【速報】動く実物大ガンダムの仕様がわかった 立像で体重25トン、外装はカーボン、なんと24自由度、施設はドックとタワーで構成

アニメ劇中の実物大となる身長18mの巨大なガンダムを動かすプロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」(GGC)の最新情報が公開になった。18mのガンダムは立像となり、腰で支えられた支持があるものの、ハンドを除いて全24自由度のアクチュエータが組み込まれることが発表された。この自由度の数には正直驚いた。アクチュエータの組み込み位置はまだ公開されていないが、本格的な稼働ロボットとしての設計になる。

動くガンダム立像の1/30サイズの模型も公開された。このような「GUNDAM-DOCK」に収容された状態から動き出すようだ(どのように動くかは公表されなかった) ©創通・サンライズ

ステージに運び込まれた1/30サイズの模型。技術的な概要も説明された

公開は2020年10月1日〜2021年10月3日の約1年間。場所は横浜、山下埠頭だ。


GUNDAM-DOCKとGUNDAM-TOWER

ガンダムを観覧する施設名は「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」。
観覧する場所は2種類が用意される。ガンダムを格納してメンテナンスを行う「GUNDAM-DOCK」と、来場者が動くガンダムを間近で見ることができる「GUNDAM-TOWER」だ。「GUNDAM-TOWER」からは15〜18mの高さでガンダムを見ることができる。入場料とは別料金が必要となる。

ガンダムを収容している施設がGUNDAM-DOCK。間近で見上げるように見ることができる。右のタワー型の見学施設がGUNDAM-TOWER。15~18mの高さから実物大ガンダムを鑑賞できる


GUNDAM LAB(ラボ)

ガンダムの斜め正面には「GUNDAM LAB」が設置される。ここは動くガンダムのしくみを学べる展示施設のほか、ショップ、カフェ、コミュニケーションスペースなどが用意される。

「GUNDAM-DOCK」と「GUNDAM LAB」の位置関係

「GUNDAM LAB」のイメージパース
■GUNDAM-LAB (G-LAB)
“動くガンダム”の仕組みを楽しみながら知ることができる展示施設、ショップ、カフェ、コミュニケーションスペース等が入った複合施設。
・ACADEMY
動くガンダムの設計や構造、仕組みが学べる展示施設。
・CONFERENCE ROOM
トークショー、講演会、研究発表、ワークショップなどを行うコミュニケーションスペース。企業や研究機関、学校との連動企画も実施予定。
・THE GUNDAM BASE YOKOHAMA Satellite
会場限定のオリジナルガンプラを中心に、様々なオリジナル商品を販売するショップスペース。
・GUNDAM Café YOKOHAMA Satellite
ガンダムに関するオリジナルメニューや横浜ならではのご当地グルメを楽しめるカフェ。


ガンダムは規格外の巨大ロボット立像

巨大像や巨大ロボットは今までもいろいろと作られてきたが、このガンダムは18m。体重は約25トン。更には動くとなると規格外の巨大建造物への挑戦となる。関節の自由度は24。アクチュエータはすべて電動で、大きなトルクがかかる部位については電動シリンダを用いる。なお、これだけの自由度は設計上はほぼロボットの基本動作を想定した数だと推定できる(参考までにPepperが20自由度、ロボホンが13、講談社ATOMが18)。


ガンダムの可動フレームは鋼鉄製、外装はカーボン樹脂製となる。ロボットを動かすOSはアスラテックの「V-Sido」が採用される。既に4mのトランスフォーマー型ロボットで変形や歩行、走行の実績があるものの、ガンダムはその4倍ものサイズになる。
ガンダムキャリアと呼ばれる支持台車が腰の部分に接続され、万が一の転倒を防止する。支持台車の詳細は不明だが、台車と呼ぶくらいだから可動式とみられ、ガンダムが前進歩行する可能性が高い(推測だが)。なお、操縦は遠隔から行われ、パイロットは搭乗しない。


情報は公開されたものの、ロボット業界からみれば、これは凄まじいチャレンジだと言うことが解る。例えば、現在実用化されている一般の産業用ロボットは、自動車や航空機の生産工場で車体やフレームを軽々と持ち上げることができているが、それでも最大でせいぜい5m前後。ガンダムは脚部だけでも10m程度ある、まさに規格外の大きさだ。


