![](https://robotstart.info/wp-content/uploads/2025/02/2502_aerosense.jpg)
自社開発の国産産業用ドローンとクラウドサービスを通じてさまざまなソリューションを提供するエアロセンスは、2024年12月25日、経済産業省を中心に政府関係省庁が一体的に推進する「デジタルライフライン全国総合整備計画」の取り組みの一環であるドローン航路整備の実証実験において、国内初となる飛行機タイプのレベル3.5飛行を同社の垂直離着陸型固定翼ドローン「エアロボウイング」を用いて実施した。
なお、今回のカテゴリーⅡ飛行における機体は第二種機体認証を取得しており、操縦者は二等無人航空機操縦者技能証明を保有しているため、レベル3.5飛行における事前承認不要の運航となった。(DIPS2.0での飛行計画通報及び、有人機との干渉を避けるためにNOTAM(航空機の飛行経路の管制管理システム)による通知は実施。)
背景
経済産業省では、人口減少が進む中デジタルによる恩恵を全国津々浦々に行き渡らせるため、約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定している。本計画は、デジタル完結の原則に則り、官民で集中的に大規模な投資を行い、共通の仕様と規格に準拠したハード・ソフト・ルールのデジタルライフラインを整備することで、自動運転やAIのイノベーションを社会実装し、人手不足などの社会課題を解決してデジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成を目指している。
デジタルライフライン全国総合整備計画では、アーリーハーベストプロジェクトのひとつとしてドローン航路が位置付けられており、約10年で全国の送電線上空に約4万km、一級河川上空に約1万km、計5万kmの整備が計画されている。ドローン航路は、「ドローン運航のための社会的理解の醸成が進んだ範囲であり、地上及び上空の制約要因に基づいて立体的に最外縁が画定された運航環境において、航路運航支援及び航路リソース共有を実現するもの」だ。(「デジタルライフライン全国総合整備計画」p.29 より抜粋)。
従来、ドローンの飛行の際には運航会社がそれぞれ飛行ルートの計画や各種調整、リスクアセスメント等を個別に行い、周知や情報共有をしていた。しかし、ドローン航路の整備により、運航会社が個別に行なっていた飛行ルートの事前調査や周辺関係者との調整、リスクアセスメントにかかる手間や費用が協調領域として集約されることで、運航会社の時間とコストを大幅に削減できる効果が期待されている。
目的
「デジタルライフライン全国総合整備計画」の一環として、ドローン航路を活用しドローンによる巡視・点検や配送等の普及を後押しすることを目的に、この度実証実験を行った。なお、当実証実験はNEDOが実施している「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」においてトラジェクトリーが実施し、HMK Nexus・エアロセンスがドローンの運航を担った。
実証実験の実施概要と飛行ルート
当実証実験は、薬局がない阿多古地区の病院で診察を受けた患者に発行された処方箋を二俣地区の薬局に送信し、近隣の調剤薬局で処方された医薬品をドローンで迅速に運搬することを想定し行われた。
医薬品を積んだエアロボウイングが浜松市天竜壬生ホールを離陸し天竜川沿いを北上後、約11kmの距離を飛行し、目的地の下阿多古ふれあいセンターに到着。無事患者に医薬品を配送し当実証実験の成功を期に、ドローン航路整備の検討を進める有益な機会となった。
エアロセンスでは代表取締役社長の佐部が2024年12月に新たに、無人航空機の種類のうち飛行機に対応した無人航空機操縦者技能証明(二等)を取得したことで、飛行機モードでのレベル3.5飛行が可能となった。また、この技能証明と2024年6月にVTOL型ドローン「エアロボウイング(AS-VT01K)」が取得した第二種機体認証とを合わせることで、飛行許可・承認が不要となった。
今回の運用は飛行機タイプとしては初のレベル3.5飛行であり、事前の許可・承認手続きをせずに実施することができました。今後も当社はVTOL型ドローンの活用を切り開き、社会実装を進めるとしている。
AIとドローンを駆使「ピンポイントタイム散布」が圃場数11万/年を達成 「OPTiM スマート農業サービス 2025」開催
ロボット関連81社が進出「福島イノベーション・コースト構想」の現在 空飛ぶ車や人機一体など関連企業5社が紹介
NEDOが革新的なドローン運用技術を開発 1人のオペレーターが自律分散協調飛行するドローン群の運用による高度な調査活動を可能に
成田空港でドローンによる保守点検導入に向けてレベル2飛行実証をプロドローンが実施 小型無人機等が飛行禁止の指定空港では初
エアロセンス株式会社
この記事を読んだ人におすすめ
-
イームズロボティクス、業務拡大に向けた大規模な成長戦略を発表 ドローンやVTOL、UGVを多くの分野向きに開発へ
-
放流時に河川利用者を見回る広範囲な河川巡視にドローンとLTE通信を活用 NTTイードローンが効果検証を実施し十分な効果を確認
-
高齢者施設で分身ロボット「OriHime」の操作や会話の実証実験を開始 高齢者が操作、遠隔社会参加の可能性と効果を検証
-
「遠隔就労とロボット技術を活用したサービス革新」を開発実証 エイムが「ぐんま未来共創トライアル補助金」に採択
-
名古屋市栄地区で自動配送ロボットを活用したラストワンマイル配送実証実験を実施 企業・団体向けに現地見学会も開催
-
図書館流通センターとハピロボが図書館運営に向けて「temi」の実証実験開始
-
KDDIと「B.LEAGUE」所属の富山グラウジーズがロボットを活用した実証実験 運営の省人化・体験価値向上を目指す
-
RoBoHoNが高齢ドライバーの安全運転のチェックと支援 実証を経て2026年度中の商用化を目指す
-
経産省他4者が「デジタルヒューマンによる観光コンシェルジュ」 等の実証実験を開始 中部地域の伝統工芸品・地域資源等の魅力を訪日外国人旅行者に発信
-
川崎市で都県をまたぐ自動運転バスの実証実験スタート、2027年度にレベル4の社会実装を目指す 出発式と試乗会を開催