パナソニックが改造WHILLで自動追従と自動停止機能の実証実験 高輪ゲートウェイ駅で MaaS活用をにらむ

パナソニック株式会社、パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社(以下、2社あわせて「パナソニック」)は、JR東日本グループと共同でロボティックモビリティ(今回の実験に使用したのはロボット電動車いす、WHILLに改造を加えたもの)を使った自動追従走行による移動サービスの実証実験を実施することを発表した。
場所はJR山手線・京浜東北線の新駅・高輪ゲートウェイ駅内で通常は非公開の実証実験区域「Partner Base Takanawa Gateway Station」。期間は2020年7月から2020年9月を予定している。

新駅を利用する際にぜひ立ち寄ってみてはどうだろうか。


実験の内容

この実証実験に使用されるロボティックモビリティは、「WHILL」のモビリティにパナソニックの技術を活用した自動停止、追従走行機能を追加したもの。そのロボティックモビリティを3台連携させて動作させる。
先頭の1台を係員が操作し、その後を1台ずつ自動で追従走行させることで安全で効率的な移動サービスを提供できるかを検証するというのが実証実験の目的だ。
昨年5月にも成田空港で同様の実験を行っているが、今回は高輪ゲートウェイ駅の通常非公開実験区域「Partner Base Takanawa Gateway Station」で行うことで、センサに悪影響を与える可能性がある強い太陽光が差しこむ半屋外環境下でも、諸機能が正常に動作するかを検証したいのだという。

障害物を検知すると減速または停止する「自動停止機能」と、先行機体に追従する「自動追従機能」が正常に機能すれば追従走行中のロボティックモビリティの間を人が横切ることで、後方のロボティックモビリティの自動停止機能が作動しても、人が通り過ぎたあとに、それを認識して追従走行を再開できる。
ソーシャルディスタンスの必要性が叫ばれる現在では車間距離は十分に開けざるを得ず、その間を歩行者が通ってしまうこともありうるため、実用化に際しては強く検証が求められる内容だろう。

パナソニックは将来的には自律走行と追従走行を組み合わせたロボティックモビリティを活用することで、「新しい生活様式」を見据えた無人での移動サービスの実現を目指していくという。
今後快適で安心な移動サービスに向いたロボティックモビリティの開発が進んでいけば、複数人が移動できるという特長を生かし、ファミリーやグループ向けの回遊サービスなども可能になってくるだろう。
パナソニックは、世界で拡大するMaaSへの活用も視野に、引き続きロボット技術で新たなまちの価値創造に貢献していくことを発表している。


実験場所の説明

JR東日本は、高輪ゲートウェイ駅を新たな国際交流拠点の玄関口として最新の駅サービス設備の導入や実証実験を進めている。
その一環として、より安全な駅環境づくりのため、2024年度を予定されている大型再開発計画「品川開発プロジェクト」のまちびらきを見据えて、駅および駅周辺施設で利用できるロボットサービスの導入を目指しているのだという。
今回使われた非公開実証実験区域「Partner Base Takanawa Gateway Station」では今後もロボットやパーソナルモビリティの実証実験を行う際に、開放される場合があるので高輪ゲートウェイを利用する際には注意深く見てみるとよいかもしれない。

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梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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