自動運搬ロボットAGV大集合!経産省が自動走行ロボットの公道走行や実用化の協議へ

経済産業省(経産省)の物流企画室は、自動走行ロボットの社会実装に向けたインフラ整備を具体的に検討するため、官民合同の協議会を発足することを発表し、本日6月24日に準備会合を行った。それに先だって、経産省本館前に5種類の自動走行ロボットが集められ、紹介とデモンストレーションが行われた。

経産省本館前に集合した自動走行ロボット4種。左からEffiBot(三菱地所)、Hakobot、CarriRo Deli(ZMP)、Marble(三菱地所)、楽天UGV(京東:ジンドン製)

官民協議会は、関係省庁、運送事業者、サービサー、デベロッパー、自治体等が参加し、歩道を走行する場合の影響、万が一事故が発生した場合の責任の所在、法規制等、公道を含めた自動走行ロボットの実用化を加速させる考えだ。

遠隔操作による走行デモも行われた(下記に動画あり)

自動走行ロボットの背面。雨にもかかわらず、多くの報道陣が集まった

自動走行ロボットの説明を行う(向かって左は経産省のメンバー)


物流のラストワンマイル、将来を担う自動走行ロボット

現在、深刻な「物流クライシス」、運送や物流事業の危機がささやかれている。オンラインショップ(EC:電子コマース)や宅配ニーズが急激に増加する一方で、物流や運送業界は少子高齢化もあって深刻な人手不足にみまわれている。
そこで期待されているのが自動運転機能を持った自動運搬(自動運送)ロボットだが、日本では道路交通法があって、歩道を含めて公道を自走することが現在は原則できない。

三菱地所による丸の内、立命館大学内キャンパスなどでの実証実験が進む自動走行ロボット「Marble」。公道での実証実験が今後のステップアップには必要だ

パスワード(暗証番号)を入力してカバーを開ける

デモではドリンク類をデリバリーするシーンを想定

一方、欧米や中国でも基本的な道交法の事情は同様だが、自動搬送ロボット(AGV、UGV)の開発が進むとともに、一部の地域では特区制度のようなものを用いて公道での実証実験が積極的に行われている一面もある。

アドバイザーに堀江貴文氏が就任したことで注目されている株式会社Hakobotの自動走行ロボット

Hakobotのラゲッジ・カバーは前開き方式

そこで経産省は、世界的な流れに後れをとることなく、公道を含めて自動走行ロボットが走る社会に踏み出すために次の内容に焦点をあてて、「官民協議会」を発足した。

社会実装に向けて官民協議会で検討すべき論点(案)
安全性の確とその役割分担の整理
ユニバーサル性の確保(交通弱者への配慮)
マップ等のインフラの整備(協調領域の検討)
事故等の法的責任分界の整理

楽天はドローンによる空輸配送も開発中で、地上配送ロボットとの組み合わせた未来社会を描く。地上配送ロボットを同社はUGV(Unmanned Ground Vehicle)と呼ぶ

楽天のUGVはほかと比較してかなり大型だ。とはいえ、今回のバージョンでは引き出しサイズの荷物を運ぶモデルとなっていた

経産省では、自動走行ロボットの社会実装によって、次のような効果が期待できるとしている。


人手不足の解消
労働人口減少による人手不足の解消
交通環境の向上
配達用車両やバイクの数を抑制することによる渋滞の緩和
生産性の向上
労働集約的な作業でうる台車配達等をロボットで代替
消費者利得の向上
オンデマンド配送(消費者が配達時間を自由に選べる)の実現の可能性を探る

■自動運搬ロボットAGV大集合!


自動走行ロボットは2種類

協議会では自動走行ロボットを2種類に分類している。


自動追尾型

ひとつは人の後を追尾して荷物を運ぶ「自動追従型」だ。三菱地所が実証実験を頻繁に行っている「EffiBot」がその代表のひとつで、このロボットは追従者が急に止まったり向きを変えても、レスポンスよく対応するのが特徴だ。最大300kg程度の荷物を運ぶことができるので、女性や高齢者など、腕力に自信のない人が扱う場合にも効果が期待できる。人が押す手押し車(台車)や荷車等の自動化とも言えるので、法整備やルール化に関わる検討も比較的早く進められるように思う。

ボタンひとつで人に追従して走行する「EffiBot」。この手軽さとレスポンスは実に軽快だ。三菱地所では災害対策用の土のうや工事用機材、宅配の荷物等を運ぶ実証実験を敷地内で重ねてきた


自律走行型

完全自動運転車と同様、カメラ画像やGPS、レーザーセンサー(LiDAR:ライダー)等を使用して、無人で敷地内やキャンパス内を走行する実証実験が各地で行われている。ロボット自身がマッピングして走るもの、予め作成したマップに沿って走行するものなど法時はさまざま。一方で道交法や様々な規制によって、公道での走行には制限があるため、ラストワンマイルの実験が難しいのが実状。

ZMPの宅配ロボットCarriRo Deli(キャリロ デリ)。慶應義塾大学のキャンパスにて実際に商品を配達して代金を受け取る宅配ロボットサービス実証実験などが行われている

CarriRo Deliは表情を変えたり、話しかけたりしながら自走する。その可愛さも好評だ

現在、実証実験は三菱地所、日本郵便、立命館大学、慶應義塾大学などが建物内、大型ビル等敷地内、学校のキャンパスなどを中心に実証実験を行っている。今後はヤマト運輸なども参加するこの協議会を通じて、更に具体的な活用方法や手段が検討されるとともに、公道を含めた実証実験や法整備の加速が期待されている。今後の成果に期待したい。

ABOUT THE AUTHOR / 

神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

PR

連載・コラム