ソフトバンク子会社がFacebookの飛行実証デモに参加 地上から4km高度の航空機から電波を受信 HAPSモバイルが発表

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、HAPS(High Altitude Platform Station)事業の普及・発展を目指し、Facebookが南アフリカ共和国のオーツホーンで2019年8月8日に実施したHAPSの実証飛行デモンストレーションに参加したことを発表した。


無人航空機を通信基地局のように運用する「HAPS」

HAPSとは、成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局のように運用することで、山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークが整備されていない場所や地域でも、安定したインターネット接続環境が構築できる成層圏プラットフォーム。


HAPSのイメージ

発展途上国など、インターネットの通信インフラが整っていない地域への導入が期待されるほか、地上の状況の影響を受けずに安定した通信ネットワークが提供できるため、大規模な自然災害発生時に地上の通信インフラがダウンした場合でも、成層圏からの通信によって救助や復旧活動に貢献できると期待されている。


さらに、HAPSを現状の通信ネットワークと効率的に相互連携させることで、上空からと地上からの広域にわたるネットワークカバレッジが実現し、ドローンなどの活用につながるほか、IoTや5Gの普及にも役立てることができる。


デモは26GHz/38GHz帯の電波を利用して実施

今回の実証飛行デモンストレーションは、地上から4キロメートルの高度を飛行する小型航空機にFacebookが開発した高度な通信システムを搭載し、10月にエジプトで開催される「WRC-19(国際無線通信会議)」でHAPS向けに標準化が見込まれている26GHz/38GHz帯の電波を利用して実施。


小型航空機に対して地上のゲートウェイからインターネット通信用の電波を発信し、ペイロードを経由して地上の別の場所に位置する端末で電波を受信することができるかを実証した。


これにより、今後HAPSの技術を活用することで、通信ネットワークが整備されていない場所や地域に対して、通信事業者が通信ネットワークを提供することが可能。HAPSモバイルとFacebookは、ITU(国際電気通信連合)が開催するWRC(国際無線通信会議)での標準化活動において、HAPSで利用する周波数の標準化や法整備を目指して、今後も協力していく。


2023年頃に機体の量産化とサービスの提供を目指す。

HAPSモバイルは、ソフトバンクと米AeroVironment, Inc.の合弁会社。同社は、世界の情報格差をなくすことを目指し、HAPS事業に向けたネットワーク機器の研究開発や、コアネットワークの構築、新規ビジネスの企画、周波数利用に向けた活動などを行っている。米AeroVironment, Inc.は、HAPSモバイルのソーラーパネルを搭載し、地上約20キロメートルの成層圏で飛行する成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「HAWK30」の機体開発パートナー。

成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「HAWK30」

1基で直径200kmのエリアをカバーする。(約40基で日本列島をカバー)

HAWK30はソーラーパネルを搭載した翼に10個のプロペラを備え、平均して時速約110キロメートルで飛行する無人航空機。ソーラーパネルで太陽光を常時受けることができるほか、1年間を通して比較的風が穏やかに吹く成層圏の特長を生かすことで、数カ月の長期間を安定して飛行することが可能。


同社は、HAPSを活用した上空からの通信ネットワークをグローバルに提供することを見据えて、各国の関係機関との調整や、事業に関わる各種法令・規制などに配慮しながら、研究開発やフライトテストを実施し、2023年ごろに「HAWK30」の量産化およびサービスの提供を目指す。


関連サイト
HAPSモバイル

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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