【新型コロナ対策/院内感染を防ごう】会話ロボットが病院の入口で感染症の疑いをチェック 岡山中央病院が導入 シャンティが開発

従来は受付に来て問診票を書いてから新型コロナ感染症の疑いを判断していた。これでは、ほかの患者にも医療スタッフにも感染のリスクがある。そこで、病院の入口に会話ロボットを設置。他の患者や医療スタッフに濃厚接触する前に、来院者全員に感染症のスクリーニングを実行することにし、2020年3月30日から開始した。

病院の受付の様子

ロボット・システムの名称は「パラメディTAPIA」。導入したのは岡山中央病院、新型コロナウイルスの感染の拡大が長期化する中、病院での「院内感染」に対する早急な対策として導入した。社会医療法人鴻仁会と株式会社シャンティが開発した。(冒頭の写真 病院の受付に並んだ会話ロボット。そのひとつの問診に回答する来院者)


感染者をロボットが事前にチェック

新型コロナウィルスが猛威をふるい、医療現場においては院内感染を防ぐことも至急の課題となっている。地域医療の中核にある岡山中央病院では、医療ケアを必要とする外来患者のため、日々の医療サービスの提供と感染症拡大の防止という二つの課題を解決するため、感染症の疑いのある患者を、人と非接触で隔離された場所に速やかに誘導する必要性に迫られている。

新型コロナ感染の疑いがある人は、一般の受付には進ませず、指定した場所の椅子へ誘導。医療スタッフに通知する

これまでも病院の入口で看板やポスター等を使い、感染症の疑いのある来院者のお断りを告知する等の対策を行なってきたが、「ポスターに気づかない」「自分は大丈夫」という来院者が多く、目立った効果に繋がらなかった。このままでは院内感染が起こることを懸念し、追加の対策を早急に講じたいと考えていた。
そこで、来院する人全員にロボットが声がけをして注意喚起。ロボットが質問する内容に回答してもらうことで、医療スタッフと直接接触する前に来院者の感染症の疑いを推測するしくみを取り入れた。

■動画 岡山中央病院導入事例

現在、ロボットが提供している機能は以下の内容。

(1)カメラで人の動作を感知して声がけ
ロボットに搭載されたカメラを使い3m以内に居る人の動きを検出し、受付に来る前にロボットを使った問診を受けるように声がけを行う。

(2)問診 →手指消毒推奨
熱や倦怠感の有無などの質問を発話と同時に画面上表示し、回答ボタンを押すことにより問診に回答する。問診内容は、日々の状況に応じて容易に変更していくことができる。通常の場合、問診が終わった後は手指消毒の案内を行う。

(3)トリアージ→スタッフへ通知+待機場所案内
問診への回答で感染症の疑いがある場合、医療従事者が持っているスマートフォンへアラート音と共に、感染の疑いのある患者が来たことを通知。また来院者には院内の待機場所でスタッフが来るまで待機してもらうように案内する。


医療崩壊を起こさないための対策

今回の感染症対策として「パラメディTAPIA」を導入した同病院の金重院長は、そのメリットとロボットを含めた医療へのICT技術の可能性について次のようにコメントしている。

岡山中央病院 金重聡一郎院長のコメント
人と人とを介さずに早めに症状のある人をピックアップできる。その上で早めに隔離できるのが最大のメリット。医療崩壊を起こさない対策が一番大事だと思っている。病院の許可が無い人は病棟に入れなくするなどの対策も含め、感染防止策をさらに強化するために何ができるかを検討しています。

岡山中央病院 院長 金重聡一郎氏

実際に体験した来院者にも、概ね好評のようだ。

「出産後の定期検診で来たのですが、こういう時期で少し不安だったのですが、(出産前に産婦人科病棟にいたロボットが)皆さんに入口で感染症の問診をしてくれていて安心しました。(小児科受診:20代女性)」



「声がけで気付きました。ちゃんと手を消毒することも教えてくれて便利だね。(整形外科受診:60代男性)」

「今までロボットに関心がなかったけど、人との接触を減らしたいまさにこういう時にロボットが活躍するんだなと思いました (消化器内科:70代女性)」



産婦人科病棟でパラメディTAPIAを2年間活用

金重院長はICTによる医療改革の可能性に着目し、既に2年前からコミュニケーションロボット「パラメディTAPIA」を産婦人科病棟に導入している。
導入された2台のパラメディTAPIAの役割は、出産を迎える妊婦に対して入院に関わる注意事項や事務手続きなどを看護師に代わって説明すること。繁忙な看護師の業務の一部をロボットがサポートしつつ、妊婦が知りたいことや不安に思うことを繰り返し説明してきた。今では、妊婦にも看護師にも知ってもらいたいことをちゃんと伝えてくれる大切なロボットに成長した、と評価している。この経験が元になって、今回、病院入り口での導入につながった。

妊婦の疑問に寄り添うパラメディTAPIAを紹介する看護師

開発に携わったシャンティは、引き続きコロナウイルスの終焉に向けて、ICT技術を活用して、人と人との接触を低減し、高齢者や疾患のある方、妊婦などの方々に対して安心した医療サービスを受診できる活動に貢献する、としている。

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ロボスタ編集部
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