テムザックの「RODEM」(ロデム)など次世代スマートモビリティにJIS規格制定 要介助者の乗り込み時の事故を防ぐ

株式会社テムザックは2009年から開発を始め、2017年に発表した次世代スマートモビリティ「RODEM」(ロデム)を含む馬乗り形電動車椅子が、9月23日 (水)に経済産業省より日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)の安全要求事項(T9210)として制定され、公示されたことを発表した。

同社は長年、要介助者の移乗の課題解決に着目し、この規格が必要と、その制定に向け活動を続けていたため、今回の制定は長年の思いが結実した。(馬乗り形電動車椅子のJIS規格は、2017年に新市場創造型標準化制度の適用となり、今回の制定に至った)。

<JIS制定までのあゆみ>
RODEMはテムザック代表取締役の髙本氏が、九州大学病院リハビリテーション部の高杉紳一郎准教授(2009年当時)に、リハビリの際の移乗の課題解決を相談されたことから開発が始まった。その後、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受け、デンマークで実証実験を行うに至った。

RODEM開発から今回のJIS規格制定に至るまでの詳しい経緯は、NEDO掲載の「NEDO実用化ドキュメント」で閲覧できる。
リンク
https://www.tmsuk.co.jp/topics/862/


JIS制定の経緯と期待される効果

高齢化が進む中、介護現場では高齢者・障がい者による車椅子の使用において、ベッドから車椅子に移乗・移動する際に転倒する事故が発生している。また、抱きかかえ介助作業においては介護者の腰痛発症が原因となり、介護者の離職につながるという課題もある。

“質の高い生活を、すべての人に” をコンセプトに少子高齢社会の中で介助者・被介助者双方の負担を減らし、誰もが暮らしやすい社会を実現したいとの想いで開発された「RODEM」は体の向きを変えることなく移乗でき、そのままベッドや椅子、トイレ等への移動が可能。


「RODEM」外観

「RODEM」の移乗方法
「RODEM」6つのメリット
1.ベッドや椅子からの乗り移りがスムーズに
2.狭い場所でも旋回がしやすい
3.スマートフォンで遠隔操作ができる
4.歩行者と視線の高さを合わせることができ、会話しやすい
5.生活空間を広げ、自立度をアップ
6.前傾姿勢により、気持ちが前向きになる

しかし、これまでRODEMのような後ろから乗りこむ、移動・移乗機能を備えた馬乗り形電動車椅子についての安全規格はなく、普及途上にあった。今回のJIS制定によって馬乗り形電動車椅子においてもリスクアセスメント評価による機器のリスク低減が図られることで、安全性に十分配慮した製品開発が行われ、新たな市場の創造と高齢者福祉などへの貢献に大きな前進となることが期待される。なお、今回の制定は日本産業標準調査会(JISC)のホームページから「T9210」でJIS検索すると本文を閲覧できる。

【RODEM紹介ムービー】

関連サイト
株式会社テムザック

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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