顔・指紋・静脈の生体認証に対応したスマートロック「SESAMEフェイス」シリーズ発売 24時間で1万台を販売

スマートロック、SESAMEシリーズで知られるCANDY HOUSE JAPAN 株式会社(以下CANDY HOUSE)が新製品「SESAMEフェイス Pro」の発売を同社のYoutubeチャンネルで発表した。発送は5月末を予定。

顔、指紋、手のひらの静脈パターンなどの生体認証にくわえ、カード、パスワードよる解錠が可能。CR123Aリチウム電池6本を搭載可能(販売時は2本を同梱:約1年間駆動)で、最大で3年以上の長期間駆動を実現している。価格は税込 6,578円。

また、パスワード認証を省いた「SESAMEフェイス」も税込6,028円で同時発売。
こちらに関しては発表一夜明けた12時で5月末出荷分5000台を完売、SESAMEフェイス Proは発表6月中旬出荷品の予約を開始している。
(2025年5月15日14時追記:発表後24時間でSESAMEフェイス Proも5月末出荷分5000台を完売。6月中旬出荷品の予約へと移行している。)


左が「SESAMEフェイス」、右が「SESAMEフェイス Pro」
商品名 SESAMEフェイス SESAMEフェイス Pro
価格 5480円 5980円
サイズ 90.2×47.6×28.1mm 122×47.6×28.1mm
電池寿命 約365日(電池2個)~
730日(電池4個)
約365日(電池2個)~
1100日(電池6個)
解錠方法
(パターン数)
顔認証登録(100枚)
手のひら静脈(100枚)
カード:
Felica、MIFARE対応(1000枚)
指紋登録可能数(100枚)
顔認証登録(100枚)
手のひら静脈(100枚)
カード:
Felica、MIFARE対応(1000枚)
指紋登録可能数(100枚)
パスワード(100通り)
防水 IP65 IP65
取り付け 両面テープ
マグネット(別売り)
両面テープ
マグネット(別売り)
連携可能な
セサミ台数
2台 2台




特徴

詳細はCANDY HOUSE社のYoutbeに譲りたいが、彼らの生成AIへの興味関心の現れからか、AIについての基礎的な説明なども含まれるため冗長に感じられる方もいるかも知れない。
動画の中から軽くスペックや特徴について注目すべき点を紹介してみよう。

対応可能なSESAME。スマートロックに加え、スイッチ操作用デバイス(セサミボット2)、自転車用ロック(セサミサイクル2)など。解錠にあわせて玄関の電気をつけるなどもできそうだ。


顔認証用のカメラ、赤外線投射部、動体検知用レーダーの分、セサミタッチに比べてサイズアップはあるが、その分に電池を詰め込んでいる。
ユーザーフィードバックからボディの浸水箇所を減らしIP65を実現。



iPhoneの顔認証機能に使用されているTrueDepthカメラと同様、赤外線ドットを投影、赤外線カメラで撮影することで3次元形状を把握するため、化粧していても暗闇環境であっても認識可能。3次元形状把握とAIによる推論の成果からか、かなり面白い形のサングラスをかけていても認識可能なようだ。


スマホと違って固定されていること前提であるため、視野角や解像度、被写界深度が大きめに取られている。


また、静脈認証に関しては投影した赤外線が赤血球に反射した血管パターンを認識。簡単に登録でき、顔認証と同様0.9秒で解錠できる。


そして、SESAMEシリーズにたいして毎回おもう異常な価格帯。
キーパッドがついたProでも5980円なので、「子供用の顔認証(3歳から)」を増設しても、比較的ローコストで導入できる。


子育て世代ではないので刺さらない、という方もいるかも知れないが、こういった価格帯であれば、家事代行サービスや、訪問介護など、家に他人が入ってしまうスペースがあるシチュエーションがある方に向けて「プライベートスペース向けの施錠」なども容易だろう。


感想

ざっと、動画からの情報をなぞってみたが、強く感じた点は二点。
生成AI時代での生体認証リスクと、スマホ搭載センサーによる価格破壊だ。


ネット情報から推論できない生体認証を



「亡くなった人の顔や手では開かない」というコピーは米国にも展開する企業ならではの表現かもしれないが、「複数の写真から生成した3D造形物や指紋では開かない」という言い方であれば、日本市場でも不正認証を抑えるリスクを感じることはできるだろう。

高解像度なカメラで撮影されたピースサインから指紋を読み取れる。というニュースは2020年以前からある。指紋読み取り部やドアノブなどから採取した指紋と複合して3Dプリントしたもので解錠、というリスクが一般化することもここ数年のAIの進化からすれば十分ありえるだろう。

そういった意味では「特殊なカメラでしか撮影できない静脈パターンを非接触で取得し、認証に使用する」という静脈認証は非常にセキュアだ。

また、会社などで使用する際に、「指紋を採取されてるようで抵抗がある」というユーザーも予想されるため、幅広い適用範囲が見られそうだ。


急速にコモディティ化する「スマホ、車載」センサー

そして、このような情報で解錠するには、コモディティ化したセンサーの存在が不可欠だ。
iPhoneがTrueDepthを搭載し始めたのが2017年。10年弱の時間が経過したとはいえ、5千円強で販売されるプロダクトに搭載されるようになったというのは驚きだ。

スタートアップのロボットエンジニアは、低価格化を狙うため、一気にコモディティ化する「車載」「スマホ搭載」のセンサーデバイスや開発環境に目を配るが、こういった目で「急速に低価格化したプロダクト」に対して注目してみると面白いかもしれない。

ABOUT THE AUTHOR / 

梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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