MS ExcelやWordにAI機能を今秋追加!マイクロソフトがIoTを睨んだエッジAIに注力!FPGA「BrainWave」とは?「DLLAB DAY 2018」

Microsoftは今後、クラウドだけでなく、エッジ側のデバイスのインテリジェント化にも注力する。エッジ側とはWindowsやMicrosoft Office関連も含まれる。また、AI関連技術(DNN)を加速するため「Project BrainWave」を展開していく。
6月21日に東京都内で開催された「DLLAB DAY 2018 深層学習を使いこなす日」の基調講演に、マイクロソフトのCTO、榊原彰氏が登壇し、これらを発表した。また、AI関連におけるマイクロソフトの今後フォーカスする分野や展望について語った。

基調講演に登壇した日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者(CTO)、マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長の榊原 彰氏


4年間でIoTに対して5000億円を投資

人々はスマートフォンとクラウドを活用して様々な情報を入手できるようになった。榊原氏は「スマホによるクラウド活用は既に普及した状況なので、私達の今後の世界観はクラウド側だけでなく、エッジ側にもインテリジェンスを持った、世界が繋がる賢いコンピュータの資源を提供していきたい」と語った。
また、MicrosoftはMR(Mixed Reality)、IoT、AI、量子コンピュータなどに投資を続けていく。これから4年間でIoTに対して5000億円の投資をしていくことを発表している。Microsoft Azureは世界に50箇所のリージョンを展開し、クラウド側には大きな投資をしてきた。これからはエッジ側のインテリジェンス化の投資にも本格的に注力する。
世界中にある15億台のWindows端末もひとつのエッジデバイスと考えていて、Windowsにも機械学習を動かすためのランタイム環境を今年の秋から正式に入れていくことを示唆した。Win32やWindowsランタイム(Windows8以降)の両方をカバーするWindows MLアーキテクチュア。そして、Windowsにモデルを直接デプロイしてWindowsを直接動かすことができる機能に対応していく。また、Microsoft ExcelやWordにもAI機能が今年の秋に搭載される予定にも触れた。例えば、Excelにはインサイト(Excel Insight)という機能が搭載され、ユーザーが入力したテーブルを解析して、適するグラフを提案してくる等の機能になる。
また、Kinect(キネクト)デバイス自体は在庫限りだが、Azureに繋がってバックエンドにAIを持つデバイスとして生まれ変わる予定だ。

Kinect for Azure。AzureのML機能などの連携が予定されている

Microsoftが打ち立てた人の能力を上回るAI関連のブレイクスルー 画像認識コンテスト(ILSVLC)で認識率96%、音声の誤認識率5.1%以下、機械学習コンペティションの文章読解のSQuAD readingテストで88.5%(人間とほぼ同等)、翻訳(英語→中国語)ではMITリサーチで69.9%を達成している


「Project BrainWave」とは

榊原氏は続けて「Project BrainWave」を紹介した。
「Project BrainWave」は、推論や機械学習を加速するためのソリューションだ。FPGAにDNN(ディープニューラルネットワーク)のモデルをマッピングする点が特徴的だ。GPUの代わりにFPGAを使ったり、ディープラーニング用のプロセッシングユニットとして計算効率をアクセラレーションするもの。

インテルと共同開発しているDNN向けFPGAプロセッシングユニット「BrainWave」

Microsoftは「シリコン・オルタナティブ」と呼び、長期間FPGAで取り組んできた。機械学習APIの高速化のために、世界中のAzureデータセンターに「カタパルト」と呼ばれるFPGAを搭載している(データセンターのネットワークはFPGA経由でCPUに繋がっている)。「Project BrainWave」はそんなFPGAの最新プロジェクトと言える。

DNNのためのシリコン・オルタナティブ

AIアクセラレーション用のチップでは、Googleの「TPU」が知られているが、FPGAは書き換え可能なため、ソフトウェアを含めたプラットフォームや総合的な環境に合わせて最適に書き換えて利用ができる(マイクロ・サービス)。同社内のベンチマークテストではTPUより5倍速いとしている。また、機能的な特徴としては、通常バッチサイズが小さいものはスループットが上がらなかったり、パフォーマンスが落ちるが、「BrainWave」はそのような使用下でもスループットが落ちないことをあげた。
今後、「BrainWave」はクラウドはもとより、エッジデバイスにも導入していくことを示唆した。榊原氏はおそらく年内には「BrainWave」の機構を取り入れたデバイスのプレビュー版が出せるのではないか、と展望を語った。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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