末のOSログオンを顔認証で行うことでセキュリティと利便性を向上する「NeoFace Monitor」の導入数が1,000を超えたほか、顔認証クラウドサービスの国内利用者数が100万に到達するなど、業界をリードし続けている。

関連サイト
日本電気株式会社

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