「Pepper」プログラミング教育によってクリティカル・シンキングが向上 東工大の研究で明らかに

ソフトバンクグループとソフトバンクロボティクスは、人型ロボット「Pepper」を使ったプログラミング教育の取り組み「Pepper 社会貢献プログラム」を実施している。Pepperを無償または廉価で小中学校や高校に貸し出し、プログラミングの授業を推進するのが目的だ。巨額を投じたプロジェクトとあって明確な成果が求められが、同社はそのひとつとして「プログラミング成果発表会」というコンテスト形式の発表会を行い、その成果をはかる場を設けてきた。

「Pepper 社会貢献プログラム」のイメージ

そしてこの度さらに、その教育効果を効果測定して検証するため、東京工業大学の協力の下で本格的な調査をおこなった。その結果、Pepperを使ったプログラミング教育を受けた児童・生徒は、Pepperを使ったプログラミング教育を受けていない児童・生徒と比較して、クリティカル・シンキング(批判的思考力)の態度が高い結果となった。


批判することから始める「クリティカル・シンキング」とは?
クリティカル・シンキングとは、目の前にある事象や情報を鵜呑みにせずに、「なぜ?」「本当に正しいのか」と疑問を持ち、じっくり考察した上で結論を出すこという批判的思考方。

効果測定の尺度(7つの尺度で批判的思考態度を測定)
一般的批判的思考態度
1. 探求心
2. 論理的思考の自覚
3. 証拠の重視
4. 客観性
学習場面における批判的思考態度
5. 授業の受け方
6. 意見の聞き方
7. 考えの深め方

この調査の結果として、Pepperを使ったプログラミング教育を導入している小学校が、導入していない小学校に比べ、クリティカル・シンキングの7つの尺度のうち「論理的思考の自覚」「客観性」「授業の受け方」「意見の聞き方」「考えの深め方」で高い結果となった。また、Pepperによるプログラミング教育を導入している中学校も導入していない中学校と比べて、クリティカル・シンキングの7つの全ての尺度で高く、同様に有意差があったという。


小学校の比較データ



中学校の比較データ

この調査は「日常の学習態度に対する変化」を検証するため、教育分野で広く用いられているクリティカル・シンキングの定義に基づき、学習への取り組み姿勢を問う7つの尺度とそれにひも付く20の質問を設定し聴取。Pepperを使ったプログラミング教育を導入している小中学校と導入していない小中学校の児童・生徒に対して、2018年9月から2019年1月までに行われたプログラミング授業の前後でテストを行うとともに、各授業後にアンケートを実施した。回答者数は小学生が1,934人、中学生が1,560人。

また、Pepperを使ったプログラミング教育に対する教員の評価も聴取するため、185人の教員にもアンケートを実施。その結果、児童・生徒にとって「プログラミングが理解しやすい」「主体的に学習に取り組む」などの点で魅力に感じていることが分かったという。さらに、実際に授業を行う教員にとっては、「教師用指導書や学習指導案の分かりやすさ」「プログラミングソフトの使いやすさ」に加え、プログラミング教育以外でも使える「汎用性」なども評価の対象になった。

今回の調査を担当した東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 栗山直子 助教は以下のようにコメントしている。

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院 栗山直子 助教
「Pepperを用いたプログラミング教育により、児童・生徒はPepperという現実のロボットを目の前にして、積極的にプログラミングに触れることができました。調査と分析により、このことは単なる体験ではなく、児童・生徒にとってクリティカル・シンキングに関わる態度の育成がなされる可能性があることが示されたと考えています」




「Pepper 社会貢献プログラム」とは

「Pepper 社会貢献プログラム」は、ロボットと共生する未来の社会を担う子どもたちの論理的思考力や問題解決力、創造力育成を支援するため、ソフトバンクグループが2017年に開始した取り組み。このプログラムでは、 2020年の小学校におけるプログラミング教育必修化に向けた教育活動を、人型ロボット「Pepper」が支援する。ソフトバンクグループは、「Pepper 社会貢献プログラム」の効果を継続的に把握するとともに、プログラミングなど子どもたちの教育環境の向上に貢献していく、としている。


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ロボスタ編集部
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