須磨水族園の体験型VR / 全天球360映像 / フィッシュロボットの事前体験会レポート!360水中体験映像は全編YouTubeで公開

神戸市立須磨海浜水族園(通称スマスイ)が、体験型VRコンテンツや全天球映像等を使った夏休みイベント「スマスイで新感覚体験 最新テクノロジーで水中世界を楽しもう!!『未来水族感』」を2017年7月15日〜8月17日まで開催する。(イベントの詳細は関連記事「須磨水族園で体験型VRコンテンツや全天球映像のイベントを開催!ソフトバンクが企画と技術提供」)

そのイベントに先駆けて、スマスイでは7月13日に事前体験会が開催された。

須磨水族館の波の大水槽前に設営されたVR技術を活用した体験型コンテンツ「Fish Collection Challenge」。VRゴーグルを装着して水中のVR空間で楽しむゲーム。大人の場合、一度に4人が楽しめる

今回のイベント『未来水族感』のポイントは3つ。

「VR体験型ゲーム」「全天球映像(360度水中映像)」「泳ぐサカナ型ロボット」だ。VR体験型ゲームと全天球映像については企画とコンテンツ制作にソフトバンクが協力している。
泳ぐサカナ型ロボットは、韓国のAIRO社が開発したAI搭載のロボットフィッシュ「MIRO」(マイロ)が使用されている。

■事前体験会の様子と水槽を泳ぐロボットフィッシュ(動画)



VR技術を活用した体験型コンテンツ「Fish Collection Challenge」

体験型アトラクション。VRゴーグルを装着したプレイヤーの中心には大型ディスプレイが4面を飾る仮想水槽が置かれている。VRゴーグルの映像によってプレイヤーはクジラが周回する海中にいるような体験ができる。更にVR空間には次々と全8種類の「サカナのもと」が浮かび上がるので、コントローラーを使ってそれらをつかんで水槽に向けて投げ入れる。すると、サカナのもとはサカナに変わって水槽の中を優雅に泳ぎはじめるというゲームだ。

体験会には家族連れも参加して、VRゲームを楽しんだ

これはスマスイ内で楽しめるアトラクションで、体験料金は500円(税込)となっている。VRはふたつの目の視差を利用して立体感を感じさせるしくみ上、低年齢層の利用に懸念を示す意見もある。今回はそれを考慮し、低年齢層の来場者向けには視差が発生しない一眼タイプのVRゴーグルも用意する。
サカナは全8種類、メカジキやシャチ、タコ、ウミガメ、アカマンボウ、ニザダイのなかまなどが用意されている。

お母さん、娘さん、お父さんの3人が一緒にVR体験する様子

VRゴーグル内に表示されている画面。コントローラはゴーグル内では手に見える

最初は戸惑っていた女の子も、慣れると活発にVRゲームを楽しんでいた


全天球映像コンテンツ「サンロクマル水族館」

スマスイ内では、スマートフォンを使った簡易ヘッドマウントディスプレーで水槽内の360度映像を体験できる。スマスイには大型水槽があり、約50種類、700尾のサカナが泳いでいる。その中にダイバーが入って撮影した360度映像が「サンロクマル水族館」だ。実際に自分で水中を泳いでいるかのような体験ができる。
このコンテンツの特徴はスマスイにいなくても体験できる点だ。全天球映像はYouTubeにアップロードされているので誰でも体験することができる。

「サンロクマル水族館」のワンシーン。たくさんの魚たちに囲まれて、まるでダイバーになったみたい

事前体験会ではHTCの協力でVRコーグルと特設コーナーが用意されていたが、イベント期間中の常設はなく、その代わりにスマートフォンを装着してVRゴーグルにした紙製の「カードボード」が陳列される。来園者はそれを使って「サンロクマル水族館」の映像を視聴し水中体験することができる。
カードボードには可愛い水族館らしいデザインが施されていて、ひとつはゴマフアザラシ、もうひとつはハンマーヘッドシャークが用意されている。
カードボードは1000円で市販されているので、これを購入し、家庭でスマートフォンを装着して、YouTubeで「サンロクマル水族館」動画を再生することで、いつでもスマスイの大水槽体験を再現できるという点が面白い。

