トヨタがEVによる未来のeコマース「e-Palette Concept」を発表!Amazon、マツダ、ピザハット、Uberなどが参画

トヨタ自動車は移動、物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービス「MaaS」(Mobility as a Service)と、それ専用となる次世代電気自動車(EV)で構成される「e-Palette Concept」(以下e-Palette)をCESで発表して出展した。

「e-Palette」は、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EV。トヨタは「移動や物流、物販など様々なサービスに対応し、人々の暮らしを支える「新たなモビリティ」を提供したい」としている。将来は、複数のサービス事業者による1台の車両の相互利用や、複数のサイズバリエーションをもつ車両による効率的かつ一貫した輸送システムといったサービスの最適化を目指す。また、サービス事業者のニーズに対応した内装を設定することで、例えば移動中にサービスを提供し、より有意義な移動時間へ変化させるなど、e-Paletteが新たなモビリティサービスの創出に貢献することを想定している。




お店があなたのもとまで来てくれる

トヨタ自動車の代表取締役社長 豊田章男氏はプレスカンファレンスのスピーチにおいて、このe-Paletteを「eコマースやそれを超えたモビリティソリューションのコンセプト」と称し、「MaaSビジネスアプリケーションに対するトヨタのビジョンを示した一例」とした。また「e-Paletteは電気自動車であり、ショーファーモードによる自動運転によって制御されます。またパートナー企業の希望によっては、代わりに各社独自の自動運転ソフトウェアを搭載することも可能です」「ライドシェア、物流、輸送、リテールから、ホテルやパーソナルサービスに至るまで様々な用途をサポートするオープンかつフレキシブルなプラットフォームであり、現在は、お店まで行かなくてはいけませんが、将来はe-Paletteにより、お店があなたのもとまで来てくれるのです。」と説明した。

さまざまな種類のeコマース用のEVショップカーが町を走っている(ケータリングのような感じ)

ユーザーはオンラインショップで商品を選択する。試してみたり、購入までの時間が×分と表示されている。このユーザーはシューズに興味がある

ユーザーのオーダーでシューズのショップカーが向かう

シューズのショップカーが到着するとユーザーが乗り込む

シューズを試してみる

気に入ったらそのまま購入

このショップカーは、物流用のトラックになったり、通勤のためのライドシェアカーに変貌したりする。
その一連の映像がこちら。

■e-Paletteオープニング映像

更に「様々なe-Paletteを1か所に集めることで、医療からエンターテイメントやフェスティバルといった様々なサービスのモバイルハブができあがり、ビジネス、あるいはコミュニティを簡単に形成することができます」「また、e-Paletteは1日で様々な仕様に変えることができ、モビリティサービスプラットフォームにより運用され、私たちの販売ネットワークにてサービスを受けることができます」「私たちはこのコンセプトの将来性を信じ、eコマースモビリティをサポートすることに前向きなOEMや企業とe-Paletteアライアンスと呼ぶアライアンスを組んでいきたいと思っています」と続けた。

■基本機能説明映像

e-Paletteアライアンスの初期メンバーとなる企業は、Amazon、DiDi、マツダ、Pizza Hut、そしてUberが発表された。



e-Palette Conceptの特徴

トヨタ自動車ではe-Palette Conceptの特徴を次のように解説している。


低床・箱型デザインによる広大な室内空間

荷室ユニット数に応じて全長が異なる計3サイズの車両を用意、低床・箱型のバリアフリーデザインによるフラットかつ広大な空間に、ライドシェアリング仕様、ホテル仕様、リテールショップ仕様といったサービスパートナーの用途に応じた設備を搭載することができる。

※4m~7m前後の全長を想定。CES2018出展モデルは、全長 4,800mm、全幅 2,000mm、全高 2,250mm。


車両制御インターフェースの開示

トヨタが培ってきた安全性の高い車両制御技術を用いて開発した車両制御インターフェースを自動運転キット開発会社に開示する。自動運転キット開発会社は、自動運転キットの開発に必要な車両状態や車両制御等を、MSPF上で公開されたAPIから取得することができ、開発した自動運転キット(自動運転制御ソフトウェアやカメラ・センサー等)をルーフトップ等に搭載することが可能となる。
また、車両制御インターフェースは、外部からのサイバーセキュリティ対策に加え、自動運転キットからの車両制御指令コマンドの安全性を一定のルールに基づき確認するガーディアン機能を備える。さらに、MSPF上に整備されたOTA環境を用い、自動運転キット上のソフトウェアを常に最新の状態に更新することができる。

車両制御インターフェースの開示による自動運転の仕組み


※API(Application Program Interface) プログラミングの際に使用できる関数。その関数を呼び出すだけで機能を利用できる。 ※OTA(Over The Air) 無線通信を経由して、ソフトウェアの更新を行うこと。


ビジネスを支えるMSPF

車両情報は、車両に搭載されたDCM(データコミュニケーションモジュール)から収集し、グローバル通信プラットフォームを介して、TBDC(TOYOTA Big Data Center)に蓄積する。その車両情報に基づき、車両をリースや保険等の各種ファイナンス、販売店と連携した高度な車両メンテナンスなどとあわせて提供するとともに、MSPF上で、車両状態や動態管理など、サービス事業者が必要とするAPIを公開し、モビリティサービスに活用できる。また、自動運転キット開発会社が、自動運転キットの利用やソフトウェアのメンテナンス更新といった自動運転に関するモビリティサービスをMSPF上で提供することで、サービス事業者は安全なモビリティを利用することができ、自ら自動運転キットを選ぶこともできる。トヨタは、サービス事業者や開発会社とオープンに提携し、新たなモビリティサービスの創出に貢献する、としている。

e-Palette Conceptを活用したMaaSビジネスにおけるMSPF

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