ボストン・ダイナミクスのロボット、竹中工務店などが活用に期待。人材不足の解消に

ヒューマノイドロボットが、華麗にジャンプしたり、バク宙する映像がYouTubeで公開され、大きな話題となっているボストン・ダイナミクス。


この動画に出てくる人型のロボットが「アトラス」。そして以下の画像の犬型のロボットが「スポット」だ。開催中のSoftbank Robot Worldの展示ブースで飾られている。


「SoftBank Robot World 2017」で展示されている「アトラス」。残念ながら展示は動かない

「アトラス」や「スポット」が注目される一方で、必ず漏れ聞こえてくるのは「このロボット、すごいとは思うけれど、誰がどこで使うんだよ・・」という嘲笑めいた声。

ソフトバンクが買収したことで、今後の展開やビジネス活用という面で、どのような変化が生まれるのか興味深いところだったが、本日から開催されているSoftBank Robot World 2017で早速、その進展が見られた。


Softbank Robot Worldで展示されている「スポット」。こちらも残念ながら動かない


家の中を自由に歩き回るロボットのビジネス・ニーズ

「SoftBank Robot World 2017」の基調講演には、ボストン・ダイナミクス CEOのマーク・レイバート氏が登壇した。残念ながらロボットたちは登場せず、ステージ上のパフォーマンスもなかった。


基調講演に登壇したBoston Dynamics Founder and CEO Marc Raibert 氏


そしてこの講演には、「ビジネスでこのロボットたちを使いたい」とラブコールを送る大手企業3社も登壇した。

登壇したのは、セキュリティ大手のセントラル警備保障、建設大手のフジタと竹中工務店の3社だ。警備業や建設業は人間用に作られた施設が仕事の現場だ。そのような現場で、人間と同様に動くには、究極はヒューマノイドの形態に限られるのである。

セントラル警備保障の鎌田社長は、警備業界には約9,000社、54万人の警備員がいて(警察官と自衛隊員の人数より多い)、右肩上がりで業績は上昇し続けているものの、今後は「技術サービス産業への脱皮が鍵」であると語った。

この業界でも人手不足は深刻で今後は、ロボットによる警備の自動化を積極的に進めたい考えだ。そうなると、階段を登り降りしたり、自律的に施設内を動き回って警備ができる、スポットミニやアトラスなどのロボットが有望だと言う。



警備業務で実際に事件が起こることは稀で、業務の多くはコミュニケーション(ご案内)、巡回、監視がほとんど。その範囲内では画像解析能力が進化しているロボットの運用によって、約80%の業務がロボット化(自動化)できるだろうとした。



続いて登壇したフジタの代表取締役専務の土屋氏は「建設×ロボティクスで建設生産革命の実現を」というタイトルで講演した。同社は1991年の雲仙普賢岳の災害をきっかけに「ロボQ」というロボットを開発。危険なため作業員が入れない災害現場に重機を入れて、ロボットで操縦させて作業するなどの実績を積み上げてきた。



そんな経緯もあって、ボストン・ダイナミクス製ロボットを今後、災害現場や建築・工事現場に導入していきたい考えだ。建設業界も深刻な人手不足が加速していく。

同社が提示した予測では2025年に建設業で必要な人材数は350万人、それに対して130万人が不足すると予想している。これを補うためには自動化が必須のテーマとなっている。



最後に登壇した竹中公務店もロボットの導入には積極的で、既に25種のロボットを業務に活用して高効率化や省人化を目指していると言う。取締役専務の岡本氏は、ロボット活用については単純作業のアシストにはじまり、複雑作業へと進展し、やがてAI技術によって、完全自律化・自動化をはかりたいとしている。



同社も技能労働者不足の深刻化を懸念していて、「10年以内に100万人規模の大離職時代を迎えることは確実」とし、自律ロボットによる省人化、例えば、安全点検、進捗確認、品質確認等をスポットのようなロボットに担わせたい考えだ。



更には万能な建設ロボットとして、4つの手を持つケンタウロスをあげ、スポットとアトラスが合体した想像図を紹介、ボストン・ダイナミクス社のCEOに開発提案し、場内が微笑ましい雰囲気に包まれた。



ロボットの登場で仕事の変革は少しずつ回り始めている。

移動できるロボットへに期待はおそらく、多くの人が想像しているよりももっとはるかに大きく、人々の生活やビジネスに密接に関わった場所で拡がりはじめている。

「ボストン・ダイナミクスのロボットは何に活用するの?」という答えはきっと、それぞれの業界が知っていることだろう。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。