NTT、「2台のロボット」が対話で連携する実証実験を実施 京都市動物園で2月28日まで

NTTは、NTTグループのAI関連技術corevoの研究開発の一環として、雑談を通してユーザに対話への興味を持たせつつ、その興味に応じて知識を伝達する、新感覚の対話AIを開発したことを発表した。

2月1日から2月28日まで、京都市動物園にて同技術の実証実験を実施。動物園来場者との対話を通して本対話AIの有用性を検証するとともに、将来の対話AIの研究開発に寄与するデータの収集を行なっている。

これは、同社が培ってきた「複数ロボット連携よる雑談制御技術」を応用し、2台のロボットの連携を通して対話の話題を適切にコントロールすることで、雑談と質問応答を違和感なく行き来できる対話を実現したもの。NTTによれば、同技術は世界初だという。動物園での対話を対象とし、対話AIに求められる知識の幅を動物に関する事柄に自然に限定することで、より違和感のない対話を可能にした。



研究概要

従来の対話AIを搭載したガイドロボットでは、ユーザからの質問に回答する質問応答機能など、ユーザからの要求に基づいて知識を伝えるための技術が開発の中心だった一方で、ガイドする物事自体や対話そのものに興味を持ってもらうためには、雑談を通してユーザと打ち解ける機能も重要だ。

しかし、従来の対話AIでは、質問応答などの知識を伝える対話を行う機能と、雑談を行う機能とが別々に作られてきたため、質問応答と雑談を自由に行き来し、興味を持たせつつ知識を伝えるような対話は実現できていなかった。

今回、複数ロボット連携による雑談制御技術を応用し、雑談と質問応答を連続的に行き来できるように対話の話題を自然に制御することで、ユーザに興味を持ってもらいながら知識を伝える、新感覚の対話AIを世界で初めて実現。雑談と質問応答を違和感なく行き来できることで、雑談でユーザに興味を持たせながら、知識を伝達する対話が可能となった。

雑談と質問応答を自由に行き来する対話(※タップで拡大)

複数ロボットとの対話イメージ




技術のポイント



複数ロボットによる話題の自然な制御

現状、ユーザが自由に発話する雑談対話では、ユーザ発話を制約できず話題が発散するため、質問応答の知識範囲を逸脱してしまう。また知識不足により、ずれた応答を発話する場合があるが、同技術では、複数のロボット間での対話や話者切替により、ユーザに自由な発話を許容しつつ、話題を質問応答可能な範囲に自然に限定。

これにより、ロボット応答が少しずれた場合でも自然に話題を遷移し印象悪化を回避できるようになった。

複数ロボット連携による話題の自然な制御(※クリックで拡大)



詳細な対話知識による雑談対話の実現

従来の雑談対話の知識は浅く広く作られているため、システム応答がユーザ発話とややずれた内容になる。また、詳細に作られた質問応答と行き来する際に、話題の細かさが不連続に切り替わる。

しかし、複数ロボットによる話題制御を活かして雑談の話題の範囲を限定し、かつ利用頻度の高い知識を集中的に構築することで、質問応答と同程度の知識の細かさを持つ雑談知識を実現することが可能となった。

詳細な対話知識による雑談と質問応答の自然な行き来(※クリックで拡大)




今後の展開

同社は、ユーザの発話をより深く精緻に理解し対話する、自然なパートナーとしての対話ロボットの実現を目指しており、合わせて、導入・運用コストの低減も考慮し、様々な場所で普及しやすい対話ロボットの開発を進めていくと述べている。

なお、2月28日まで京都市動物園で行われている実証実験は、動物園に入園しなくても利用可能な現地正面エントランス内にある動物図書館カフェ内(10時から15時/休園日除く、時間内に小休止あり)にて無料で行われている。

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ロボスタ編集部

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