京セラと慶応大SFC研究所が卓球選手のラケットの角度や軌道を可視化 「IoTTT」を実証実験 3軸水晶ジャイロセンサーを活用

京セラ株式会社は慶應義塾大学SFC研究所(以下、SFC研究所)の協力を得て、京セラ製の3軸水晶ジャイロセンサーを活用し、高精度なデータの取得や卓球ラケットの角度や軌道の可視化が可能な「卓球ラケットセンサーシステム」(IoT on Table Tennis、以下、IoTTT)を開発し、2020年6月上旬より共同で実証実験を開始することを発表した。

■卓球ラケットセンサーシステムイメージ動画




従来品では計測できない速い回転や動きを測定可能

京セラ製3軸水晶ジャイロセンサーは温度特性、結晶性など特性の良い水晶を用い、独自の設計技術と高精度加工技術により開発。従来のセンサーと比較し、高い計測精度を有し(京セラ調べ)、これまで計測できなかった瞬間的な速い動きを数値化することができる。スポーツ分野以外にもモビリティや産業分野など、さまざまな用途への展開を可能とする。


3軸水晶ジャイロセンサーモジュール



■3軸水晶ジャイロの特長
・高分解能:ノイズが小さく正確な姿勢制御が可能
・低ドリフト:正確な軌跡を測定可能
・小型化:従来1軸1の水晶ジャイロを3 軸1PKGに搭載
・高速回転検出:従来品では計測できない速い回転や動きを測定可能


パソコンやスマートフォンでデータを可視化

IoTTTは卓球ラケットのグリップエンドに3軸水晶ジャイロセンサーモジュールを装着することで、選手のラケットの角度や軌道の高精度なデータを取得し、パソコンやスマートフォンの画面上での可視化を実現。これにより、卓球選手の挙動再現性や一流選手との相似性を計測し、データを解析することで、コーチングやトレーニングなどへの活用が期待される。

■IoTTTでできること(youtubeから抜粋)
ラケットの傾きスイングのスピードを可視化


面の傾き、スイングスピードをセンシング。フォームの特徴・くせを定量化し、練習をサポート


スイングデータは専用アプリに記録。フィードバックを手元で確認できる


回転数・球速・高さ・距離を予測(開発中)


選手同士の差異がどこにあるかを見える化。的確なアドバイスやコーチングへ応用可能

慶應義塾大学 仰木教授は次のようにコメントしている。

■慶應義塾大学 仰木教授コメント(抜粋)
京セラの3軸水晶ジャイロセンサーは、データをワイヤレスで送受信可能な小型モジュール化を実現しているので、バドミントン、テニスのようなラケット、野球のバット、ホッケーのスティックなど、様々な道具に簡単に設置し計測することが可能です。またトラック競技などにおいても、シューズに装着することで選手の動きのセンシングにも用途展開可能であると考えます。
京セラとの共同研究で実現したIoTTTにより、スポーツセンシングの世界が大きく広がり、今後、スポーツの技能向上や高度化に発展させることもできると期待しております。

京セラとSFC研究所は、このIoTTTの技術をさまざまなスポーツへ応用することで、スポーツセンシングを通した技術向上や高度化へ貢献していくとしている。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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