1,000PS超の新型Jaguar「Type 01」がNVIDIA本社を訪問 両社が進める車載AI・SDV戦略とは

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NVIDIAは、Jaguar(ジャガー)の新世代EV「Type 01」が、米国カリフォルニア州サンタクララにあるNVIDIA本社を訪れた様子を公式YouTubeで公開した。

Type 01は、Jaguarがブランドの新時代を担うモデルとして開発を進めている4ドアの電動GTだ。最高出力1,000PS超、最大トルク1,300Nm超という強烈なスペックが公表されている。

NVIDIA本社に登場したJaguar Type 01とE-Type。(出典:NVIDIA公式YouTube「Jaguar Type 01 Visits NVIDIA HQ」)

一見すると、カリフォルニア州モントレーで開催される、世界中の自動車愛好家やコレクターが集まる一大イベント「Monterey Car Week」に向かう途中で、NVIDIA本社に立ち寄ったJaguarのプロモーション映像にも見える。しかし、Jaguarを擁するJLRとNVIDIAは、2022年から次世代の自動運転や車載AIを共同開発する戦略的パートナーでもある。

Jaguar E-Typeの内部を見るNVIDIAの創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏(右)

新世代Jaguarの第1号となるType 01がNVIDIA本社を訪れたことには、どのような意味があるのだろうか。

■Jaguar Type 01がNVIDIA本社を訪問

NVIDIAが公式YouTubeで公開したショート動画のタイトルは「Jaguar Type 01 Visits NVIDIA HQ」。

映像には、カモフラージュされたType 01がNVIDIA本社に登場する様子が収められている。さらにType 01と並んで登場するのが、Jaguarを代表する歴史的モデル「E-Type」だ。

NVIDIA本社を訪れた新世代EV「Type 01」

Type 01はMonterey Car Weekに向かう途中でNVIDIA本社を訪れた。過去を象徴するE-Typeと、新時代のJaguarを担うType 01を並べることで、ブランドの歴史と未来を対比させた演出とも受け取れる。

次に、訪問先がNVIDIAであることにも注目したい。JaguarとNVIDIAには、すでに深い技術的な関係がある。

【動画:NVIDIA本社に登場したJaguar Type 01とE-Type】

■NVIDIAとJLRは2022年から戦略提携

JLR(当時Jaguar Land Rover)とNVIDIAは2022年2月、次世代の自動運転システムやAIを活用したサービスを共同開発する、複数年の戦略的パートナーシップを発表している。

NVIDIAによれば、2026年以降の新型JaguarやRange Rover、Defender、Discoveryには、AIデファインドの「NVIDIA DRIVE AGX」プラットフォームを採用する計画だ。

発表当時、その中核として示されたのが、自動運転車開発に必要なコンピューティング、ソフトウェア、センサーなどを統合したリファレンス・アーキテクチャ「NVIDIA DRIVE Hyperion」だ。集中型AVコンピュータ「DRIVE AGX Orin」をAIの頭脳として、DRIVE AVやDRIVE IX、安全・セキュリティ・ネットワークシステム、周辺センサーなどを組み合わせる。

これにより、アクティブセーフティ、自動運転や自動駐車、運転支援などに加え、ドライバーや乗員のモニタリング、車両周辺環境の可視化といった車内AI機能にも対応する。

両社の協業は車載コンピュータだけにとどまらない。JLRはNVIDIA DGXを活用してAIモデルを学習し、3Dシミュレーションやデジタルツインの開発基盤「NVIDIA Omniverse」をベースとする「DRIVE Sim」で、物理的に正確なリアルタイムシミュレーションを行う構想も明らかにしている。

さらに、ソフトウェアはOTA(Over-The-Air)で更新し、車両のライフサイクルを通じて運転支援や自動運転などの機能を進化させていく。

すなわちNVIDIAとJLRの関係は、単に車載SoCを供給するというものではなく、クラウドでのAI学習からシミュレーション、車載AI、自動運転、OTAまでを含むSoftware Defined Vehicle(SDV)の基盤に関わるものだ。

■1,000PS超、1,300Nm超 新時代のJaguar「Type 01」

そして、今回NVIDIA本社を訪れたType 01は、Jaguarが進めるブランド刷新を象徴する新世代の4ドア電動GTだ。

「Type」の名称は、1951年のル・マン24時間レースを制したC-typeをはじめ、E-type、F-TYPEなど歴代Jaguarにつながるもの。「0」は電動パワートレインとテールパイプからの排出ガスゼロ、「1」は新時代のJaguar第1号であることを意味する。

注目したいのが、そのパフォーマンスだ。

Jaguarが公表しているスペックでは、3基のモーターを搭載するトライモーター構成によって、最高出力は1,000PS超、最大トルクは1,300Nm超に達する。

さらにインテリジェント・トルクベクタリングを採用。組み込みソフトウェアが最短1ミリ秒で応答し、必要な場所へ必要なタイミングで駆動力を配分するという。

足回りにはダイナミック・エアサスペンションとツインバルブ式アクティブダンパーを組み合わせるなど、単に大出力を追求したEVではなく、JaguarらしいGTとしての走行性能も重視している。

JaguarはType 01の開発にあたり、歴代モデルを実際に走らせ、そのドライビング特性を研究したことも明らかにしている。中でも4ドアGTの走りについては、パフォーマンスと快適性を両立した歴代Jaguarからインスピレーションを得ているという。

Type 01は、2024年に発表され大胆なデザインで話題となったコンセプトカー「Type 00」で示した思想を、量産車へとつなげる最初のモデルでもある。

Jaguarは2026年8月、Type 01のインテリアも初公開した。前後方向に伸びるセンタースパインによって4つの座席をそれぞれ独立した空間として構成。テクノロジーを常に前面に出すのではなく、必要なときに表示・操作できる設計思想も取り入れている。

Type 01はMonterey Car Weekでプロトタイプを披露し、2026年10月6日にニューヨークで正式発表される予定だ。

■Type 01のNVIDIA本社訪問が暗示するもの

今回の動画公開に合わせて、Type 01を対象とした新たな技術提携が発表されたわけではない。また、Type 01に搭載されるNVIDIAの車載コンピュータやADASシステムについて、車種単位の詳細が新たに発表されたわけでもない。

そのため、この動画だけを根拠にType 01の具体的なNVIDIA製ハードウェア構成などを断定することはできない。

一方で、JLRとNVIDIAは2022年から次世代車を対象に、NVIDIA DRIVEを軸とするSDV、自動運転、車載AIの開発で協業してきた。NVIDIAの現在のJLR向けパートナーページでも、新型Jaguarを含む車両をNVIDIA DRIVEによってAIデファインド化し、クラウドから車載コンピュータまでを結ぶ構想が示されている。

その意味では、新時代のJaguar第1号となるType 01がNVIDIA本社を訪れたことは、両社がこれまで描いてきた次世代車戦略を象徴的に見せるプロモーションと捉えることができそうだ。

Type 01で興味深いのは、1,000PSを超える圧倒的なモーターパワーだけではない。1ミリ秒単位で駆動力を制御するトルクベクタリングをはじめ、クルマの走りそのものにもソフトウェアが深く関わる時代になっている。

歴代Jaguarを象徴するE-Typeと、新時代のType 01。その2台がAIコンピューティングを牽引するNVIDIAの本社に並んだ今回の映像は、Jaguarが目指す「クルマの未来」を象徴する光景と言えるかもしれない。

《神崎 洋治》

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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