自動車業界に向けてAI 技術を提供するCerence Inc.(セレンス)は、Cerence Driveテクノロジーおよびソリューションの新機能として、車内アシスタントと連動し、緊急車両の接近をドライバーに通知し、ドライバーがそれに応じて適切な運転ができるように支援する「Cerence Emergency Vehicle Detection (緊急車両検知)」(Cerence EVD)を2020年1月9日に発表した。同機能は、2020 年以降、多くの車両に採用される予定となっている。
セレンスは車内用音声アシスタント機能で世界的なリーディング企業のひとつ。AI、自然言語理解、声紋認証、ジェスチャー認識、視線検知、拡張現実(AR)、IoT機器の制御など、コネクテッドカーを含めた自動車向けのソフトウェアに特化したプロダクト・サービスを提供している。(関連記事「2019年に出荷された自動車の半数以上が採用、ニュアンスから「Cerence」(セレンス)へ コネクテッドカーの未来を描く動画を公開」)
なお、同デモは1月7日~10日に米・ラスベガスで開催されているCES 2020 のセレンスブース(LVCC North Hall/ブース番号 9305)において公開されている。
【動画】Cerence @ CES 2020: Cerence Drive: Emergency Vehicle Detection
同機能の開発背景
同社は昨年、1,500 名以上の米国の消費者を対象に、どのようにテクノロジーを使って車両の周 囲の状況に対応しているかについてアンケート調査を実施。「車載技術によって今後どのような運転体験の改善を期待しているか」と質問したところ、調査対象の約半数となる 44%が、ストレスの多い運転状況において、より多くの支援を求めていると回答した。
さらに、同社のユーザー体験研究機関であるCerence DRIVE Labにおいて、ドライバーの求めるサイレン検知システムの用途や機能について調査を行ったところ、回答者の67%が、サイレンが検知されたらすぐに通知を受け、車内のすべてのオーディオの音量を下げて欲しいと思っていることが判明した。また、調査参加者からは、クルマの内外で大音量の音楽がかかっている時、交通量の多い状況、および郊外や都市という環境において、サイレン検知システムが最も有効であるとの回答を得ると同時に、サイレンの位置、緊急車両が向かっている方向、クルマと緊急車両との距離なども知りたいと考えていることもわかった。
Cerence EVDについて
Cerence EVDは、車両インテリアとして組み込まれている既存のマイクを使用するため、専用のハードウェアを追加することなく実装可能。緊急サイレン信号の固有で明瞭な音響構造を利用することにより、高い精度でサイレンと、その方向を検知するため、複数の国や地域の消防車、救急車、警察車両など様々な種類のサイレンに対応できる。サイレン音が検知されると、ラジオなど車内で再生しているメディアの音量が下がり、車載インフォテインメントシステムを通じてドライバーに緊急車両の接近を通知。もし再生中の音楽にサイレンの音が含まれていたとしても、音響エコーキャンセル機能によってマイクの入力信号から音楽の成分は削除されるため、車外から聞こえてくるサイレンを正しく検知してドライバーに即座に通知することが可能だ。
同社は、全ての人々に、より安全で充実した車内エクスペリエンスを実現するこの画期的な機能を通じ、自動車メーカーとユーザーに付加価値を提供すると述べており、 同社のコア・オートモーティブ部門エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーの ステファン・オルトマン(Stefan Ortmanns)氏は、次のようにコメントしている。
セレンス コア・オートモーティブ部門エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー Stefan Ortmanns氏
多くのドライバーは運転中に、ボリュームを上げて音楽を聴いていたり、他のことに気をとられたりしている最中に、突然近づいてくる緊急車両に気づいて慌てた経験があると思います。当社はこのような問題に取り組むために Cerence EVD を開発しました。この機能は、ドライバーが安全を確保し、道路の状況を把握するのに役立つため、今後普及が進む自動運転車の車内エクスペリエンスにとっても非常に重要なものです。
http://www.cerence.com/solutions
Cerence Inc.