日本に初上陸した「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ」(ARC)。いったいどんなイベントなのか、どのような競技なのか、コンテストの初日である28日の様子をお伝えするとともに、ARCの概要を具体的に解説したいと思う。
基本的な競技ルールと今年になって加わった変更点などは、インタビュー記事「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ開幕、Amazon Roboticsのチーフテクノロジストに聞く「機械学習とハイブリッド・マニュピレーション」でAmazon Roboticsのチーフテクノロジストのタイ氏が詳しく解説してくれているのでそちらも参照して欲しい。
簡単に言うと、時間内にトレーからアイテムを取り出し、特定のコンテナに納める。正確にたくさんのアイテムを移せれば得点が高くなる。
コンテスト会場は16コマに区切られ、各参加チームに割り当てられている。産業用ロボットなので設置すれば簡単には動かせない。そのため、コンテストは審査員が各コマ(ブース)を回って審査を行う。
出場は16チーム、米国4、欧州4、日本4、その他4となっている。
ブース自体に工夫を凝らしているチームもある。例えば、手前右の「Team T2」のブースはビニールで屋根のような覆いを設けている。同様に後ろに見えるブースにもタープのようなもので覆い屋根を作っている。
これらはおそらくライトや外部からの光の影響を極力受けないように設置されたものだ。
アイテムをカメラで見て判断するため、光の影響はとても大きく、会場には天井から外光が入ってくる構造のためこのような対策をして安定さを増す。
コンテスト会場には一般来場者の入場は制限されている。私達、報道関係者であっても勝手に入ることはできない。そのため、来場者向けに観覧席が設けられている。そこには大型のモニタが設置され、審査員とともに撮影クルーが回り、コンテストの様子を中継する。
コンテストの際、すなわちロボットがピッキングとストーイングを行っている間に、参加者は口頭でプレゼンテーションを行い、自身のロボットの技術等を紹介する。
ロボットがピッキングとストーイングに成功したアイテムを審査員が確認して得点付けを行う。
タイムスケジュールは30分ごとに区切られ、各チームに与えられる。当日のスケジュールはモニタで表示され、更にその日の競技が終了したチームについては得点も表示されている。28日のタイムスケジュールと、16時頃時点の途中経過は下記。
日本勢に注目してみると、三菱電機と中部大学、中京大学のチーム「MC^2」が120点でトップ、奈良先端科学技術大学院大学とパナソニックの「NAIST-Panasonic」チームが110点で続いている。
他の2チームは「Team T2」鳥取大学、東芝が10点、「Team K」東京大学が5点となっている。明日からの奮起を期待したい。
なお、タイ氏のインタビューにもあったように、ロボットのピッキング・システムには大別して「吸着式」と「つまむ(つかむ:はさむ)方式」のふたつがあり、多くのチームが両方、ハイブリット式を採用している。ピックアップするアイテムによって選択する方法だ。
では、実際のコンテストの様子を撮った動画をご覧頂こう。
鳥取大学と東芝による「Team T2」は日本チームだけあって会場が大いに盛り上がった。
また、プレゼンテーションが日本語で行われたので観客にも解りやすかった。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。