海岸に漂着した海洋ゴミをドローンとAIで識別 ごみ清掃が急務の地域の判定を効率化 Ridge-iが発表

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行う株式会社Ridge-i(以下、リッジアイ)が参画する6つの企業、2つの大学で構成される産学連携海ごみ削減プロジェクト「Debris Watchers」(旧:CCSD)のドローンチームは、2020年7月31日に長崎市対馬市の上槻海岸においてドローンとAIを活用した海岸漂着ごみの検知システムの開発進捗と、デモ飛行の模様を公開したことを発表した。


AIによる解析画像イメージ(ごみの種別、分布場所、面積を推定)


海ごみ削減を実現するビジネス

「Debris Watchers」は海洋ごみ削減とビジネス創出を目指した「プロジェクト・イッカク」の一環として、国内外の海から海ごみを削減すること目標に、人工衛星・ドローン・地上設置型デバイスから取得したデータの解析および組み合わせを最適化して、海岸漂着ごみ検知システムを確立し、それをもとに「海ごみ削減を実現するビジネス」を創出することに取り組んでいる。




海岸ごみ問題とは
主な海ごみはペットボトルやビニール袋などのプラスチックごみであり、自然環境において分解が難しい素材であるため、海岸に大量に漂着したプラスチックごみが絶滅危惧種を含む生物の生存に悪影響を与えていることが世界的な問題となっている

7月31日に実施した実証実験では、海岸の撮像を自律制御システム研究所(以下、ACSL)が開発する高信頼設計の国産ドローン「ACSL-PF2」などを用いて、上槻海岸の上空からドローンで撮像した画像をAIで解析し、プラスチックごみをはじめとする海岸漂着ごみの画像認識技術の実用性を検証。リッジアイが空撮画像に占めるごみ面積から回収要否の判断を支援するべく開発してきた独自のAIを活用した結果、少ない学習データでも正常にごみの識別を行えていることが明らかとなった。



具体的には1ピクセルあたりのごみを解析し、対象範囲内におけるごみの面積と種別、分布を割り出し、空撮画像1枚あたり約4分で解析。学習に要する画像は通常数百枚程度必要だが、今回は30枚の画像を用いて、精度高くごみの識別ができた。現時点における解析結果の精度は、実用に活用可能な解析精度を達成しているという。これにより海岸漂着ごみの量・種別の測定効率化、ごみ収集実施の判断支援に活用できる。

■実証実験概要
・日時:2020年7月31日(金)13時30分~14時30分
・場所:長崎県対馬市の上槻海岸(同市厳原町上槻)、上槻地区公民館(同左)
・目的:上槻海岸の上空からドローンで撮像した画像をAIで解析し、プラスチックごみをはじめとする海岸漂着ごみの画像認識技術の実用性を検証すること。
・本実証実験の構成員
実施責任者:井上翔介氏(ACSL)
ドローン空撮:ACSL、株式会社ドローンクリエイト
画像解析:株式会社Ridge-i
コーディネート・広報:長崎大学、DRONE FUND
・備考
新型コロナウイルスの感染防止策として、主催者・参加者ともに下記の4点を徹底した
1.マスクの着用、2.屋内施設入り口などでの非接触検温・手指消毒の実施、3.屋内施設の距離を取った座席配置、4.屋内施設内の換気


様々な技術とAIを組み合わせた開発に強みを持つリッジアイ

リッジアイはAI・ディープラーニング領域において、社会課題・顧客課題に寄り添い、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による運用まで視野に入れた実用的なソリューションを提供するテクノロジーカンパニー。特に、画像解析ディープラーニング、および様々な技術とAIを組み合わせた開発に強みを持ち、これまでの実績としては、白黒映像の自動カラー化技術を株式会社NHKアートと共同で開発、NHKの番組でも採用されている。また、ごみ質を認識するディープラーニングを荏原環境プラント株式会社と共同で開発、船橋市が運営するごみ焼却施設で「ごみ識別AI搭載自動クレーン」として実稼働中。社会課題解決に向けた取り組みとしては、「土砂崩れ解析ディープラーニング」(JAXAより受託)で宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞するなど、実証実験に留まらず各産業界におけるAI・ディープラーニング技術の実用を進め、投資対効果の高い最適なソリューションの提供に取り組んでいる。

リッジアイは、強みであるAIを活用した画像解析技術の提供を通し「Debris Watchers」に参画し、海ごみ削減に貢献していく。また、事業の展開を通し、社会課題の解決に取り組み、近い将来に最先端テクノロジーが日常的に活用される社会の実現を目指す。

関連サイト
株式会社Ridge-i

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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