6月15日(木)、ベルサール渋谷ガーデンにて、LINEの事業戦略発表会「LINE CONFERENCE 2017」が開催された。
数々の発表があった中でも、注目度が高かったのは、やはりAIプラットフォーム「Clova」、そしてそれらを搭載したプロダクトだ。
今年の3月2日、スペインのバルセロナにて開催された世界最大のモバイルカンファレンス「Mobile World Congress 2017」にて、クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」が発表、そしてそれを搭載したデバイスらが発表された。
スマートスピーカー市場は、今や世界中のIT企業が参画する熱い市場となってきた。2014年にAmazonが「Amazon Echo」を発表して以降、徐々に生まれてきたこの市場。
昨年の調査時点で、すでにAmazon Echoは500万台以上売り上げており、その後Google、Microsoft、Appleらがプロダクトを発表している。
そんな中で、日本初のスマートスピーカープロダクトとして発表されたのが、LINEのスマートスピーカー「WAVE(ウェーブ」、そしてディスプレイ付きの「FACE(フェース)」だった。本日の発表ではさらなるプロダクトとして「CHAMP(チャンプ)」というカジュアルなスマートスピーカーの情報も初公開した。
アジアNo.1 AI企業へ
ポストスマートフォン戦略として発表されたのが、このクラウドAIプラットフォーム「Clova」のプロジェクトだ。「アジアNo.1 AI企業へ」という目標を掲げて発表されたこの「Clova」は、LINEとNAVERの共同開発プロジェクトとして研究開発が進められている。日本をはじめ、アジアでもトップシェアをもつコミュニケーションアプリ「LINE」と、韓国の検索ポータルNo.1のNAVERが持つ開発技術や豊富なコンテンツやサービスを活用することにより、よりスマートなクラウドAIプラットフォームを実現したのだという。
LINEの日本国内のMAU(月間アクティブユーザー)は今年3月時点で6,800万人、主要利用国4カ国(日本・台湾・タイ・インドネシア)の合計MAUは1億7,100万人だという。この膨大な利用者数が日々やり取りするコミュニケーションデータはLINE側で蓄積されているはずだ。これがClovaのコミュニケーションの中核になるとすれば、期待は高まる。
はじめに登壇した同社代表取締役社長の出澤氏は、今後5年間のLINEの中核として、「Everything Connected」「Everything Videolized」「Everywhere AI」という3つを挙げた。
出澤氏
今まで以上に全てが繋がる世界、動画化される世界、AI化される世界、これらを軸に、全てのコミュニケーションを豊かにしていくことを目指します。
特に3つ目のAI化していくという点について、人工知能について、同氏は以下のように述べた。
出澤氏
スマートフォンというデバイスは今、新しい大変革期への入り口に立っています、ポストスマートフォンの時代は、AIの時代。シンギュラリティなどの懸念はありますが、AIによって、我々の生活が便利になることは間違いありません。また人口減少が進む中で、生産性を向上させる重要なものだと捉えています。
これから5年間、AIが関連する領域は非常に多岐に渡ります。グローバルの激しい競争になります。今まで培ってきた技術基盤、データ基盤を総動員して、AI時代のOSとして、ポストスマートフォン時代の中核サービスとして、「Clova」の開発を進めています。
我々は人々の生活がもっと豊かになる世界を目指しています。LINEのサービスは、全てはコミュニケーションを豊かにするものです。コミュニケーション、つながりを核としていかに豊かにできるか。我々は常にコミュニケーションファーストの姿勢にあります。
Clovaの特徴とは?
Clovaについての詳細は、その後登壇した取締役 CSMO 舛田 淳氏が紹介を行った。
舛田氏
Clovaは二つのコアで構成されています。
「Clova Interface」と「Clova Brain」です。人の耳のように目のようにインプットをするのが「Clova Interface」、アウトプットを最適化していくのが「Clova Brain」です。「Clova Brain」とは、まさに人間でいう頭脳にあたる部分のことです。
言語処理や言語理解、会話制御を中心とした会話エンジン。これらは使えば使うほどシーンに最適化していきます。
Clovaは様々なデバイスに搭載可能なクラウドAIプラットフォームという位置付けだ。Clovaは舛田氏の説明の通り、「Clova Interface」という人間の五感にあたる部分と、「Clova Brain」という人間の頭脳にあたる部分に分かれている。
将来的にはこの「Clova Interface」に五感全てが搭載される可能性もあるが、現在までに発表されているのは「Clova Voice」及び「Clova Vision」だ。「Clova Voice」には音声合成(口)と音声認識(耳)の機能が備わっており、「Clova Vision」には画像認識(目)の機能が備わっている。
「Clova Brain」は頭脳だ。おそらく多くの方々が「人工知能」という単語で思い浮かべる部分だろう。NLU(Natural Language Understanding/自然言語理解)や、Dialog Managerなどで構成される「Clova Conversation」を中心に、より自然な言語翻訳処理を行う「NMT(Neural Machine Translation)」、ドキュメントやコンテンツなどを推薦する「Recommendation Engine」等で構成されている。
これらは、ハードウェアメーカーに提供される「Clova Interface Connect(CIC)」というプラットフォームを用いて、あらゆるデバイスに簡単に搭載することができるという。まずは日本語と韓国語に対応予定で、スピーカー・マイク・ネット接続があるデバイスを音声ベースのコミュニケーションができるデバイスに生まれ変わらせることができる。
そして、このClova上にClovaアプリを提供するための「Clova Extension Kit (CEK)」も準備されている。これにより、自然言語処理などのAI技術について詳しい知識がなくても数時間でまったく新しい音声ベースのAIサービスの実装が可能だという。このCEKは無料での配布が予定されている。
WAVE、FACE、CHAMP
このClovaが搭載される第一弾のプロダクトとしてスマートホームデバイス「WAVE」が発表された。WAVEは、Amazon EchoやGoogle Homeのようなスマートスピーカーだ。
正式販売は今年の秋、価格は15,000円が予定されている。また、先行販売として今年の夏に先行販売モデルが10,000円という価格で販売される。こちらは、音楽再生の機能がメインのプロダクトということで機能は制限されているが、秋の正式販売時にはアップデートによって、正式版の機能と変わらないものが使えるようになるという。
また、ここで3月にも発表がなかった、CHAMP(チャンプ)という新たなプロダクトが発表された。CHAMPはラインの人気キャラクターであるブラウンとサリーの見た目をしたスマートスピーカーだ。「WAVEよりもカジュアルなスマートスピーカーを楽しめるように」と、CHAMPは外にも持ち運べるような設計になっているという。今年の冬に発表されるそうだ。
さらに、音声スピーカーだけでなく、ディスプレイ付きのスマートデバイス「FACE」も発表された。インプットは音声、アウトプットは動画や画像で可能になり、例えば、今日のレシピ教えてと言った場合、料理手順を音声だけでなくディスプレイ上で見せてあげることができる。こちらは発売時期については明かされなかったが、3月の発表によれば、こちらも今年の冬に発売されるだろう。
さらにはLG、タカラトミー、Gateboxと共に、新たなデバイスへのClovaの導入も探っていくという。舛田氏の言葉を借りれば、「まだここでご紹介したのは(Clovaが導入されるプロダクトの)ほんの一部」だという。
さらに今回LINEは、ヤマハのボーカロイドの共同研究や、トヨタ自動車やファミリーマートとの提携も発表した。トヨタ自動車が進めるコネクテッドカーをClovaで支えていくという。
LINEのクラウドAIプラットフォーム「Clova」を軸にした展開に、今後大きな注目が集まっていくことだろう。
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ロボットスタート株式会社ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。