
ワイヤレスヘッドセット「Zeeny」(ジーニー)や、Zeenyとスマホをつなげ、通知やチャットなどのコミュニケーションを音声で行うアプリなどを開発しているヒアラブルデバイスカンパニー、株式会社ネイン(以下ネイン)がLINEでのコミュニケーションをより強化する業務連携を発表した。
連携先は業務向けのLINE活用やLINEでの業務効率化ツールなどを開発、運用しているLINE WORKS(ワークスモバイルジャパン株式会社)。
LINE WORKSを導入している企業は10万社以上に登ることから、今後多くの企業でヒアラブルデバイスによる「画面を見ずに業務を行う」チームコミュニケーションが加速していくことが予想される。
LINE WORKSとネインの相性は?
LINEは国内では幅広い年齢層に普及しており、UIの浸透度が格段に高いアプリの一つだろう。
そのため、業務面での活用をする際にはSlackなどの他のチャットツールに比べて、導入教育に関するコストがいちじるしく低い。使い慣れたユーザーが多いことから至らない部分があったとしても、問題点をカバーするための運用などを考えつきやすいなどの多くのメリットがある。
LINE WORKSはこれらのメリットに加え、LINEを業務活用する上で不足している面、例えば「社内通知用の掲示板機能」や、「ファイル共有する上で必要なドライブ機能」など業務に必要なツールを加えたり、不安を持つユーザーが多いセキュリティを強化するなどの配慮をすることで、より業務利用しやすい形にすることで多くのユーザー企業を獲得している。
では、LINE WORKSはどのような形でネインと連携していくのだろうか。LINE WORKSはユーザー企業への訴求ポイントの一つとして、業務に必要な機能を拡張、連携していくことができることを推している。
そうした拡張ツールの一つとしてヒアラブルデバイス、Zeenyや、ボイスチャット機能などの業務に必要なツールが実装されたZeeny Proなどのネインのテクノロジーがえらばれた。というわけだ。
ネインはこれまでも、「Zeeny Pro」という形でヒアラブルデバイスであるZeenyを用いた業務用サービスを展開してきた。
業務中に両手がふさがってしまう作業や、顧客との対面中など、スマホを扱いづらいシーンなどでも、ヒアラブルデバイスを通してスマホを用いたコミュニケーションやデータ入力、ボットによるリマインド、通知などの機能を存分に使うことができる。
実際、空調設備工事、保守の業界大手である高砂熱学工業と共同開発したソリューションは、帳票のペーパレス入力や、ビル設備の点検フローの効率化などを現場とともに練り上げていったこともあり高いクォリティに達していそうだ。
このZeeny Proをより多くの業種、ユーザーに展開し、さらなるサービスの高品質化を狙っていく際に連携する相手として、すでに多くのユーザーを抱えており、LINEという国民的なプラットフォームを利用しているLINE WORKSは、最適だったのだろう。
様々な現場で感じられるヒアラブル化のメリット
このヒアラブルデバイスによるチームコミュニケーションの利点はどのような現場においてメリットがあるのか具体的なシーンを挙げて紹介してみよう。
ネインは接客、建設現場、介護現場、物流現場などを挙げているが、どれも、「お客様の目の前でスマホを取り出せないシーンでも隙間で対応することが可能」「集中すべき作業をしながらでもハンズフリーで対応可能」などのメリットを活かすことができる現場だろう。
特に建築現場等は、屋外の陽光が強い現場でのスクリーンの見にくさや、移動の多さや姿勢などからくる入力のしにくさ、周囲の安全を気にする必要性などを考えると、ヒアラブルデバイスの活用はうってつけだ。
さらに、管理側からしてもこのようなヒアラブルデバイスの活用は喜ばしいところだろう。
今までであれば書き逃していたような細々とした報告なども、音声であれば、注意箇所から視線を外すこともなく入力でき、歩いて移動する際などのスキマ時間にも行うこともできるだろう。
また、コミュニケーション履歴がテキスト化されて保存されることから、コミュニケーション履歴のトレースや、ノウハウの蓄積にもつながる。
こういった管理効率の向上に加え、ボット連携なども可能になることでさらなる使いみちも出てくることが予想される。
スクリーンを超えることでよりインターネットと密着した業務を
現代人の生活の中でスクリーンを見つめる時間は飛躍的に増大している。文書の作成やデータ処理などのデスクワークに加え、プライベートでのメッセージングなども含めると、日常のほぼすべてのタイミングでスクリーンに眼をやることになる。
それに加え、画像認識分野等のAIや、IoTサービスなどの発達により現実世界のデータ化がこのまま進むと、様々な非デスクワーク業務においてもスクリーンから離れられない世界が来るのはそう遠い未来のことではないだろう。
しかし、実際の業務シーンにおいては礼節面や安全面などの問題からディスプレイに目をやることが許されない場面も多々ある。
そういった場合に、ヒアラブルデバイス、ボイスUIを用いてWebサービスやガジェットの助力を得ることで、より高品質なサービスや効率的な業務遂行をできるのではないか、というのがネインが常々主張してきた点だ。
今回のLINE WORKSとの連携により、幅広いユーザー層と、業務分野に「ヒアラブル」という単語を植え付ける機会を得ることができた。
新Pixel BUDSやAirPods Proの進化の方向性などから、次の空白地、「耳」を制していこうOS側の狙いが素人目にも明らかになってきているタイミングで次の布石をどのように打っていくのか。
国産ハードウェアスタートアップながら隠れた王道を往こうとしているネインの次の一手に注目していきたい。
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梅田 正人