つくば市庁舎を「メモリトレース機能」で自動巡回、UV-C紫外線で除菌する自動運転ロボットの稼働実験 Doogのサウザーを活用

移動ロボットのスタートアップ株式会社Doogは、2020年6月19日、新しく同社が開発した公共施設内を自動で巡回しUV-C紫外線照射をするロボットの稼働確認について、閉庁後のつくば市庁舎を利用して実証実験を行ったことを発表した。同ロボットは同社特許出願技術である「メモリトレース機能」を活用することで、UV-C紫外線照射ロボットとして最適な構成を実現可能とした。
なお、一般に普及している紫外線ランプは人体に影響することから、その安全性が運用上の課題になっている。閉館後の人がいない環境で自動運転ロボットが紫外線ランプで除菌する方法はロボット活用としてはとても有効だと考えられている。

同社では、同ロボットの現場投入をはじめ、様々な強みを持つ事業者との連携を加速させることで、ロボット製品のラインナップ拡充を進め、簡単操作かつ現場で直ぐ使えるロボットを社会に浸透させていくと述べている。

UV-C紫外線照射 自動巡回ロボット




稼働試験概要

市庁舎のフロア内は利用者の椅子が多数並んでおり、これを日々除菌することは多大な労力が伴う。そこで同試験では、椅子やテーブル等が並ぶフロア内において、ロボットが自動走行し対象物に接近して停止、ランプを自動で照射する(安全のため本試験では紫外線灯ではなく一般的な蛍光灯を使用。これを自動でON/OFFする機能を有する)といった一連の除菌作業を模擬して動作検証を実施した。


具体的な試験内容

手動操縦および自動追従走行によって、約60mの巡回路を約5分かけて誘導し、メモリトレース機能で巡回のための走行ルートを作成。その過程では、計12地点の停止ポイントで各10秒の一時停止(紫外線の照射時間に相当)を設定し、同時にランプ照射のON/OFFもメモリトレース機能で記憶させた。自動走行をするための記憶データは、走行ルート誘導の終了と同時に生成が完了し、ランプ照射のON/OFFや一時停止時間、走行速度モードなどを含めたロボットの動作データが合わせて生成される。同試験では、この走行ルートを自動で巡回させ、1回の巡回あたり約4分30秒(うち120秒間は停止してランプの照射をON)の所要時間をもって、一般的な公共空間において安定に走行することが確認できた。
なお、試験時にはスタッフがロボットの動作を目視で確認するため、殺菌灯ではない一般的な蛍光灯で実施した。

■【動画】UV-C紫外線照射 自動巡回ロボット概要説明

■【動画】UV-C紫外線照射 自動巡回ロボットのつくば市庁舎における稼働試験の様子




日々の除菌作業の「新しいあり方」を提案

同社の協働運搬ロボットサウザーは、誰でも簡単に使いこなすことができ、導入が簡単にできる次世代ロボットだ。サウザーは作業者が記憶させた走行ルートを巡回して走行することができるため、施設の広い空間を自動巡回しながら紫外線を照射し、除菌作業を補助することができる。同社では、このようなロボット活用による除菌作業を当たり前のものにすることで、人々の安心安全の実現と向上に繋げていくとのことだ。

つくば市長 五十嵐 立青 氏

このたび、市を代表するロボットベンチャーのDoog社が開発した「UV-C紫外線照射 自動巡回ロボット」のデモをつくば市庁舎で実施しました。操作が簡単で誰でも扱え、公共施設、学校や病院、ショッピングセンターなど、様々な施設での活用可能性を感じました。ウィズコロナ、アフターコロナ社会において、このロボットが大きな役割を果たしていくことを期待しています。

筑波大学名誉教授 兼 株式会社Doog 社外取締役 油田 信一 氏

紫外線の照射はウイルスを不活性化することが期待されますが、紫外線は人に当たると皮膚癌などを引き起こすおそれがあり、人がいるエリアに対して広く照射することは避ける必要があります。そこで、人がそのエリアから退去して無人になったあとで、ロボットが自動的にそのエリア内を動きまわって紫外線を照射するこのシステムは、ロボット技術の使い方として大変有効なものと考えられます。
特に、ウイルスを十分に不活性化するためには、ある程度長い照射時間を確保する必要があると考えられます。その点でロボットは、自動的に移動し任意の場所で所定時間を停止することができるので、人の作業時間の効率性を考える必要がなくなるのも、優れた使い方と言えるでしょう。



右から順に、油田信一 氏、五十嵐立青 氏、同社代表取締役 大島章 氏




UV-C紫外線照射 自動巡回ロボットの構成

自動巡回のための駆動台車は、同社の主力製品である「サウザー ベースユニットE1」だ。
サウザーは、同社が有する多数のパートナー事業者ネットワークを活用して、販売・リース・レンタルなどの形態で導入が進んでいる。主に搬送台車構築用部材として導入さている同台車に対して、紫外線照射の位置関係を調整するフレーム部材、ランプのON/OFF回路(人検知によるOFF機能、パイロットランプ付き)、クイックボタン、ドライブレコーダーなどを搭載。これにより、施設内向けのUV-C紫外線照射 自動巡回ロボットを構築した。

駆動台車として用いたサウザー ベースユニットE1

■【動画】サウザーEシリーズ PV



自動巡回を支えるサウザーの自動走行技術(メモリトレース機能)

メモリトレース機能は、自動走行させたい走行ルート上を人がサウザーを操作して誘導するだけで、サウザーが周囲の風景を記憶し、自動走行のためのデータを簡単かつ短時間で生成することが出来るというものだ。ルートは直線だけではなく、その場でのターンや曲線のルートなど、複雑なルートを記憶することが可能。また、狭い場所では「手動操縦機能」で正確に誘導し、広い場所では「自動追従機能」で迅速に誘導することができる。


協働運搬ロボット【サウザー】
https://jp.doog-inc.com/product-thouzer.html




今後の展開について

一般に普及している紫外線ランプは人体に影響することから、その安全性が運用上の課題になっている。そこで同社は、日中に不特定多数の人が訪れる施設において、閉館後の日々の除菌業務の作業負荷低減を対象とし、同ロボットを行政が運営する公共施設の他、ショッピングモールや空港、駅構内、学校、病院、電車車両内、オフィスなどに展開していくことで、この課題解決を目指す。
また、同ロボットは同社が先行してレンタル・販売開始する予定であり、本格的な展開についてはサウザーを取り扱うパートナー事業者と連携して進めていく。また、メモリトレース機能は、今後サウザーに標準搭載する準備を進めており、新たな現場やアプリケーションの構築に活用の幅を拡げて、簡単操作かつ現場で直ぐ使えるロボットを社会に浸透させていく。

関連サイト
株式会社Doog

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