これだけ巨大なサイズのロボットを転倒させずに動かすには、バランスが最も重要となる。支持台車が接続されているとはいえ25トンもの体重をやすやすと支えることはできない。

ガンダムの腰、後ろから支持台車が接続されている

そこはバランス制御で数々の実績がある「V-Sido OS」の腕の見せどころとなるだろう。今から楽しみだ。


他にもパートナーとしてそうそうたるメンバーが名前を連ねている。

■パートナー協力企業(50音順)
アスラテック株式会社 (担当:モーションプログラム、制御システム開発)
川田工業株式会社 (担当:GUNDAM-DOCK、GUNDAM-LAB 建築施工工事)
株式会社ココロ (担当:G 本体ハンド設計・製作)
住友重機械搬送システム株式会社(担当:G キャリア(支持台車)製作)
ナブテスコ株式会社 (担当:減速機製作)
株式会社乃村工藝社 (担当:G 本体デザイン、フレーム・外装パーツ製作、演出)
前田建設工業株式会社 (担当:試験施設・試験技術協力)
株式会社三笠製作所 (担当:G 本体内電気配線工事)
株式会社安川電機 (担当:G 本体内モーター製作、制御装置製作)


オープンシミュレータも期間限定で公開

このイベントに合わせて、ガンダムのCGデータを用いたシュミレータを公開する。ガンダム3Dモデルは既にダウンロードできる。
ソフトウェアとハードウェアのオープンロボットプラットフォームを開発し、世界の若者が夢を持って自由にロボット開発に参加できる体制の創出と、ロボティクス分野のさらなる発展へ寄与 し「リアルガンダム」の実現に繋げることを目的としている。
利用については、注意事項があるので、詳しくは公式サイトをチェック。


公式サイト URL:https://gundam-challenge.com/special/opensimulator/



今年の10月が待ちきれない

左から一般社団法人ガンダム GLOBAL CHALLENGE(GGC) テクニカルディレクターの石井 啓範氏、代表理事 宮河恭夫氏、運営会社の株式会社 Evolving G 代表取締役 佐々木新氏(冒頭の写真も同じ)

なお、イベントの直前段階で「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA スペシャルエクスペリエンス」が開催予定だ。これはオープン前に見学できる限定プログラムで、動くガンダムは見られないが、建設中の施設やガンダムを見たり、限定のプログラムなどが用意される(2020年7〜8月の土日を予定)。時期的に東京五輪2020と重なるので、注目を集めそうだ。

プレオープン限定プログラム
「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA スペシャルエクスペリエンス」

オープン前に特別に見学できる限定プログラムを実施。一足早く会場に入場し雰囲気を味わえるほか、特別観覧デッキ「GUNDAM-DOCK TOWER」に登ることができる。また、一部オリジナル商品を購入できるショップも展開予定。

会期:2020年7月~8月の土・日(予定)
※ガンダムの稼動は予定していない
※詳細が決定次第、公式サイト等で発表予定

また、公式サイトでは開発している「中の人たち」を描いた「プロジェクトメイキングビデオ」も公開中だ。イベントについて、より詳しく知りたい人は要チェックだ。

いよいよ具体的になってきた「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」。どのような部位が稼働し、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、追加発表があり次第、ロボスタでもお報せしていきたい。

【開催概要】
 会期:2020年10月1日(木)~2021年10月3日(日)
 時間:10:00 – 21:00(予定)
 入場:2020年7月からチケット販売予定(有料)
※チケットの販売詳細については詳細決定次第発表。

【ガンダム GLOBAL CHALLENGE 開発体制】
監修 / GGC リーダー
「機動戦士ガンダム」総監督 富野 由悠季氏
早稲田大学 名誉教授 橋本 周司氏
中京大学 工学部教授 ピトヨ ハルトノ氏
映画監督 本広 克行氏
株式会社ライゾマティクス 代表取締役 齋藤 精一氏

【設計開発スタッフ】
テクニカルディレクター 石井 啓範氏
システムディレクター アスラテック株式会社 吉崎 航氏
クリエイティブディレクター 株式会社乃村工藝社 川原 正毅氏
©創通・サンライズ

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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