日本橋三越本店がアバターロボットを使用したイベントを開催 9/21からオーダー会や着回し相談などで利用

株式会社三越伊勢丹ホールディングスは9/21,22,25-27の三越本店紳士フロアで開催されるイベントにてコミュニケーションアバター「newme」(ニューミー)を利用することを発表した。
newmeが利用されるのは下記2イベント。

Avatar-inx文次郎帽子店 オーダー会
開催日時:9/21(月・祝)・22日(火・祝)午前11時~正午 ・本館2階紳士雑貨
利用予約開始:9月10日(木)午後4時~
予約方法:電話にて先着順 日本橋三越本店本館2階紳士雑貨(03-3274-8321)
参加費:無料
「Avatar-in×日本橋三越本店 メンズパーソナルショッピングデスクお悩み相談会」
開催日時:9月25日(金)~27日(日)
本館2階紳士パーソナルショッピングデスク
利用予約開始:9月10日(木)午後4時~ 
予約方法: Avatar-inホームページより(https://avatarin.com/
参加費:無料

コロナ禍でアクティブなシニア層の外出が減少し、苦戦が見込まれる百貨店。
遠隔接客やアバターなど、テクノロジーの導入で新たな顧客の流入を作れるか注目のしどころだろう。



導入されるロボット「newme」とアバタープラットフォーム「avatarin」

今回のイベントで利用されるロボットnewmeとアバタープラットフォーム「avatarin」(アバターイン)について改めて簡単に説明してみよう。
今まで何回か紹介したことがあるが、このシステムは、ANAホールディングス発のスタートアップとして設立されたavatarin株式会社のサービスだ。
avatarinは空間的な制約や身体的な制約を超えてリアルな空間で人々が自然に繋がることを促進し「あらゆる場所に瞬間移動する」事ができる社会を目指している。
avatarinは社遠隔操作ロボットを課題解決の手段、「アバター」として捉えており、遠隔地に置かれたロボットをインターネット経由で操作し、意識・技能・存在感を伝送させコミュニケーションする手段として、第一弾のロボット「newme」を開発した。

newmeは非常にシンプルでコミュニケーションに目的を絞った遠隔操作ロボットだけに、様々なシーンに導入することができ、今回は接客に関するコミュニケーションに的を絞っての活用となっている。

ロボットデータベースで詳しく見る
「newme」の詳細


「百貨店というアセット」とアバターロボットを利用した2つのスタイル

イベントの詳細を説明しないとこのイベントの中でのアバターロボットの活かしどころがわかりにくいので軽くイベントを説明してみよう。

文二郎帽子店は大阪に店舗を構える手作業で作っている帽子店。
厳選した天然素材と高い技量で確かな製品づくりをしている。オーダーも可能でサイズは0.5cm刻みでの採寸を行っている。
今回は大阪から店主の西川文二郎氏がアバターとして日本橋三越本店に現れ、文二郎氏のアドバイスを受けながら帽子の購入やオーダーを受けることができるのだという。
この場合は、顧客は来店をする必要がある。それは、紳士雑貨コーナーに置かれた様々な帽子とのマッチングや、採寸作業は、「豊富な店頭在庫」や「確かな技量を持ったスタッフ」がなければ受けれないサービスだからだ。
0.5cm刻みでの採寸などはその最たるものだろう。
高度な技能を持つ職人としては、遠隔での接客に歯がゆいところもあるかもしれないが、ユーザーのセルフサービスによる採寸などに比べれば、文脈や用語の事前教育が可能なぶん納得する仕事をすることができる。

従来では足を運ぶことが難しかった店舗に足を運ぶことで新たな商機を掴み、遠隔店舗からの要請があったときのみ応答するような新しい接客スタイルを展開することができ、百貨店としては「スタッフだけではできない高度なサービス」を顧客に提供することができる。

左から秋の着回しコーディネートを担当する石井弥生氏、休日の大人デートスタイルを担当する増島慧氏、リモートワークスタイルを担当する海老原彩希氏


商品知識のある店員と自宅から会話できる

それに対して、メンズパーソナルショッピングデスクお悩み相談会は顧客が自宅からアバターにつなぐスタイルだ。
豊富な店頭在庫と商品知識のあるメンズファッションのスペシャリストをいながらにして利用できるのは魅力だが、それ以上に「自宅からの利用」ができるのがポイントだろう。

ファッションに興味がない人がやってしまいがちなのがマネキンに着せられている服を「あれを上から下までください」というミスだ。
しかし、そうすると、自宅にある他の服との印象がどうしてもちぐはぐなものになってしまい、結果目指していたおしゃれとは違うものになってしまう。
ポイントは「自宅にある在庫」と「新たに購入する商品」とのマッチングなのだ。
そういう点では従来の接客にある「普段のお召し物は?」という質問の重さが、このアバターロボットでのソリューションでは変わってくるだろう。
従来よりも有意義なアドバイスを受けた顧客は各スペシャリストのセンスを信用し、ファンとして彼女らのアドバイスを受けに積極的に店舗を利用するようになるだろう。

当然、どうしても難しいサイズ感の問題や、照明の色味の違いなど、乗り越えなければならない問題も多いだろうが、新たな形の接客を考える上で、今後もこのような取り組みには力を入れていってほしいところだ。

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梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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