あの機械人間「オルタ2」が人間のオーケストラを指揮して歌う!アンドロイド・オペラ「Scary Beauty」日本で上演

アンドロイドが指揮をすることで、人間のオーケストラのメンバーたちはそのタクトに従うことしかできない。

AI(人工知能)を搭載した機械人間(アンドロイド)「オルタ」(Alter)を覚えているでしょうか? 2016年夏に日本科学未来館で一般公開されていたアンドロイドです。

ロボット学者である石黒浩氏(大阪大学教授)と、人工生命の研究者である池上高志氏(東京大学教授)の共同研究によって、「機械が生命を持っているかのように感じるのはどんな時か?」というテーマを私たちに投げかけた、あのアンドロイドです。
実際に目にした人の中には、AIの自律的運動プログラムによる独特の動きと、神秘的な歌声を今でもはっきりと記憶している人も多いのではないでしょうか。関連記事「「機械人間オルタ」の歌声と動きに生命の存在を感じた瞬間 日本未来科学館で展示

アンドロイド・オペラ「Scary Beauty」(スケアリー・ビューティ)の指揮と歌を担当する「オルタ2」

2017年のオーストラリア、「オルタ2」が30名の人間のオーケストラを指揮し、それを伴奏に自ら歌うプロトタイプ・バージョンが発表されました。

2017年のオーストラリアで行われたプロトタイプ・バージョンの様子

演奏に際しては、音楽全体のテンポや強弱はアンドロイドが自律的に決定し、人間はそれについていくことしかできない、と言います。それについては”宿命的に加速する「自らが生み出したテクノロジーに従属することでしか生きていけない人間」の縮図を端的にみせるオペラであり、人間とテクノロジーの関係性の過渡的状況のメタファーでもある”としています。

この衝撃的な公演が2018年7月22日、アンドロイド・オペラ「Scary Beauty」(スケアリー・ビューティ)というタイトルで、日本でも行われます。作曲とピアノをオーストラリア公演と同様、渋谷慶一郎氏が担当します。これは日本での初演であると共に、完全に新しいバージョンという意味で世界でも初演となります。



「ALIFE 2018」のパブリックプログラムとして発表

公演が行われるのは日本科学未来館(東京・お台場)。
世界的な人工生命研究者が集う「ALIFE 2018」(人工生命国際学会)のパブリックプログラムとして発表される予定だ。料金はプレミアム席が1万円(前売のみ)、一般席が前売4,500円、当日5,000円(いずれも税込)。
当日の様子は「ロボスタ」でもレポート予定なのでお楽しみに。

以下、報道関係者向け資料から抜粋引用

作曲とピアノを渋谷慶一郎が担当、実際の演奏の際に起こるであろう人間の想像を超えた急激なテンポや強弱の変化、それに伴う歌唱表現の極度な振れ幅は全てアンドロイドが自ら決定し、作曲された音楽作品の新たな可能性を引き出す場合もあれば、破壊する可能性もはらみつつ音楽は進む。

世界的なロボット学者である石黒浩氏(大阪大学教授)のアンドロイド「オルタ2」に同じく世界的な人工生命の研究者である池上高志氏(東京大学教授)によるAIの自律的運動プログラムが搭載されたとき、このプロジェクトは始動した。
世界のロボット、ALife(人工生命)を代表する石黒、池上という二人の際立った知性と渋谷の音楽が拮抗することで音楽と我々=人間、アンドロイドの関係は激しく振幅し揺れ動き、更新されるだろう。

歌われるテクストは現代フランスを代表する小説家であるミッシェル・ウエルベックによる奇妙なラブソング、三島由紀夫の自決直前に書かれた遺作、ウィリアム・バロウズのカットアップをディープラーニングでさらに切り刻んだテクスト・リーディングといった極めて危うく鋭い知性、言説の抜粋から成っている。

また、今回の公演に発表される新作として、20世紀を代表する哲学者であるルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタインの遺作である「確実性の問題」の抜粋をWord2Vec(文章内における各単語の意味をベクトル表現化するプログラム)を用いて解析、各単語を3次元ベクトルに変換し、得られたベクトルの各成分を音高、音価、音の強弱に対応させることで、テクストから音楽への自動作曲を用いた作品も発表される。

そして、これらの言わば「人類最後の7つの歌」をアンドロイドが歌うことで恐怖と感動が入り混じった「新たな感情」が生成されるだろう。ここでは単一の物語を時間軸に沿って展開していくという構成をとっていない。そして、近い未来にはリズムやテンポだけではなく、演奏箇所の選択やカットアップもアンドロイド自身がリアルタイムで行い、別々の音楽と物語が偶発的に断片化されては接合されていく、新しいアレンジ/リミックスによるオペラが可能になるだろう。

本公演はその来るべき未来に対するアンドロイドとオーケストラによる壮大なリハーサルを暗転の中で目撃する最初の機会になる。

プロジェクトネームは「Scary Beauty(=奇妙な、不気味な美しさ)」と名付けられた。

■ アンドロイド・オペラ Scary Beauty 予告編


【開催概要】
名称:アンドロイド・オペラ『Scary Beauty』
日時:2018年7月22日(日) 20:30開演(22時終演予定)
   ※終演後に石黒浩氏、池上高志氏、渋谷慶一郎氏によるポストトークあり
会場:日本科学未来館1階シンボルゾーン(東京都江東区青海2-3-6)
料金:プレミアム席(前売のみ):10,000円(税込)、一般席:前売4,500円(税込) 当日5,000円(税込)
チケット:前売はPeatixのみ取り扱い
http://scarybeauty.peatix.com
公式HP:http://scarybeauty.com
関連イベント:「オルタ2」特別展示 7月20日(金)~22日(日)日本科学未来館1Fシンボルゾーン

【出演(敬称略)】
<コンサート>
渋谷慶一郎:コンセプト、作曲、ディレクション、ピアノ
オルタ2:ヴォーカル、指揮
国立音楽大学学生・卒業生有志オーケストラ:オーケストラ演奏

<ポストトーク>
石黒浩、池上高志、渋谷慶一郎(スピーカー)
内田まほろ(日本科学未来館展示企画開発課課長/モデレーター)

[アンドロイド開発、共同研究]
石黒浩、小川浩平(アンドロイド制作)
池上高志、土井樹(アンドロイドプログラミング)
[システムアーキテクト、エレクトロニクス]ことぶき光

[サポートプログラミング]百々政幸、山口慎一

[照明]藤本隆行
[音響]金森祥之
[映像]涌井智仁
[舞台監督]尾崎聡
[テクニカルアシスタント]ジョンスミス
[オーケストラ演奏統括]川島素晴
[オーケストラ演奏指導]板倉康明
[スコア作成]鈴木理
[サウンドプログラムサポート]宮田大地
[ボーカロイドサポート]ジュスティーヌ・エマール
[スーパーバイザー]増井健仁 (ワーナーミュージック・ジャパン)
[制作]神田圭美、中村桃子

主催:ALIFE Lab.
共催:日本科学未来館

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ロボスタ編集部
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