AI会話や遠隔ロボットで非接触の顧客対応を実現 多言語翻訳も「あいちロボットショーケース」レポート(4)

「あいちロボットショーケース」レポートの第4回はコミュニケーションロボット等を紹介しよう。コミュニケーションロボット関連の展示件数の割合は減っているように思う。ただ、コロナ禍にあって、非接触が求められていることから、受付や案内、質問の回答などにAI会話ロボットが応対したり、スタッフが遠隔から操作するテレプレゼンス系のロボットに対するニーズは高まっている。そのニーズに性能として応えられるかが、今後の会話ロボットやテレプレゼンスロボット普及の分岐点になっている。


シャープ「RoBoHoN」は多言語対応の受付ロボットに

当初は一般消費者向けに家庭用ロボット(携帯電話)として発売された「RoBoHoN」(ロボホン)だが、法人向けのクラウドサービスなどを用意し、ビジネス分野でも活躍するようになった。シャープはその一例として、日本語だけでなく英語、中国語、韓国語の認識、発話もできるポテンシャルを活用、タブレットやPCと連動してホテルの受付や店頭での受付案内などができる「非接触ソリューション」を2種類、デモ展示した。


ロボホンは、近くに来店客が来たことを自動で認識、手指の消毒を促す声掛けを行う。タブレットと連動したソリューションでは、ユーザーが「日本語」と「英語」から自分の言語を選択、ロボホンとの会話を通じてタブレットに表示されるホテルやショッピングモール等の情報を見ることができる。多言語対応の自動受付、情報案内のソリューションだ。

■ロボホンとタブレットで多言語案内、ロボットダンスも披露

もうひとつは、ロボホンとタブレットを通じて、遠隔のオペレータとビデオ通話する機能。


■ロボホンを通じてオペレータの呼び出し

タブレット機器を配置するだけのシステムに比べると、親しみやすいロボホンがいることで顧客の目を引き、会話を楽しみながら情報の検索ができる。また、AI会話で対応できない場合は、オペレータと直接繋がる非接触ソリューションは今後も伸びていく市場になるだろう。


多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」(凸版印刷)

凸版印刷株式会社はコミュニケーションロボットを使った会話システムを展示。同社は多言語音声翻訳サービス「VoiceBiz」を展開している。「VoiceBiz」は音声翻訳12言語、テキスト翻訳30言語に対応している(AIを活用したニューラル翻訳)。
今回の展示には、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社のコミュニケーションロボット「Xperia Hello!」を使用。翻訳したい言語を選択して話しかけると、指定した言語に即座に翻訳できる。訪日外国人・在留外国人とのコミュニケーションを支援する。


例えば、商業施設の案内所や店舗の店頭にこのようなロボットを設置。外国人が自身の言語でロボットに話しかけ、ロボットが日本語に翻訳することで、案内スタッフや店員とコミュニケーションがはかれる、といった提案を行っている。デバイスはロボットでなくても、スマートフォン、タブレット、サイネージなどでこのシステムを活用することができる。



サイネージ型ロボット「SPooN」

豊田通商株式会社は、カメラと人感センサーにより、目の前にいる人を認識して会話するサイネージ型ロボット「SPooN」を出展した。会話はAIによるもので、音声やジェスチャーなどを総合的に判断した上で、アニメーションのキャラクターが表情やしぐさを変えて応対をする。対応言語は、フランス語/英語/日本語。


キャラクターにアニマルインタラクションを採用し、動物のような動きや表現をすることでコミュニケーションのハードルを下げ、顧客との接触率の向上を図れる、としている。フランスでは、モエ・エ・シャンドン(LVMH社)のシャンパン販売員として店舗で実証実験を実施した経緯がある。


会場ではタッチパネル式のディスプレイを設置。鼻を触ると独特のリアクションを見せるなど、親しみやすい印象だった

■動画


Enkacはテレプレゼンスロボット「Enkac:Walker」を展示

「Enkac:Walker」は、大型モニターを備えたテレプレゼンスロボット。ロボットのカメラ、マイクを通じて、遠隔地にいるオペレータとの会話ができる。また、モニターにキャラクターなどのアバターを表示して会話することもできる。さらに、オペレータの操作でロボット本体を移動することができ、目的地を指定することにより自律走行で移動する機能も搭載している。取材時はメンテナンス中で、実機を見ることができなかった(残念)。


企業の受付や自動車販売店、商業店舗等での接客、大規模施設での案内、テレビ会議などが、ユースケースとして想定されている。また、今後ますます発展する気配の「テレワーク」をサービス業でも可能にする新しい形のロボットとして、働き方改革に貢献できるとしている。

(写真提供「サービスロボットショーケース推進事業運営事務局」)


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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