「AI博覧会 Summer 2026」が2026年8月26日、27日の2日間、新宿住友ビル 三角広場で開催されている。会場には80社・約200製品以上が集結し、生成AIやAIエージェント、国産LLMなどさまざまなAI関連製品・サービスが展示されている(8月26日(水)には4,198人が来場)。

その中でロボスタが注目したのが「フィジカルAI・ロボットゾーン」だ。エルザジャパンはDEEPRoboticsの全天候型産業用ヒューマノイド「DR02」を国内初披露。Donut Roboticsは二足歩行ヒューマノイド「cinnamon 1」を展示し、いずれも実機の周囲には多くの来場者が集まっていた。

一方、APTOはロボットそのものだけではなく、フィジカルAIの性能を左右する「学習データ」にフォーカス。ロボットを実際に操作して動作データを収集するデモを展示している。
会場で見たフィジカルAIの現在地をレポートする。
国内初披露、全天候型ヒューマノイド「DR02」に人だかり
フィジカルAI・ロボットゾーンの中でも大きな人だかりができていたのが、エルザジャパンのブースだ。
展示されているのは、中国DEEPRoboticsが開発した産業用ヒューマノイド「DR02」。今回が国内初披露となる。

DR02の大きな特徴は、ヒューマノイドでありながら屋外や厳しい環境での使用を想定していることだ。

フルボディでIP66の防塵・防水設計を採用し、雨天や粉塵のある環境にも対応。動作温度は-20℃~55℃とされ、不整地での自律移動にも対応する。主催者によれば、フルボディIP66の防塵・防水設計を備えた産業用ヒューマノイドとして世界初としている。

ヒューマノイドというと、これまで研究施設や工場内など、比較的管理された環境での利用を想定した機体が多かった。DR02は屋外や過酷な環境も視野に入れている点が興味深い。
【動画】
DEEPRobotics「DR02」のデモ。国内では今回が初披露となる
同じブースには、DEEPRoboticsの四足歩行ロボット「Lynx M20 Pro」も展示されている。
ドーナッツ ロボティクスのヒューマノイド展示にも多くの来場者
もうひとつ、多くの来場者を集めていたのがDonut Roboticsのブースだ。同社は量産型の二足歩行ヒューマノイド「cinnamon 1」などを展示している。

cinnamon 1には、声を出さずに手振りや指の動きによってロボットに指示を出す独自技術「サイレント ジェスチャー コントロール」が搭載されている。工場など周囲の騒音が大きな場所や、音声による操作が難しい環境でも、人間からロボットへ指示を伝えることを想定した技術だ。

Donut Roboticsの小野泰助氏は、イベント初日の基調講演「最強のヒューマノイドは 日本から生まれる」にも登壇。世界で急速に進むヒューマノイド開発の現状や、日本発のヒューマノイドの可能性、cinnamon 1の世界展開などについて語った。


【動画】今秋公開のドーナッツロボティクスの新型ヒューマノイドを先行披露
「AI博覧会」でキレキレのダンス
※基調講演の詳細については別記事で紹介予定。
ロボットを賢くする「データ」を作るAPTO
エルザジャパンやDonut Roboticsのように完成したヒューマノイドを前面に出した展示とは対照的に、フィジカルAIを別の角度から見せていたのがAPTOだ。
展示されているのは、ロボットAIの学習に使用する動作データを収集するためのシステムだ。

ブースでは、操作者がコントローラーを使って双腕ロボットを動かすデモを実施していた。

APTOの説明パネルでは、「工場・倉庫・厨房・生活など、あらゆる現場の動作をAIが再現する、ロボット特化型データ収集・開発基盤」と説明している。双腕ロボット「OpenArm 01」をはじめ、顧客のロボットに合わせたオーダーメイドのデータ収集にも対応。熟練したロボットオペレーターが実機を操作し、「掴む」「運ぶ」「組み立てる」といった複雑な動作を記録する。

ポイントは、収集するのが映像だけではないことだ。パネルによれば、3Dカメラ、力覚センサ、関節角度など複数のセンサ情報を同期して収集。それらをマルチモーダルな学習データとして整備する。
さらに、収集したデータを使った模倣学習や、実機での動作検証まで自社ラボで一貫して行うとしている。生成AIでは大量のテキストや画像、動画がAIの能力向上を支えてきた。フィジカルAIでも同様に、ロボットが現実世界で作業するための高品質なデータをどう集めるかが重要になる。
特にロボットの場合、「物を掴む」という動作ひとつをとっても、カメラから見える映像だけではなく、ロボットの各関節がどの角度にあるのか、手先にどれだけの力が加わったのかといった情報が必要になる。
APTOの展示は、ヒューマノイドのような派手さこそないものの、フィジカルAIの開発を支える「データ」の重要性を具体的に見せる展示となっていた。

「動くロボット」から、その頭脳を育てるデータまで
今回のフィジカルAI・ロボットゾーンを歩いてみると、現在のフィジカルAIを取り巻く技術の広がりが見えてくる。
エルザジャパンのDR02は、ヒューマノイドが実際に働く環境を屋外や悪条件へ広げようとしている。
Donut Roboticsのcinnamon 1は、人間とヒューマノイドとの新しいインターフェースや、量産・社会実装を見据える。
そしてAPTOは、そのロボットを賢くするために欠かせない学習データを作る。
生成AIの急速な進化に続き、AIがデジタル空間から現実世界へと出て、ロボットの身体を通じて行動する「フィジカルAI」への関心が高まっている。今回の会場でヒューマノイドの周囲にできた人だかりからも、その関心の高さを感じることができた。
「AI博覧会 Summer 2026」は、8月27日17時まで新宿住友ビル 三角広場で開催されている。会場には80社・約200製品以上が出展している。








