本格的なDeep Learningで機械学習したAIシステムを実装できるAI自律動作ロボット「JetBot」(ジェットボット)の開発キットがまもなく、早ければ6月中にもGClue(ジークルー)から発売されるようだ。
それを先取りし、NVIDIAとGclueが講師となって「JetBotのハンズオン・ワークショップ」が開催された。
DLLAB 2周年記念イベントでJetBotワークショップ開催
6月8日、「Deep Learning Lab」(ディープラーニング・ラボ:DLLAB)はDLLABの2周年イベントとして「ディープラーニングの社会実装を阻むものは何か?」を開催した。その中のワークショップで、超小型のAIコンピュータ「NVIDIA Jetson Nano」を使い、AI自律動作ロボット「JetBot」を実際に作って動かす、世界初のJetBotハンズオン・ワークショップが開催された。
参加費用は、Jetson NanoやJetBot開発キットを含めて35,000円(税別)。
ここでのキーワードのひとつは「Jetson Nano」。ロボットやドローン、カメラなどエッジデバイスに搭載できる超小型のAIコンピュータ(GPU搭載)「Jetson」シリーズの最新廉価版として、今年の3月にシリコンバレーで開催された開発者イベント「GTC 2019」で発表され、あまりの人気に在庫切れが続いていて入手困難と言われていた開発用ボードを、今回はワークショップ向けに確保して、定員30名で開催された(満員)。
AI自律動作ロボットカー「JetBot」のキットまもなく発売らしい
その「Jetson Nano」を使って、AI自律動作ロボットカーとして、NVIDIAがGitHubでリファレンスとして公開したのが「JetBot」だ。リストに沿って各自で部品を購入して作ることで、本格的にディープラーニングとGPUを使った機械学習や推論を実装したAI自律ロボットカーを作ることができる。しかし、それでも制作には3Dプリンタなどの使用が必要となるため、キットとしての発売も熱望されていた。
その待望のキットをGClueが商品化を予定。そのキット製品を使用してのワークショップだ。
ワークショップの概要
ワークショップの大まかな概要は、キット商品を組立て、パソコンと繋ぎ、JetBotのカメラで収集した画像データをMicrosoft Azureプラットフォームのニューラルネットワーク(AIフレームワーク)で画像を機械学習(ディープラーニング)を行う。
その学習済みモデルをIoTエッジデバイスであるJetBotにデプロイするまでの一連の開発作業をワークショップで体験できる。完成したJetBotは自律的に動作し、衝突回避や走行可能領域の判別、物体追従といった機能が実現できる構成となっている。
もう少し詳しく解説すると、まずはJetBot開発キットを組み立ててWi-Fiと接続、次に参加者が持ち込んだノートPCとJetBotを直接接続する。JetBotの中には学習用の「Jupyter Notebook」をPCからアクセスして開き、JetBotの試運転を行った。
■ JetBotワークショップの様子
その後はJetBotのカメラを使って学習用の画像撮影して画像データを収集。移動できる領域の画像と移動禁止の領域の画像を複数枚数撮影して用意する。次にMicrosoft Azureにログインして、収集した画像データをディープラーニングで学習させ、走行可能な領域と走行禁止の領域を学習したAIモデルをJetBotにデプロイする、といった手順となる。
JetBot開発キットが発売されると、今までよりずっとディープラーニングによる機械学習やAIの推論が、リファレンスモデルで手軽に体験できるようになる。AI開発者にとっては朗報であり、エッジ向けAIコンピュータ「Jetson」も、より身近な存在に感じられるようになるだろう。