本日、日本時間未明にスタートした「Google I/O 2019」にて、Google製の新型スマートディスプレイ「Nest Hub Max」が発表された。これは昨年10月に発売された「Google Home Hub」の上位版となる機種で、ディスプレイサイズが大きくなった他、Nestのスマートカメラが搭載されるなどの進化が判明している。
「Google Home Hub」は「Nest Hub」と改称され、廉価版の「Nest Hub」と上位版の「Nest Hub Max」の2ラインナップになる。「Nest Hub」の販売価格は149ドルから129ドルに下がり、日本も販売地域となる。近く日本での発売も開始されるはずだが、現在のところGoogleストアから購入することはできない。
上位版の「Nest Hub Max」の価格は229ドル。こちらはまずこの夏の後半にアメリカ・イギリス・オーストラリアの3ヶ国のみでの販売となるようだ。
カメラ搭載で機能が充実
「Nest Hub」のディスプレイが7インチだったのに対して、「Nest Hub Max」のディスプレイは10インチとなる。「Nest Hub」では動画を見るには小さいが、「Nest Hub Max」の10インチディスプレイであればキッチンで動画を見ながら料理することもできるはず。サブスクリプションのYouTube TVなどに登録しておけば、お気に入りのライブ番組やスポーツのストリーミングも可能だ。
また「Nest Hub Max」には「Nest Hub」に搭載されていなかったカメラが搭載される。Google傘下のハードウェアブランドNestのスマートカメラ「Nest Cam」が搭載されているため、外出先からアプリを通じて簡単に家の中を確認することができるようになった。
また、カメラが搭載されたことで「Google Duo」を通じてビデオ通話もできるようになったことに加えて、「ジェスチャー認識」機能も搭載された。ジェスチャー認識により、ユーザーはデバイスを見て”手をあげるだけで音楽を止める”ことができるなど、Googleアシスタントの新たな体験を生み出している。
そして声やカメラで人を認識することで、事前に登録しておいた情報と紐づけて情報の出し分けをすることも可能だ。事前に設定した通勤情報やカレンダーなどを表示することができ、個人の嗜好を理解して音楽をオススメし、ビデオメッセージがあれば知らせてくれる。家庭内で誰でも使えるデバイスでありながら、個人に紐づいた情報を表示させることが可能となるということだ。
カメラが搭載されてできることが増えた一方で、家庭内で常にカメラをオンにしておくことを怖いと感じるユーザーも多いことだろう。「Nest Hub Max」には背面にスイッチがあり、そこからカメラのオン/オフを切り替えることができる。カメラが起動中の場合には緑色のランプがつくなどの処理がされているようだ。しかしこの点はFacebookのスマートディスプレイ「Portal」のように、物理的にカバーをはめてカメラを隠してしまう方が、ユーザーの安心感は高まりそうだ。
Googleのホーム製品はNestブランドに
今回の「Nest Hub Max」の発表と「Nest Hub」への改称を通じて、Googleがホームデバイスを「Nest」ブランドに統一する姿勢が見て取れる。Nestは2014年に32億ドルもの金額でGoogleから買収されたことでGoogle傘下となった。当時Nest社はサーモスタットを開発・販売する企業であった。家電量販店のサーモスタット部門で販売数第一位になるなど、人工知能を組み合わせてエネルギー消費を抑えるNest製品は、家庭内に入っていくスマートデバイスの代表格とも言える存在となっていたようだ。Googleに買収されて以降、そのサーモスタットをハブにして、ドアベルや室内/室外カメラ、セキュリティデバイスなどを展開し、家庭内の電力消費を効率的にすると共に家庭内をより安心・安全にするデバイスを開発してきた。Googleアシスタントとの相性がよく、2014年の買収当時からこの展開を見据えていたのかもしれない。
競合はアマゾンのEcho Show
今回発表されたNest Hub Maxの直接的な競合製品となるのは、AmazonのEcho Show(第二世代)である。昨年12月には日本でも発売されたEcho Showだが、ディスプレイサイズは10.1インチ、通常価格は$229.99ということで、スペックも価格もNest Hub Maxと同程度だ。
AmazonとGoogleは今年4月に動画ストリーミングサービスにおける部分的な和解を発表していたが、Alexa・Googleアシスタント間での争いはまだまだ続きそうだ。