高山商事とテムザックは、介護施設内での巡回見守り・異常時の駆けつけ・情報通知等を行うことができる自動駆けつけ介護ロボット「SOWAN(ソワン)」を共同で開発したことを発表した。高山商事が本日から受注受付を開始する。(上の画像は公式サイトの動画からキャプチャー)
IoT、LiDAR、SLAM技術で介護現場の負担を軽減
介護現場は24時間体制での対応が求められる。特に夜間帯になると少ない人員で多様な業務に追われることも多くなり、職員への大きな負担となっている。さらに介護業界の人手不足は深刻で、今後さらに超高齢社会が進むことで2025年時点で約37.7万人が不足すると予想されており(厚生労働省:2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)より)、職員の負担を減らし人材確保を進めることの必要性が増している。
そこで誕生したのが、巡回見守り・異常時の駆けつけ・情報通知等を担う自動駆けつけ介護ロボット「SOWAN(ソワン)」。活動量計と連動し利用者のバイタルデータを見守りながら建物内を自動巡回し、機器からの指示で部屋まで駆けつけ、その状況を映像で職員へ伝えるとともに記録を残す。また巡回中にひとり歩きする施設の利用者を発見すると、個人を認識して声掛けを行う。
ソワンは高山商事の関連企業が運営する住居型有料老人ホームで検証を重ね、現場に必要とされる機能をパッケージプランとして低価格で実現したという。介護施設へ導入することで介護職員の負担を軽減し、利用者・家族に安心を提供する。
主な機能
1.自動巡回
自動車の自動運転にも用いられている最新の「LiDAR」(360度全方位センサー)を搭載し、定められた時間に、定められた場所から、障害物を回避しながら静かに巡回する。センサーから取得した情報から、自己位置推定と地図作成を同時に行う「SLAM」技術により、高精度な巡回を実現。
LiDAR=Light Detection and Ranging(光による検知と測距)の略
SLAM=Simultaneous Localization and Mappingの略 自己位置推定と地図作成を同時に行うこと
2.活動量計と連動しバイタルデータの見守り
利用者の腕に装着した活動量計(ウェアラブルデバイス)から、脈拍の情報をサーバへ送信して継続的に見守りを行う。活動量情報は、居室のタブレット端末と管理者用端末で確認できる。
3.アラートがなったら自動駆けつけ開始
脈拍数値が設定値を超えると、ソワンはサーバからの出動指示を受けて自動で居室まで駆けつけ、入室と同時に映像の録画を開始する。職員はその映像を遠隔で確認でき、ソワンを通じて利用者と会話することも可能。
4.自動引き戸開閉装置「ポルテア」
普通の引き戸を、後付けで簡単に自動ドアにできるシステム。ソワンとの通信によって自動で扉が開閉する仕組みで、ソワン単独で部屋の出入りが可能。通常は手動の引き戸として使用できる。
5.登録者の顔認識と声掛け(オプション)
認知症によるひとり歩き行動がある人など、事前に登録した施設の利用者を巡回中に発見した場合は、個人を認識してお部屋に戻ってもらうよう声かけを行う。文言は時間帯に合わせて変えることができる。
6.自動充電(オプション)
ソワンの電池電圧が少なくなった時、自動で充電スタンドへ戻り充電を行う。充電完了後は巡回を再開する。
7.転倒者検知・通報(オプション)
転倒者を発見すると警報を発してスタッフにお知しらせ。ロボット導入後に採用することも可能。
<料金プラン>
SOWANを利用するには施設内のインターネット接続環境が必要となる。下記の画像内の基本プランは一例。希望に応じてオプションを追加することも可能。
<スペック>
重量 | 約60kg(バッテリー含む) |
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センサー | 360度全方位LiDAR×1、RGBカメラ×1 |
通信 | Wi-Fi/モバイルネットワーク通信(LTE) |
電池 | バッテリー密閉型鉛蓄電池(24V 40Ah) |
充電時間 | 約7時間 |
稼働時間 | 約20時間 |
走行速度 | 巡回 約0.9km/h |
車輪 | ソリッドタイヤ |
カメラ | 約130万画素 ナイトビジョン搭載 |
その他 | スピーカー×1、マイク×1 |
SOWAN 公式サイト
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。