組み立て式の紙製ゴーグル「カードボード」。スマートフォンをセットして使う。ひとつ千円で販売

ゴーグルの中でサンロクマル動画がいつでも鑑賞できる

須磨海浜水族園の経営企画室 広報担当課長の中山氏は「スマスイの大水槽を家庭に持ち帰って、家族のだんらんでも話題にしてもらえば嬉しい」と言う。祖母祖父の方々が孫を連れて水族園に来園した場合、カードボードを購入して帰り、家庭でサンロクマル動画を観て大水槽のサカナたちを思い出したり、親子で来園した子どもがカードボードを持って祖父や祖母の家に行った際に”こんな魚たちを見たんだよ”と話題すれば、水族園へまた足を運ぶきっかけになるのではないか、との考えだ。

神戸市立 須磨海浜水族園の経営企画室 広報担当課長 中山寛美氏

■サンロクマル水族館 波の大水槽(約10分間フルバージョン)
(ドラッグしたり、スマートフォンを動かして視界を変更できます)

事前体験会の開催にあたり、須磨海浜水族園の園長の吉田氏が登壇して今回のイベントを主旨について説明した。




人が自然と共存するために必要な「自然保全」への意識や技術をICTが支える

神戸市立 須磨海浜水族園の園長 吉田裕之氏

園長の吉田氏は冒頭「水族園の役割は来園者に”サカナや海獣など海の生き物の実際の姿や生活の様子を見せること”ですが、生き物たちが食事をしたり、繁殖したり、活き活きと泳ぐ姿等をいつもお見せできるとは限らない。それらの場面を少しでもお見せすることができないだろうかと考えてきた。
最近のICT技術の進化によって、それが実現できる段階になってきたので、このイベントではICT技術を通して楽しんだり、子供たちが”海の中のことをもっと知りたい” “自然をもっと知りたい”と感じるきっかけになって欲しい」と語った。

更に今回のイベントのみどころを説明した。「まず、VR技術を使った「Fish Collection Challenge」はバーチャル空間で海の中が体験できるので来場者にはゲーム感覚で楽しんで欲しい。全天球映像「サンロクマル水族館」については、「ガラス越しに見ていた世界を、水槽の中に入ってリアルに体験することができる。単体で暮らすサカナと群れで暮らす魚は実はお互いが関係して動いている。スマスイには大水槽があるが、水槽のガラス越しでは残念ながらその距離感がわかりにくい部分がある。個体間の距離や種類別間の距離感も「サンロクマル水族館」ならよくわかるのでぜひ体験して欲しい」と続けた。
サンロクマル水族館のみどころのひとつは、シロワニ(大型のサメ)が接近してきたり、ロウニンアジが間近にすり抜けるところなど、と言う。

事前体験会で用意された「サンロクマル水族館」の体験コーナー。HTCが協力。イベント期間中は紙製のカードボードで全天球映像が楽しめるとのこと

最後にロボットフィッシュ「MIRO」(マイロ)についても解説した。「今回の展示では水槽の中を泳ぐ展示となっているが、将来的にはロボットフィッシュは海の中の情報を我々に教えてくれる、そんな可能性を秘めている。これらICT技術は、人が自然と共存するために必要な「自然保全」への意識や技術を支えてくれるのではないかと期待している。水族園でそれを体験してもらい、将来への希望を持ってもらいたい」と付け加えた。

ロボットフィッシュ「MIRO」(詳細は後述)

企画とコンテンツ制作面で協力したソフトバンクは、VRは「映像」を「体験」に変えるリアリティがあり、波の大水槽の中に入って全包囲を見回す、今までにない体験ができるとした。そのあと、バーチャルリアリティのしくみを解説し、4方向を捉えるカメラで水中撮影し、2Dの4枚の動画像を球体構造に貼り付けたデータを作ることで360度見回すことができる映像データが作られることもスライドをまじえて説明した。
また、ソフトバンク VR事業推進課ではほかに、JRと連携して「安全教育ソリューション」の開発も発表している。VRはBtoB向け市場で既に動き始めており、スマスイとの取り組みはBtoBtoCの事例となる。

ソフトバンク株式会社 新規事業開発室 事業開発統括部 事業開発部 VR事業推進課 小沢元氏

次のページでは、水中を泳ぐフィッシュロボットについて解説する。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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