長谷工とKiQ、石黒浩氏、家が生きているかのような特別な住体験を創造する「ivi project」を発表

KiQは、長谷工コーポレーションとロボット工学の第一人者の石黒浩氏と共に、「ivi project」を発表した。

光、音、香りといった住空間を構成する要素が、人の行動や時間の流れに応じて変化するシステムを組み込み、特許技術として申請。家自体がアダプティブに変容することで、指示を出さずとも環境が呼応し、まるで家自体が生きているかのような特別な住体験を生む。このように人工物に生命感を宿し、人と住まいが共鳴する新たな住環境を創造する本プロジェクトの一環で、東京都杉並区にオープンする生きている家「ivi house」を通じ、人間の感性が豊かに響き合う未来を提案する。

プロジェクトの背景

外観

あらゆるものが自動化され、AIが高度に進化する中で、「利便性の向上」だけを追求する社会は、本来日本人が大切にしてきた身体的・精神的な感受性、創造性を鈍化させつつある。そこでKiQは、住まいという空間が、人の感性を引き出し、共鳴し合う場として機能するよう、現代の建築技術を活かしながら、「動き、感じ、つながる」新しい形の住環境を設計。

「住まい」は単なる建築物ではなく、人と自然、人と技術が動的に調和する「生きた空間」へと進化する必要があり、住居が感性の可能性を拡張し、住む者と共に成長する存在であるべきだと考え、「動き、感じ、つながる」家は、空間自体が人を感じ取り、呼応することで、行動と感覚がより直感的に結びつく新しい住文化を築き、人の感性を引き出し、刺激する存在として、これまでにない人と住宅の新しい共生のかたちとして再定義。

「住む人が、永く安心して快適に暮らせる住まいづくり」 を実現するために、長谷工コーポレーションの「長年の技術力・施工力」に加え、KiQの「所作・非言語領域の研究支援とクリエイティブ力」と、石黒氏の「人と関わるロボット・環境制御技術」を取り入れた。住む者と家が感性で対話し、共鳴する未来型住居を創造する。

これまでの家では、住む人が生活の流れに合わせてスイッチを押すことで、室内環境を変化させてきたが、「生きている家」はスイッチの操作になるべく頼らず、人間の行動や時間に応じて自律的に変化する住まいである。これにより、家そのものが住む人に合った“スタンス”や“性格”を持つようになり、人と住環境がより深く交わるとしている。

技術と美学が融合する住環境

化粧室

「ivi project」では、以下の5つの要素を融合し、これまでにない感性豊かな住空間を実現している。

1.所作の美学

住む人の動線や仕草に呼応する空間設計。曲面形状や動線配置が、自然で優雅な所作を引き出し、日常に美しさをもたらす。

2.人と関わる環境制御技術

照明・音・香り・空気の要素が、センサーによって時間帯や人の行動に合わせて自動調整。家が住む人の感覚に寄り添い、対話する存在となる。

3.人間の振る舞いと調和する曲線美

コンピュテーショナルデザインにより外装に有機的な曲線を取り入れています。内装にも曲線的なアプローチを活かしながら感覚的な心地よさと環境調和を実現している。

4.人格を持つ住まい

人の行動に反応して自律的に変化することで、住まいがひとつの“スタンス”や“性格”を持ち始め、まるで人格を宿すかのような存在として共に暮らす。

5.人間性中心の生活環境

人と人、人と環境が調和し、利便性や効率性ではなく、人の感性・創造性・余白を大切にする空間づくりによって、都市にいながらも自然との一体感を感じる新たなライフスタイルを提案する。

生きている家(Living House)

玄関ホール

「つながる、生きている家」 都市における自然とのつながりを取り戻し、生命感のある住環境を提供し、人と家が調和する新たな住環境を実現する。

視覚: 外観デザインにはコンピューテーショナルデザインツールを用いながら、日本家屋の生垣を想起するような設計を実現。また、床・壁・外壁など、家の各所に曲線的な造形を施し、従来の“角”を排した有機的なデザインを構築する。これにより、空間そのものが視覚的に呼吸し、変化するような感覚を生み出す

嗅覚:朝と夜、1階と2階でそれぞれ香りを切り替えるシステムを壁内に組み込み、生活に寄り添った自然な香りの演出を実現。空間が人のリズムに寄り添うことで、まるで自然のそばに住んでいるような没入感を生み出す。

聴覚:本プロジェクト独自の理論に基づいたサウンドデザインと、マルチチャンネルシステム(特許出願中)によって、自然に包み込まれるような心地よさを提供する。

触覚:アフォーダンスにそって決定された室内空間の流れるような造形によって、家が有機的な広がりを持つように設計されている。また、内装材は触り心地や踏み心地にこだわって選定し、人工的な質感を避けることで、より温かみのある触感を生み出し、住まいの手触りが、居住者に安心感と親密さを与える。


寝室

浴室

離れの書斎

書斎


制作における対談動画も公開

石黒教授と、KiQの代表である菊地あかね氏が、長谷工グループとの共創プロジェクト「ivi project」をテーマに語り合う対談動画も長谷工グループの公式YouTubeチャンネルで公開されている。未来の住まいを創造する「ivi project」の裏側に、対談形式で迫る。

『ivi house』一般公開について

公開期間 2025年6月1日〜10月中旬(予定)
公開日 平日・土日祝(※お盆期間を除く)
定休日 水曜日
予約 ivi house公式サイトより受付可能


KiQについて

KiQは東京を拠点としロサンゼルスと東京を拠点にグローバルに活動するラボ併設型デザインファーム。

2024年にはShosa Labを立ち上げ、所作や身体知の研究を行いながら、ブランド・プロダクト/サービスから空間演出までカテゴリーにとらわれず、”Arts&Culture” ”Design”“Science”を越境しながら、サービスや企業、プロダクトなど、あらゆるブランディングやクリエーションを行っている。

また、エクスペリエンスのディレクションやコラボレーションを通して、日常に溢れるモノゴトの再解釈に挑戦しています。私たちは、グローバルな視点を持ち、文化や多様性に配慮しながら、異なる視点を「調和」させ、日本発でありながら世界に後世にも残る価値をつくり出す。

ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム