日立製作所が設備保全向けフィジカルAIを開発、音や振動を自然言語で解析し異常診断を効率化

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株式会社日立製作所は2026年9月1日、設備保全の診断業務を効率化するフィジカルAI技術を開発したと発表した。装置が発する音や振動、温度などのデータを自然言語を介して解析し、異常発生時の対応や技能伝承を支援する。

騒音環境や膨大なセンサデータが課題

設備保全の現場では、装置の音や温度、振動などのデータをもとに異常の兆候把握や原因分析を行う。しかし騒音環境では音の違いに気づきにくいうえ、膨大な時系列センサデータの中から類似の波形を見つけることも難しく、診断業務が熟練作業員の知見や経験に依存しやすいことが課題となっていた。

労働人口の減少を背景に、限られた人員でも保全品質を維持しながら診断業務を効率化することが求められている。

音響データと時系列センサデータを自然言語でつなぐ

今回開発した技術は、音響データによる現場での簡易診断と、時系列センサデータによる詳細診断を自然言語を介して支援する。

具体的には、設備音と騒音の両方の特徴を学習し、現場ごとの騒音環境や設備の違いがあっても異常音を検知しやすくする異常音検知技術と、正常音と異常音の微細な違いを自然言語で説明する音響差分キャプショニング技術を組み合わせた。これにより、経験の浅い作業員でも判断の根拠を把握しやすくなる。

詳細診断の場面では、自然言語での表現から過去の膨大な時系列センサデータベース内で局所的に類似した波形を検索する技術と、自然言語の指示に従ってAIのモデル学習用データを生成する技術を開発した。

事前に波形の形や変化の条件を詳細に設定していない場合でも必要な過去事例を参照しやすくなるほか、異常データのサンプルが少ない設備でも診断モデルに活用できるデータを補いやすくなり、原因分析を進めやすくなる。

技能伝承と設備停止リスクの低減へ

熟練作業員が着目するポイントを自然言語で共有できるようにすることで、現場の知見や経験を共有・活用しやすくし、製造現場や社会インフラの安定運用と保全品質の維持を支える基盤づくりに役立てる狙いがある。今後は設備保全の現場で実証実験を進め、音響データを活用した簡易診断と時系列センサデータを活用した詳細診断の有効性を検証するとしている。

なお、異常音検知技術や音響差分キャプショニング技術などは2026年8月31日から開催されているEuropean Signal Processing Conference(EUSiPCO)2026で、作業員の音声指示の意図を理解する音声言語理解技術は2026年9月27日から開催されるAnnual Conference of the International Speech Communication Association (Interspeech) 2026でそれぞれ発表予定だ。


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