ロボット・AIベンチャーの株式会社アールティ(東京都千代田区)は、ロボットによる自動化が難しいとされる「弁当のおかずの盛り付け作業」を、人と隣り合わせでも安全に行うことができる協働人型サービスロボットのプロトタイプを発表した。
これは、同社が今年6月に発表した双腕ロボット「Sciurus17(シューラスセブンティーン)」をベースとしたもの。弁当工場におけるベルトコンベアのラインで作業することができるロボットだ。
人が隣にいても「圧迫感」や「恐怖」や「危険」を与えないように、身長130から150cm、肩幅39cmと、小柄な成人女性のサイズを参考に設計されている。また、人の動きに合わせた適度な作業速度を取り入れ、万が一人とぶつかっても衝撃を少なくするため、各モーター部にトルクと位置のハイブリッド制御を採用している。腕部の可動域には人の指や手が挟まりにくい設計を施すなど、人に優しい対策が数多く取り入れられている。
頭部のカメラで番重と呼ばれる食品コンテナにばら積みされた不定形な弁当のおかずを識別し、アーム・ハンド部がその一つを取り出してお弁当箱に盛り付ける機能をもつ。これにより、唐揚げなどの山積みとなった食材が小さな個体の集合体であることを認識し、食材の山からそのひとつを取り出し、盛り付けることができる。
画像認識は、Googleの「TensorFlow」を活用したディープラーニングにより実現している。
キャスター付でロボットを簡単に移動させることができるため、1時間に3~4種類の弁当を休みなく作り続ける弁当製造ラインでも、このロボットであればおかずを盛り付ける順番の変更を容易に行うことができるとしている。
アールティは、人手不足に悩む弁当工場業界の声をかたちにした協働人型サービスロボットの早期実現を目指しており、今後はシステムインテグレーターの協力を得ながら弁当工場内にプロトタイプロボットを設置、2018~2019年中の実証実験を行い実用化に向けた開発を進める予定だ。2019年中に量産型プロトタイプを公開、販売予約を開始し、翌2020年中の生産・納入を目標としている。
株式会社アールティ



