公益財団法人日本財団は「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」として、無人運航船の実証実験を行う5つのコンソーシアム(複数の民間企業体)に対して支援を行っている。
埼玉工業大学は、2020年7月3日、同コンソーシアムのうち、ITbookテクノロジー株式会社が代表となっている「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」における水陸両用バスの自動運転・運航システム構築に関する共同開発を開始したことを発表した。なお、同プロジェクトは、長野原町・エイビット・日本水陸両用車協会が共にコンソーシアムのメンバーとして参画している。
プロジェクトにおける埼工大の役割
同プロジェクトは、野原町が導入した水陸両用バスに、自動運転・運航における、離着水・離着桟、水上障害物の回避、遠隔操作技術など機能を構築していくというものだ。群馬県の八ッ場あがつま湖(八ッ場ダム)の水陸両用車が地上から入水し、水上を自動航行した後に、上陸して地上に戻るような自動運転・運航を想定している。この中で、埼工大は、ITbookテクノロジー株式会社との共同研究契約により、自動運転・運航の水陸両用バスの実験車両兼船舶の開発と、ソフトウェアを設計・開発する。研究期間は2年間を予定。実用化に必要な技術を開発・検証し、5年後の実用化を目指して、無人運航を可能にする技術開発をしていく。
具体的な実証実験技術
同共同研究では、同大学の自動運転バスにも用いられている、ジョイスティックロボカー技術及びオープンソースの自動運転ソフトウェアであるAutowareをベースに、水陸両用バスの自動運転・運航システムを構築。このシステムを用い、主に【離着水・離着桟における位置推定及び自動運航技術】【水上障害物検知及び回避のための技術】【ローカル5G等を用いた遠隔操作技術】の3つの技術について実証実験を行う。
同大学は、AIの教育・研究に先駆的に取り組む中、自動運転の開発を強化しており、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の実証実験に私立大学として唯一、2期連続で参加している。これらの経験を活かして、世界的にも例のない水陸両用バスの自動運転・運航技術の開発に挑んでいくと述べている。
車両の仕様(大きさ625×203×261cm、重量4.7t、補助席含め24人乗り、4000ccディーゼル車)、AIPilot /Autowareで自動運転可能な自動運転実証実験の試験車両となっている。Autowareを利用し、AIによる障害物の検知(識別・分類する)機能を強化して、複数のライダーやカメラの画像情報をディープラーニング(深層学習)により周囲環境としてAIで認識して、障害物を回避して走行が可能。同大の自動運転バスは、埼玉県が将来の事業化を目指して行うスマートモビリティの実証を支援する「埼玉県スマートモビリティ実証補助金」に2019年度採択されており、同車両の開発には株式会社ミクニライフ&オートの全面的な協力により実現している。なお、同自動運転バスは、ジョイ・カーに改装したマイクロバス「リエッセⅡ」に「自動運転AI(AIPilot /Autoware)」をベースとしたAIを実装した一般の公道走行可能な自動運転車両だ。
埼工大 羽田空港地域で自動運転バスの実証実験 高精度3次元地図や磁気マーカーなど活用 内閣府SIPに2期連続参加は私立大学で唯一
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