テクノロジーは遊んで学ぼう!教育ロボットのすすめ。

「ロボットを作る」ということが、新しい遊び、そしてテクノロジー教育の一部として定着しつつある。

巷には、センサーやモーターなどをブロックと組み合わせてロボットを作るキットや、ビジュアルプログラミング言語を使ってロボットの制御を学ぶもの、または電子工作のように身の回りにある材料を使いながら自由な発想で自分だけのロボットを作っていくものなど、子供も大人も一緒になって楽しめる、創造性を刺激する仕掛けが施された多種多様なプロダクトが存在する。

背景には、2020年を皮切りにスタートする学校教育でのプログラミングの必修化や、国としてのテクノロジー教育への取り組みの強化もあるが、先端テクノロジーが自然な形で多くの分野に溶け込み始めているということが大きいのではないだろうか。


ヒューマンアカデミー ロボット教室では年に一度全国大会を開催。ロボットを通じて、子供達がプログラミングスキルを競っている。

一昔前は一部のギークの高額な趣味でしかなかったものが、PCやスマホなど、インフラの一部となるまでに普及したことにより、大幅にコストダウンすることが可能になり、その恩恵を様々なアナログ分野が受けている。「アップデート」という単語が世の中に溢れていることも一つの裏付けだろう。そしてこれからの時代においては、テクノロジーを扱うことはもちろん、それらをどのように組み合わせて新しい価値を生み出すのかという資質が求められている。

その能力を養うのに、「ロボットを作る」ということは最適だ。なぜなら、多くのロボットキットには「遊び方の型」が無く、創造性を如何なく発揮することができるからだ。

今回のコラムでは、ロボット製作を始め、遊びを通じて先端テクノロジー体験できる代表的なプロダクトをいくつか紹介していく。STEMカリキュラムは大人でも子供も関係なく、夢中になって楽しめる新しい遊びの一つとして定着していくことだろう。



積み木遊び × テクノロジー = ブロック系ロボットキット

筆者が幼少の時代、ひとり遊びの定番は積み木やレゴなどのブロック遊びだった。動物や乗り物を模して積み上げるところから始まり、自分だけの城や家、人型ロボットのような謎のオブジェ(?)を作り上げ、頭の中でそれらが話したり、動いたり、時には戦ったりする様子を想像しながら夢中になって遊んでいたのを今でも記憶している。

こうしたブロック遊びの大切な要素にテクノロジーを掛け合わせ、現代版の遊びとしてアップデートしたのがブロック系のロボットキットであろう。創造力、集中力、そして空間認識能力を鍛えながら、テクノロジーの基礎を理解することができる、遊びと学習の境界線をなくした理想的な形ではないだろうか。


レゴ マインドストームEV3(デンマーク・レゴ社)

ここからはブロック系ロボットキットの代表的なものをいくつか紹介していこう。ブロック系の代表格は何と言ってもレゴ社のマインドストームEV3だろう。


レゴマインドストーム「EV3RSTORM」(Photo:LEGO

マインドストームの初代であるマインドストームRCXは1998年に発売され、それ以来、バージョンアップを繰り返しながら、多くの子供たちや「大人の子供心」に火をつけたエポックメイキングなプロダクトだ。教材としてこれまでに世界70カ国以上、5万以上の教育機関で採用されている王道中の王道だ。対象年齢は10歳以上と難易度的にはやや高めに設定されているが、その分拡張性は同様のブロック系キットの中では群を抜いている。

2011年に公開された、マインドストームとスマホを組み合わせて作られたルービックキューブの解析ロボットは衝撃的だった。もちろんそこまでは行かずとも、様々なものを生み出すことができるが、発展系のレシピも多数ネット上に公開されているので、長く楽しめるプロダクトであると言える。


アーテックロボ(アーテック)

もう一つブロック系のキットで有名なのがアーテックロボだ。アーテック社は教材メーカーとして創業したのち、教材の開発で培ったノウハウを生かし、現在は知育玩具の開発製造も行っている。



アーテックロボは、オリジナルのブロック「アーテックブロック」と、マイコンボードにモーターやセンサーなどを組み合わせた本格的なロボットキットだ。対象年齢は8歳からだが、未就学児や小学校低学年向けに、ブロックでざまざまな形を作る「アーテックブロック」シリーズも展開している。

アーテックロボで製作したロボットはもちろんプログラミングが可能。アーテック用にカスタムしたScratchなど、ビジュアルプログラミング言語が使用できるため、初心者でも安心だ。それでもなかなか独学では不安があるという場合は、アーテックが運営するロボットスクールに行ってみてはいかがだろうか。全国850以上の教室で体験できるので、気になった方はチェックしてみてもらいたい。



テクノロジーは新しい遊びの形へ

市場にはもちろんブロック系以外にも多数のロボットキットやテクノロジーを題材としたものが存在する。電子工作の要素が強いキットだったり、ロボットをプログラミングすることに重きをおくものだったり、自動運転の仕組みを体験できるものだったりと、楽しみ方、学べることは様々だ。ここからはブロック系ロボットキット以外の特徴的なプロダクトを紹介する。


mBot(中国・Makeblock)

