WHILL 2019年に国内外の5つの空港で「WHILL自動運転システム」の実証実験を実施 2020年は順次実用化を目指す

WHILL株式会社は、CES2019でプロトタイプを発表後、2019年12月までに国内外の5つの空港で自動運転パーソナルモビリティである「WHILL自動運転システム」の実証実験を実施したことを発表した。2020年度以降、順次実用化を目指す。

WHILL自動運転システムはCES2020会場で展示予定。すでに北米で販売しているモデル「WHILL Model Ci」もブースで試乗できる。


オランダ、アメリカ、アラブ首長国連合、等で実証実験を実施

「WHILL自動運転システム」は、WHILL社が独自に開発した自動運転・衝突回避機能などを備えたパーソナルモビリティ。長距離の歩行を困難と感じる高齢者・障害者の移動シーンをスマートにする、歩道領域における自動運転システム。



2019年1月に世界最大級の家電・エレクトロニクス技術展示会「CES 2019」でプロトタイプを発表後、5月にアムステルダム・スキポール空港(オランダ)を皮切りに、11月に羽田空港およびダラス・フォートワース国際空港(アメリカ)、12月にアブダビ国際空港(アラブ首長国連合)およびウィニペグ国際空港(カナダ)で実証実験を行ってきた。

■ダラス空港での実証実験

■アブダビ国際空港での実証実験の様子

■ウィニペグ国際空港での実証の様子

いずれの空港での実証実験でもユーザビリティや機能について、関係者や乗客から高い評価を受けたという。また、有人での実証実験には、述べ100名以上の乗客が実際にWHILL自動運転システムで移動を体験した。利用者からは以下のようなコメントが届いている。

■空港利用者からの主なコメント
・簡単に操作ができる。旅行はしたいが長い距離を歩くのが大変なのでうれしい。(70代女性)
・普段は車椅子を利用していないが、少し膝が痛いのでありがたい。高齢者の旅行者も増えているし、実際の導入時には利用者も増えるのでは。(70代男性)
・心臓に疾患があり、中長距離の移動はゆっくりでしか歩けないが、外見上は疾患があることがわからないため、介助サービスを受けるのは、周りから「健康なのに車椅子を使って…」と思われそうで引け目を感じていた。これなら介助する人に遠慮しなくてもよいため、またぜひ利用したい。(60代女性)

WHILL自動運転システムはCES2020にも展示予定。すでに北米で販売しているモデル「WHILL Model Ci」もブースで試乗できる。加えて、「WHILL Model Ci」は「ラストワンマイルモビリティ」としてCES会場でもレンタルが可能。長い距離を歩くのが困難な方なども気軽にレンタルできる。


約1,000万人の高齢者が500メートルを超える距離の歩行が困難

日本では、65歳以上の高齢者のうち約1,000万人(総務省統計局 人口推計)が、500メートルを超える距離、すなわち7分弱の歩行が困難であると感じている(国土交通省 配布資料)。他方で、全世界的な高齢化の影響で、長距離歩行が困難と感じる人は日本以外でも増えていくことが想定される。また、労働人口が減少する中、高齢者の介助に関する人手不足も大きな課題の一つ。

なかでも空港、駅、商業施設などの大型施設では、車椅子の介助や、車椅子の回収に多くの人手が必要とされる。特に空路移動においては、多くの先進諸国で移動に困難を伴う人に対して「旅客の権利」が保護されており、EUなどでは、乗客の乗降などに必要な支援を無償で提供することを事業者に法令で義務付けている。この動きに伴い、航空業界では車椅子の介助や回収のための人手やコストが年々増え続けている。

そのような状況の中で、WHILL社は、歩行困難者の社会参加の機会を増やすとともに、介助などの負荷を軽減したいと考え、今回、空港など施設内での利用を想定した「WHILL自動運転システム」を開発。同システムは、初めて操作する方でも簡単・安全に操作できるユーザビリティと自動停止機能、車椅子の回収の人手を減らす自動運転機能などを搭載している。これによって、移動に困難を伴う人にとって移動が快適なものとなるだけでなく、施設運営事業者などにとって、運用費用を大幅に削減することができる。

あわせて、介助されていた車椅子利用者が、自分で自由にモビリティを運転することで、施設内での回遊を促進し、消費の拡大も見込まれる。さらには、長距離を歩くことを負担と感じ、移動を控えがちだった客層の新たな取り込みなども期待される。

関連サイト
WHILL

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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