ヤマハ発動機が農作業ロボット開発へ NVIDIAと協業で製品のインテリジェント化目指す【GTC Japan 2018】

昨年度実績で、1.6兆円の売上を誇るヤマハ発動機。同社は主軸の二輪車事業だけでなく、マリン事業や特機事業、産業用ロボット事業など、モビリティからの派生製品を数多くラインナップする。そんなヤマハ発動機が次に目指すのは、「製品のインテリジェント化」という領域だ。

ヤマハ発動機の売上構成

9月13日、NVIDIAが主催するGPUテクノロジカンファレンス「GTC Japan 2018」が開幕した。初日午前に行なわれた基調講演には、NVIDIAの創業者/CEOであるJensen Huang(ジェンスン フアン)氏が登壇。NVIDIAとヤマハ発動機による協業を発表した。



ヤマハ発動機は、Jetson AGX Xavierを次世代製品の開発プラットフォームとして標準化することで、すべての製品をよりインテリジェントなものに変革することを協業の目的と語る。

労働人口が減少する日本においては、いかに生産性を上げて、効率的な作業を行なうかが大きな課題となっている。ヤマハ発動機は、NVIDIAの「Jetson AGX Xavier」やロボットの開発環境「Isaac(アイザック)」を活用して製品に知能を持たせることで、これらの課題を解決していきたい考えだ。



「GTC Japan 2018」開幕前日に行なわれたプレスブリーフィングにて、説明を行なったヤマハ発動機株式会社 先進技術本部 研究開発統括部長 松村啓且氏

ヤマハ発動機がインテリジェント化を目指す領域「UGV」「PPM」「産業用無人ヘリコプター・ドローン」「安全性」のそれぞれの分野について詳しく見ていく。


UGV(無人農業用車両)

これまで農作業用の製品を開発してこなかったヤマハ発動機だが、農作業ロボットとUGVを組み合わせた新製品を、2020年の市場投入を目指して開発を進めている。農作業ロボットの具体的な用途は「事業展開上の機密」として明かされなかったが、運搬・収穫に加えて観察などの人手に頼る作業の一連を行なうものになるという。

農業従事者の平均年齢は66.6歳で、働き手は2010年より30%以上減少しており、この農業人口の減少という課題解決への貢献を目指す。

開発するのは、小型軽量で長時間稼働可能な動力源をもち、畑などのオフロードでの走破性に優れた機体。さらにインテリジェント化により、オフロードという複雑な環境下においても、AIによる優れた周辺認識・判断能力を持った自律移動可能な農作業ロボットを開発していきたいと語った。


PPM(Public Personal Mobility)


二つ目の製品は、「PPM」とヤマハ発動機が称する、電動の小型低速車両だ。プラットフォームとして活用するのはゴルフカーの車体。ヤマハ発動機はゴルフカーにおいて、世界シェア約30%、国内シェア80%を持つ。

品質面においても性能面においても信頼性の高い車両を用いて、MaaS(Mobility as a Service)を展開していく狙い。高度な自律化技術による自動運転によって、観光地や過疎地における新しい交通手段の社会実装を目指して開発を行なう。


産業用無人ヘリコプター・ドローン


「ドローン」が脚光を浴びる前から、ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプターの開発を行なってきており、国内の稲作の約1/3の農薬散布に使われているという実績をもつ。特徴として挙げられたのは、長時間航行(200kmの航行が可能)とペイロード(10kg以上のものを運ぶこともできる)、そして長年培ってきた高い信頼性と耐久性だ。この産業用無人ヘリコプターやドローンにおいてもAIによるインテリジェント化を進めることで、さらに複雑な環境でも航行できるような適応力の高い自律航行技術を搭載する。


安全性

より安全性の高いモビリティを開発することはヤマハ発動機のミッションだと語った松村氏。同社では、極限領域での評価を行なうため、人間のオートバイを運転するために自律型ロボット「MOTOBOT」を開発するなど、過去にも大胆な検証を行なってきた。

今後は、車体の極限領域での評価にも、Jetson AGX Xavierを活用する。操作量と車両挙動の関係を可視化し、機械学習によりマシン性能の限界判断能力を培う。



各社への導入が進む「Jetson AGX Xavier」


また本日の基調講演では、「Jetson AGX Xavier」を、ファナック、コマツ、武蔵精密工業、川田テクノロジーズの各社が、次世代の自律動作マシンにいち早く採用したことが、ジェンスン フアン氏の口から語られた。

Jetson AGX Xavier は、AIを活用するロボットに対する、大規模なコンピューティングの要件を満たすために構築された。

30TOPS(毎秒30兆回の演算)を超える能力を持つ小規模なコンピューターモジュールに始まり、手のひらサイズに収まる、強力なワークステーションの処理能力を実現。「Jetson AGX Xavier」は、10W、15W、30W の複数の操作モードを備えており、そのエネルギー効率は、先行機種の10倍以上とされている。

さらに、Jetson AGX Xavierは、AI アプリケーションを開発し、導入するためのフルソフトウェアスタック「NVIDIA JetPack SDK」をサポートする。これには、最新バージョンの「CUDA」、「cuDNN」、「TensorRT」が含まれている。

このハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより、企業や開発者は、「続々と登場する次世代のインテリジェントマシンを迅速に開発できるようになる」とNVIDIAは語る。

「NVIDIA Jetson AGX Xavier 開発者キット」は、2,499ドルで提供されている。NVIDIA開発者プログラムのメンバーであれば、1 つ目のキットを1,299ドルの特別価格で入手可能。GTC Japanに参加すると、販売パートナーの菱洋エレクトロ株式会社を通じ、会場でキットを購入することも可能だ。

「GTC Japan 2018」は、明日も注目のセッションが続く。

関連サイト
GTC Japan 2018

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ロボスタ編集部
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