教育用ロボットのカテゴリーにも多くの中国企業が進出している。Makeblock社は2013年に深センで創業、そのビジョンと洗練されたプロダクトで大いに注目された。2018年8月までにシリーズCを終え、累計で約400億円の資金調達を実施し、STEAM教育ソリューションカンパニーとして、として教育ロボット市場を中心に世界的に名を馳せている。

Makeblock社は数多くのロボットキット以外にも様々なプロダクトを販売しているが、ラインナップの中心となるのはロボットキットの「mBot」だ。



コンセプトとして似たようなキットは市場に存在するが、洗練されたパッケージを含めた完成度の高さは他にはない。各国のデザイン賞でもアワードを獲得しており、日本のグッドデザイン賞や、ドイツのIFデザイン賞、レッドドットデザイン賞など権威ある9つの賞を世界で獲得している。

mBotのラインナップは、車型のロボットを製作する基本キットを始めたとして、3種類のロボットが組み立てられるmBot Ranger。そして、10種のロボットが製作できるmBot Ultimateに分かれており、スタートするときのレベルに合わせて選べる仕組みになっている。

プログラミング方式もScratchベースのビジュアルプログラミングから始めることができ、Aruduino言語にステップアップすることもできるので、お試しから本格的なロボットプログラミングまで幅広いニーズに応えている。


embot(イーフロー)

embotは、NTTドコモの新規事業創出チーム「39works」から誕生したシンプルなロボットキットだ。今まで紹介してきたロボットキットは高価な部類に入るものが多かったが、embotはより多くの人に気軽にロボット製作とプログラミングを楽しんでもらいたいという思いから、ロボットの外観素材にダンボールを採用し、同梱されるパーツもembotコアと呼ばれるマイコン、サーボモーターが2つ、そしてLEDライトとブザーがセットになった必要なものは揃ったシンプルなパッケージで、5,000円以下の価格を実現した。



オリジナルのビジュアルプログラミングアプリを使用し、様々な動作を組み込んでいくことができるほか、外観はダンボールを採用しているので簡単に身の回りのものでカスタムが可能。塗装をはじめとして、元々のクマの外観をドラゴンに改造するという「魔改造」シリーズも人気だ。身の回りのものを使って工作できるという自由度の高さは魅力的だ。


MESH(SONY)

MESHはSONYの新規事業創出プログラムから生まれたIoTブロックだ。7種類あるブロックひとつひとつがそれぞれ、照度、加速度、または人感などのセンサーとなっており、それらをタブレットを使ったビジュアルプログラミングで組み合わせることによって様々な用途でテクノロジーを楽しむことができる。


Photo:Sony

MESHのウェブ上に公開されている「レシピ」は現在300種類以上。トイレの空室状況を知らせるもの、自室の照明をコントロールするもの、二足歩行の恐竜ロボットまで、幅広い活用例が掲載されているので見ているだけでも楽しめるはずだ。

また、ブロックにはGPIOもあり拡張性も担保されている。電子工作が得意な人はもちろん、電子工作の初心者も少しずつステップアップしていくことができるのが魅力的なプロダクト。大人子供問わず、アイディア次第で面白いレシピが生み出せるかも。


Zumi(アメリカ・Robolink)

自動運転技術って実際どんな仕組みなんだろう?そんな疑問を持ったことはないだろうか。

ZumiはKickstarter上で話題の「自動運転の仕組みを学ぶことができる」キットだ。2019年のCESでベストイノベーション賞を受賞、難解な先端AI技術を、実際に開発過程を体験をすることで学ぶことができるユニークなプロダクトである。

Zumiは3輪の自律型走行ロボットで、マップ上に配置された障害物や信号に対して、停止や回避などの判断をティーチングしていくことで、Zumiはより効率的に自律走行が可能になるという仕組み。難解なテクノロジーの仕組みも、少しでも自分で触れてみることで理解が大幅に深まるはずだ。



まとめ

いかがだっただろうか。テクノロジーによって世の中が急速に変化する時代、視覚から入ってくる映像や文字情報だけではなかなか芯まで理解することは難しい。その表層部分だけでも楽しみながら体験することで、テクノロジーの基礎が分かり、使うようになることができるきっかけになるのではないだろうか。ロボットを通じてもっと多くの人に先端技術を楽しんでもらえたらと思う。

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木村 裕人
木村 裕人

1983年生まれ。カリフォルニア州立大学を卒業後、アップルジャパンを経て、2010年デアゴスティーニ・ジャパン入社。日本で1番売れた二足歩行のコミュニケーションロボット「ロビ」をはじめとするロボティクス事業の責任者を務める。2016年よりバルミューダにて新規事業を担当し、独立。現在はフリーランスとしてハードウェア領域のベンチャー企業を中心に、マーケティング・PR戦略を手がけているほか、ライターとしても活動中。

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